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<title>隠れ蓑～penseur～</title>
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<description>佳代とナジャのリヒテンシュタイン姉妹（ペルソナ）による対話ブログ。話題はシュルレアリスムからアニ横まで。Il est l&#039;heure de s&#039;enivrer!</description>
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<title>仏蘭西的雑感その15</title>
<description> 　2012年の5月17日はキリスト昇天祭 « L&#039;Ascension »の祝日である。わざわざ2012年と書いたのは、いわゆる移動祭日という奴だからだ。年によって日付が変わる。理由はよく知らない。今度、調べておこう。　で、そういうわけで休みだったのだが、私はすっかりそのことを忘れていたので今日はいささか困った。というのも、買い物に行くのを怠っていたし、今日は以前、手に入れられなかったデリダの本でも探しに本屋に行こうと思って
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<![CDATA[ 　2012年の5月17日はキリスト昇天祭 « L'Ascension »の祝日である。わざわざ2012年と書いたのは、いわゆる移動祭日という奴だからだ。年によって日付が変わる。理由はよく知らない。今度、調べておこう。<br /><br />　で、そういうわけで休みだったのだが、私はすっかりそのことを忘れていたので今日はいささか困った。というのも、買い物に行くのを怠っていたし、今日は以前、手に入れられなかったデリダの本でも探しに本屋に行こうと思っていたからだ。祝日はどの店も休みだ。まあカフェやレストランなんかは開いているところも多いが、スーパーや本屋なんかは休みだろう。しかし部屋に閉じこもっているのも癪なので、散歩に出かけ、ファーストフードでロングベーコンなるハンバーガーをかじる。日本にもあるね。この手のファーストフードは世界のどこでも変わらない、たぶん。<br /><br />　案の定、本屋は休みだったので、まあこれ以上、話すこともないんだが、たまにはフランス語の話でもしてみよう。今日は発音について。といっても、私は発音が下手だ。日本語の発音だって変なんだ。小学校のころ、発音が下手だったんで、先生に呼ばれて、特別クラスで発音の練習を受けたことがある。小一か小二のころだっただろうか。なんていうか、舌足らずの反対、私は舌が長めなんだ。それでどうも発音が上手くない。困る。<br /><br />　しかし日本語とフランス語では、日本語のほうが変かもしれない。下手をすると。もしかしたら。いやフランス語の発音も自信ないな、私は発音下手なんだよ。別にコンプレックスってほどじゃないけど。劣等感は特にないけど。いや本当。変に疑わないでくれよ、皆さん。<br /><br />　で、なんの話だったか、そう、フランス語の発音。たとえば、LとR. 英語の勉強でもしつこくいわれるのでないか。これは、舌を上につけない。で、喉の奥を震わして発音するらしい。日本語のはひふへほに近いかもしれない。がーっと擦れる感じだ。あれだ、ライオンとかのうなり声。がるるる……って感じ。本当。そうなんだ。日本語では使わない筋肉を使う。練習が必要だ。しかしところでフランス語のRと英語のRの発音が同じかどうかは私は知らない。<br /><br />　Sの音。Françaisなんていうとき。フランセ、このセだ。唇を横に一直線に開くような感じで、スィってやってみるといい。さしすせそじゃなくて、スィって。これは、あれだ、ヘビの鳴き声を真似するといいらしい。スィーって。<br /><br />　Vの音。ヴェって奴だが、これは子どもが車の真似をするときを思い出すといいらしい。ブーブーってやるでしょ、エンジンを吹かすような。そういうのだ。ヴーヴー。下唇で歯を覆うような感じでやるらしい。難しい！<br /><br />　Comme lion, comme serpent, comme voiture.（ライオンのように、ヘビのように、車のように）だ。難しい！ ]]>
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<dc:subject>雑感</dc:subject>
<dc:date>2012-05-18T06:21:35+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
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<title>仏蘭西的雑感その14</title>
<description> 　ブログなど暇な時間に遊びで書いているだけで、書きたくないあるいは書けないときは放っておいていいし、現に放っているのだが、それでもPVが数百ほど安定してあると、ああなんか申し訳ないな、じゃなんかエントリでもでっちあげるかなという気分になってくる。こんなブログなんて見てないでラテン語の勉強でもされたほうがよろしいのでないかと助言したい気分にもなってくる。ラテン語、ラテン語である。私は最近はずっとラテン
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<![CDATA[ 　ブログなど暇な時間に遊びで書いているだけで、書きたくないあるいは書けないときは放っておいていいし、現に放っているのだが、それでもPVが数百ほど安定してあると、ああなんか申し訳ないな、じゃなんかエントリでもでっちあげるかなという気分になってくる。こんなブログなんて見てないでラテン語の勉強でもされたほうがよろしいのでないかと助言したい気分にもなってくる。ラテン語、ラテン語である。私は最近はずっとラテン語の勉強をさぼっている。よろしくない。ACIMもさぼっている、つまり英語の勉強をさぼっている。実によろしくない。というのも、来週にロンドンに行くからだ。まったく英語の自信がない。問題である。<br /><br />　さておき、そんなことはどうでもよろしい。なんの話だったか、あれだ、ブログの話だ。実はさっき今日はブログを書くか、なんか短編でお花畑の話でも書くかと思ったが、三分でそういう気分じゃなくなった。申し訳ない。ところで、ブログにあげるような短編は私は一気に書く。下書きもせずにマシンでささっと書いて終わりである。ミルキィホームズの二次創作なんかでもそういうのはある。下書きをするのも多いけど。<br /><br />　逆に下書きをしないと書けないのは東方の二次創作である。パチュリーの話は最初に予想していた以上に話がこんがらがってきたのでいろいろ考えなきゃいけない。実はこの五月に最後の章を書いてしまおうとずっと思っていたのだが、前半が忙しかったため、未だ執筆の目処が立たない。ところでしかし、執筆って言葉はなんかえらそうで嫌だね。えらい奴が書いているみたいだ。私はまあ別にそんなにえらくない。えらそうにはなりたくない、特に。まあそんなことはどうでもよろし。<br /><br />　なんの話だったか。すぐこれだ。話が脱線する。そう、あれだ、ブログだ、ブログの話だ。実は<a href="http://mugi4ishida.blog71.fc2.com/blog-entry-2088.html" target="_blank" title="Le grand désert d'hommes">Le grand désert d'hommes</a>の続きも書きたいんだ。実はさっき、お花畑の短編をあきらめたあと、じゃこっちを書くかと思ったが、五分であきらめた。そういう気分じゃないんだ。<br /><br />　しかし、なんだ、百合漫画の不足で目眩がする。フランスに来て、漫画読まなくなったが、もしかして今でも読みたくなる類の漫画は、いろいろな百合漫画と、咲-Saki-なんかの麻雀漫画とケンイチかもしれない。というか阿知賀編と咲-Saki-の新刊はこの前、取り寄せてしまった。くそ、なんてことだ、しかし私は宥姉が好きなんだ。まあ松実姉妹が好きなんだ。いや、そんなことはどうでもいい、何をいっているんだ、こんなことはどうでもいいんだ。<br /><br />　だがこうして自分の嗜好を告白するのがブログの本懐といえる。そもそもブログを始めたのは私が思うようなことをいっている人がそんなにいなかったから始めたのかもしれない。が、これは大げさな言い方だ。まあ思うのというのではいろいろちがうが。<br /><br />　アイマスでは私は真美が好きなんだけど、あれだよ、私も好きなタイプはと聞かれたら明るくてジョークの上手い人って答えるよ。これは本当。<br /><br />　くそ、なんの話だ、真美が好きとかばらすんじゃなかった。ところで、くそというのは、フランス語ではmerdeだ。メルドという。tant pis !ってのもいいね、タンピ、これは残念！って感じだ。残念なときに使おう。<br /><br />　もうよろし。これだけ書けば十分だろう。終わる。 ]]>
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<dc:subject>雑感</dc:subject>
<dc:date>2012-05-17T07:09:56+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
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<title>美術室の青空</title>
<description> 　高校のとき、美術室が好きだった。といっても、絵を描くのが好きだったわけじゃない。むしろ苦手に思っていた。でも選択科目で音楽か美術を選ばなくちゃいけなくて、私は美術を選ばざるを得なかったのだ（音楽をするのはもっと苦手！）。だから美術を受講していたといえど、私は絵を適当に仕上げるだけで、向上心も何もなく、私の作品といってはとても褒められるものじゃなかった。けれど、そういった事情があったにもかかわらず
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<![CDATA[ 　高校のとき、美術室が好きだった。といっても、絵を描くのが好きだったわけじゃない。むしろ苦手に思っていた。でも選択科目で音楽か美術を選ばなくちゃいけなくて、私は美術を選ばざるを得なかったのだ（音楽をするのはもっと苦手！）。だから美術を受講していたといえど、私は絵を適当に仕上げるだけで、向上心も何もなく、私の作品といってはとても褒められるものじゃなかった。けれど、そういった事情があったにもかかわらず、私は美術室が好きだった。その理由は、美術室の窓が大きかったから。<br /><br />　それってどういうわけ？　理由は単純。美術室はほかの教室より広くて、美術室の窓もまた広く大きかったから。そしてそこからは、晴天の日であれば、無限に広がるかのような青空を眺めることができたから。――そういった理由で、私は美術室が好きだった。高校のことで、卒業してからも真っ先に思い出すのも美術室の窓から望んだ大空のことだ。反対にほかのことはよく覚えていない。それはあたかも、美術室の窓からうかがえた空の美しさに比べれば、高校のほかの出来事は些事といわんばかりに。――もちろん、本当はそんなわけはないんだけどね。<br /><br />　高校時代にある友人の葬儀に出た。その日は平日で、午前中に葬儀があり、私は午後から授業に出ようか、迷った。好きにするといいと親はいった。とりあえず、私は家を出て、ぶらぶらと学校に向けて出発した。でも気乗りせず、小川の欄干でさざ波を小一時間眺めたりして、時間を潰したりした。しかし結局、私は学校に行った。<br /><br />　その日の午後は選択科目。私はふらふらと校内をさまよいながら、美術室に向かった。途中、とある先生に見つかり、さぼっているんじゃないかと疑われたが、理由を話すと簡単に解放された。美術の先生にもわけを話すと、私はとくに何もいわれず、ぼんやりと課題の制作のつづきを始めた。<br /><br />　しかし何もやる気がしない。ただ美術室の広い窓から空を眺める。青い空に白い雲が悠然とたなびいている。空は超越的だな、と私は思った。きれいだな、とも思った。私の心の空虚さを反映するかのように、空はきれいで広大だった。私は葬儀のときに涙ぐんでいた友人らの顔を思い浮かべた。私は一滴の涙も流していない。何か重い無意識の濁りを感じた。ただ私は、今でも、あの美術室の窓から見える空の美しさだけを覚えている。<br /><br />　――授業終了後、あるクラスメートが私に、「君は遅れてきたから、絶対、美術の先生に怒られると思った。だって、今日、あの先生は自分たちのやる気のなさに激怒したんだから」と教えてくれた。ふうんと私は思った。どうでもいいよ、そんなこと。……しかし、私は今でもそのときの友人の声音と微笑した表情を忘れていない。それは美術室から望む空の広大さと伴って、私の記憶を確かなものとしている。……嗚呼、あの夏の大空よ。私は今でもお前に焦がれている。それをお前は知っているだろうか。知らないだろうな、しかたない、はてさてだ。 ]]>
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<dc:subject>短編</dc:subject>
<dc:date>2012-05-12T07:29:09+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
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<title>J&#039;ai encore perdu jusqu&#039;au souvenir de l&#039;amour.</title>
<description> 　好きなタイプは聞かれたら、繊細で思いやりのある人と答える。でもそういったら、たいてい笑われる。普段の私の様子からは思いつかないからだろう。わかっている。自分でも私のキャラじゃないって。でも、私のキャラってなんだろう？　小学生のころ、自分でもいうのもなんだけど、私はクラスの人気者だった。学校の行事なんかでは率先して前に出てみんなをまとめて、授業中もよく発言して、昼休みも放課後も友だちと一緒で、塾に
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<![CDATA[ 　好きなタイプは聞かれたら、繊細で思いやりのある人と答える。でもそういったら、たいてい笑われる。普段の私の様子からは思いつかないからだろう。わかっている。自分でも私のキャラじゃないって。でも、私のキャラってなんだろう？<br /><br />　小学生のころ、自分でもいうのもなんだけど、私はクラスの人気者だった。学校の行事なんかでは率先して前に出てみんなをまとめて、授業中もよく発言して、昼休みも放課後も友だちと一緒で、塾にも通っていた、そこでも先生に一番認められていたと思う、勉強ができたから、つまり私は中心にいたと思う、たぶん、その自己認識はまちがっていないはず。<br /><br />　そんな楽しかった小学校を卒業するとき、お父さんの仕事の都合で私は転校した。でも私はなんの不安も抱いていなかった。それは今まで何かも上手くいっていたから。卒業式、そしてそのあと友だちみんなに集まってもらって、私の家でお別れ会。泣いた子もいた。私もちょっとだけ泣いた。でもそれ以来、小学校の友だちとは一度も会っていない。<br /><br />　引越し。新しい中学校。けれど、なんて間が悪いんだろう、急にお腹が痛くなったと思ったら、私は病院のベッドの上、急性の盲腸炎、入院して、家でぼーっとして、学期が始まって数週間してから、私はやっと新しい中学校に登校した。すると当然、そこには私の知っている人はだれもいない。私はそうして初めて自分の置かれた状況を認識した。<br /><br />　大げさな言い方に聞こえる？　たぶん、大げさなんだと思う。あれから何年も何年も経った今の私は、そのころの私を大げさだなといって苦笑すると思う。でも、当時の私はそうじゃなかった。知らない人ばかり、新しく人間関係を始めなきゃいけない、大丈夫、私は元気だから、すぐまた友だちができるはず、そう思っていた、ずっと私は気楽でいた、でも、あれ、友だちってどうやって作るんだったっけ？<br /><br />　あのころの嫌な気分。学校に行きたくない気持ち。今でも鮮明に思い出せる、孤独って言葉の意味を覚えた中学一年の春。……でもそれがどうしてだろう。あの嫌な心のうずきに始まったあの一年がどうして……。<br /><br />　初めて、あの人に会ったとき、私に似ているなと思った。おどおどしていて、年下の私に過度に気を使っていた、引越し先の隣の家のあの人。あの人の弱気な表情は、転校先で友だちができなくて沈んでいた私とそっくりだった。それがなんだかおかしくて、私は隣の家によく遊びに行くようになった。学校では隣の席の人に声をかけることすらできなかった私が、なぜかあの人には無防備だった。どうしてだろう。今でも私は不思議に思う。どうしてだろう。<br /><br />　中学二年になったとき、クラス替えがあって、自己紹介のとき、私は大きな声で自分の名前をいった。去年一緒だったクラスの人は、私のそんな様子に驚いていた。<br /><br />　今でも夜更けに思い出す。あのころの私。弱い私。――あの人の誕生日。私はあの人に告白した。……ねえ、私の初恋の人。今でも鮮明に思い出せる、私の好きという言葉に見せた、あなたの戸惑った赤い顔。――私はその先に望んだ未来の影の誘惑に囚われて、今でも前に進めない。 ]]>
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<dc:subject>短編</dc:subject>
<dc:date>2012-05-11T07:46:47+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
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<title>J&#039;ai perdu jusqu&#039;au souvenir de l&#039;amour.</title>
<description> 　好きなタイプはと聞かれたら、明るくてジョークの上手い人と答える。そのとき私の頭に浮かぶのは決まってあの子。過去のあの人、思い出の人。たぶんその記憶は美化されている。だってあの子はいつも私のことをからかっていたから。単純で気弱で周囲の雰囲気に流されやすい私のことを、おもしろがっていじっていたあの子の笑顔を、私はどこか苦手に思っていた。嫌いというわけじゃない。ただ、あの子の屈託のない振舞いと、そして
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<![CDATA[ 　好きなタイプはと聞かれたら、明るくてジョークの上手い人と答える。そのとき私の頭に浮かぶのは決まってあの子。過去のあの人、思い出の人。たぶんその記憶は美化されている。だってあの子はいつも私のことをからかっていたから。単純で気弱で周囲の雰囲気に流されやすい私のことを、おもしろがっていじっていたあの子の笑顔を、私はどこか苦手に思っていた。嫌いというわけじゃない。ただ、あの子の屈託のない振舞いと、そしていつも楽しそうに毎日を送っているあの笑顔を前にすると、私はなんだか居たたまれなくなって、弱い自分が気になって、嫌になって、だから私は、あの子に無意識のあこがれを抱きつつも、やっぱり、苦手に思っていた。<br /><br />　でもそれがどうしてだろう。嫌な過去。嫌な出来事。嫌な言葉。嫌な目線。高校のときのこと。文化祭の出し物。なぜか私のクラスは演劇をやることになって、私は嫌だった。きっと私は失敗するから。国語や英語の時間、教科書を音読することさえ気が滅入ってしかたがない私なのに、どうして劇なんてやれるだろう。もちろんこんな私に大役が任されるはずもない。出番はほんのちょっと。端役もいいところ。でも、それでも嫌だった。そんな私の予感はやっぱり的中して、簡単な短い台詞を何度もまちがえる。舌をかむ。何度もやり直す。そのたびにみんなが私を見る。またやり直し、やり直し、やり直し……。上手くいくまでやり直し、やり直し、やり直し……。あの目線、あの空気、私の鼓動、私の息、私のおびえ、私の不安、申し訳なさと気まずさで、逃げ出したい。でも逃げることも叶わず、私は目線を下げる。下げる、下げる……。でも、逃げられない。<br /><br />　でもそれがどうしてだろう。そんな嫌な過去の思い出。今でも思い出すことのできる、あの嫌な感覚。でも、それがなぜか……。――あの日の帰り道。もう夜遅い。私はあの子とばったり出会った。中学生のあの子。ジョークが上手くて、頭の回転が速くて、人気者で、私とは正反対のあの子に、ただ数年前に私の家の隣に引っ越してきて、それであいさつして、ちょっとだけ遊ぶようになったあの子に、私は偶然、出会った。制服姿。どうして。もうとっくに学校は終わっているはず。<br />「待っていたんだよ」<br />　私を？　どうして。<br />「だって、今日は誕生日……」<br />　誰の？　……私の。すっかり忘れていた。でも、いいよ。今日はもう疲れたし、祝ってくれる友だちもいないし、夜も遅いし、もう。<br />「そんなのだめだよ」<br />　嫌がる私。しつこいあの子。――弱い私は結局、あの子の誘いを断りきれない。……今でも思い出す。あの日の誕生日。たった一度の、高校二年生の誕生日。あの子と過ごした夜を。<br /><br />　どうしてだろう。あんなに嫌なことがあった一日なのに、あの子と過ごした短い夜のひと時が、あの日をすべて、輝かす。<br /><br />　今ではあの子と遠く離れ、私は在りし日のことを夜更けにぼんやり思い出す。あの子の笑顔を思い出す。あの子があの夜、私に伝えた好きという言葉の、意味を取り戻したいというかのように。 ]]>
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<dc:subject>短編</dc:subject>
<dc:date>2012-05-08T07:27:15+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
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<title>春の雨のパリ　Paris sous la pluie du printemps !</title>
<description> 　観光案内というものは疲れるもので、案内する側はことさら楽しいわけでもない。どこが見たいのかと事前に聞いても、相手はパリに何があるかよくわからないのですべて任せるという。日程も短いので簡単なのでいいやと、凱旋門やエッフェル塔なんかを巡る。　この数日はあいにくの雨で（しかしフランスの春らしい天気ともいえる）、エッフェル塔に登るときも小雨のなか、二時間も待たされた。そのせいで今も風邪気味だ。黙々と並ん
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<![CDATA[ 　観光案内というものは疲れるもので、案内する側はことさら楽しいわけでもない。どこが見たいのかと事前に聞いても、相手はパリに何があるかよくわからないのですべて任せるという。日程も短いので簡単なのでいいやと、凱旋門やエッフェル塔なんかを巡る。<br /><br />　この数日はあいにくの雨で（しかしフランスの春らしい天気ともいえる）、エッフェル塔に登るときも小雨のなか、二時間も待たされた。そのせいで今も風邪気味だ。黙々と並んでいると、目の前の子ども連れのご夫婦が二時間待ちだってうわー！（英語）とかいって、さっさとずらかっていく。あなたたちの選択は賢い。エッフェル塔は逃げない。何も雨の土曜日に二時間も並ぶ必要はなかろう。私も見習ってずらかりたかったが、しかしそうはいかないのが人生のきびしさである。<br /><br />　それで一時間ほど並んでいると、眼鏡をかけた細身の旦那に英語で話しかけられる。いやフランス語で話してくれ英語は知らなんだというと、いやおれは英語しかわからんといわれる、じゃあ英語でいい何用か、このエッフェル塔には階段で登るのかリフトで登るのか？　リフトだよたぶん、うむそうか、という会話が繰り広げられる。エッフェル塔の中に入るにはリフトだが、降りるのは階段でもいいらしい。まあくわしいことはわからん。<br /><br />　以前もいったかもしれないが、私は高いところが好きだ。東京タワーも好きだしエッフェル塔も高いから好きだ。しかし京都タワーはべつに好きでもない。理由は、ねえ、まあいわなくていいでしょ。<br /><br />　ヴァンセンヌの城も好きだし、凱旋門も好きだ。高くて気分がいい。帰りに凱旋門の近くのレストランに入ると、店員のおばちゃんに、日本人のお客でフランス語を話せたのはあなたが初めてよといわれる。それ本当？　ここパリでしょ？　もしかしたら、おばちゃんのリップサービスだったのかもしれない。しかしそんな変な気の使い方するか？　謎である。 ]]>
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<dc:subject>雑感</dc:subject>
<dc:date>2012-05-02T18:23:33+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>「ミルキィホームズ」二次創作　～小衣ちゃんとデート～</title>
<description> 「コ、コーデリアお姉ちゃん……？　――って、小衣がそんなこというと思ったかー!!」　曇り空が怪しい午後のこと。人々が足繁く行き交う広場の真ん中で、私はいつものようにお花を配るバイトに精を出していた。能う限りの愛想を振りまくとびきりの笑顔とオペラの発声のコツを駆使した聴衆を魅了する魅惑の声音でかわいいお花の販売に勤しんでいた私だったけど、私のそんな努力に反し、今日もいつものように売れ行きは芳しくない。どう
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<![CDATA[ 「コ、コーデリアお姉ちゃん……？　――って、小衣がそんなこというと思ったかー!!」<br />　曇り空が怪しい午後のこと。人々が足繁く行き交う広場の真ん中で、私はいつものようにお花を配るバイトに精を出していた。能う限りの愛想を振りまくとびきりの笑顔とオペラの発声のコツを駆使した聴衆を魅了する魅惑の声音でかわいいお花の販売に勤しんでいた私だったけど、私のそんな努力に反し、今日もいつものように売れ行きは芳しくない。どうしたものかしら、このままじゃ今日の夕飯もパンの耳だけかしら……と思案に暮れたとき、道の彼方にG4の明智さんの姿が見えた。<br />（あ、明智さんだ……。でも私、正直なところ、明智さんって苦手なのよね。あんまり話したことないし、というか警察の人たちってなんか怖いし、というかというか私ってけっこう警察の人に捕まってるし、シャロくらいよね、私たちのなかで気さくに警察の人に声かけられるのって……）<br />　と、お花はいかがですかーと声を出しながら、私はそんなことを思った。たぶん明智さんもすぐ通り過ぎるはずだから、べつに声かけないでおこうと、そう私は考えていた。……でも、あに図らんや、遠くの明智さんがじっとこっちを見ている……気がする。そしてあろうことかこちらにずんずんと近づいてくる……気がする。――まさかそんなわけないよね、だって私、明智さんとほとんどしゃべったことないし……と、思っていたら、目の前にちょこんと背が低い明智さんが、例の目つきの悪い視線で私のことを見上げていた。<br />「わあ、シャロより背が低いんだ」<br />「いきなりなに失礼なこといってんのよ!!　……あんた、だめだめミルキィホームズのだめだめな一人でしょ？　こんなとこで何やってんのよ」<br />「え、バイト、です」<br />「ちゃんと許可とってんの？」<br />「きょか？」<br />「……はあ、まあべつにいいけど」<br />「そういう明智さんは何をされているんですか？　あ、かわいいお花はいかがですか。無愛想な明智さんに可憐なお花が加われば最強に見えるかも、なんて」<br />「私は今日は早く仕事が終わって、明日もオフだから、とっとと家に帰るのもなんだかなーって。あ、花はべつにいらない。心からいらない」<br />　今の洒落ですか？と聞こうと思ったけれど、ぷいと明智さんは顔を背けてしまった。休みだというなら、なんでそんなつまらなさそうな顔をしているんだろう？　はてなと思ってしばらく考えると、すぐ答えに行き当たった。<br />「わかった！　明智さん友だちいないんですねっ。そういえばG4の人たちからも信用されてないみたいだし！」<br />　じろっと明智さんににらまれる。そして今にも口が開きそこからたまらない悪口が飛び出しそうだったけれど、でもそんなのお構いなく、私は明智さんの手をとっていた。<br />「それじゃ明智さん、私とデートしませんか」<br />「は？　あんた何いってんの？」<br />「いいからいいから、<a href="http://www.youtube.com/watch?v=VglytYbEr_w" target="_blank" title="短いオトメ時間、無駄にしてるヒマない">短いオトメ時間、無駄にしてるヒマない</a>んですからっ」<br />　戸惑う明智さん。でも私はぐいぐいと彼女の身体を引っ張っていく。私たちは街へ繰り出していった。――まずアイスを食べて（明智さんのおごり）、かわいいお店を見て回って、ほら明智さんこの小物かわいい、お揃いにしましょう！とかいって、明智さんに買ってもらって（明智さんのおごり）、カラオケに行って普段のストレスを発散して（明智さんのおごり）、ウィンドウショッピングを楽しみながら、あ、この服、明智さんに似合いそう、ちょっと見ていきませんか、よかったら私も明智さんとおそろいなのがいいなとかいって私の分まで買ってもらって（明智さんのおごり）、それからスーパーに行って、今度、明智さんに料理つくってあげましょうか？とかなんとかいって一週間分以上の食料を買い込んで（明智さんのおごり）、明智さんと私は思う存分、そんなふうにして、楽しんだのだ。<br />　――最初はなんだかんだ文句ばかりいっていたけれど、途中から、明智さんも調子が出てきた。私は明智さんとの仲もずいぶん縮んだかもと思って、こんなことをいってみる。<br />「明智さん、私のこと、お姉さんって呼んでいいですよっ」<br />「コ、コーデリアお姉ちゃん……？　――って、小衣がそんなこというと思ったかー!!」<br />「えー。そう呼んでくれていいのに。……でも明智さんはすごいですね」<br />「そ、そう……？　ま、まあ、小衣がすごいのなんて当たり前なんだけど」<br />「シャロより小さいのにしっかり働いていて、私なんてバイトも上手くいかないのに……」<br />「いやあんたらはまず探偵の勉強をしっかりしなさいよ。――で、でも、今日は……」<br />「明智さん？」<br />「今日は、楽しかったわ。私、あまり友だちとこうして過ごすことなかったから。まあ天才だから周囲と溶け込めないのも無理ないんだけど。天才だから」<br />「それじゃ、明智さん、また一緒にこうして遊びませんか。機会があれば、いつでも」<br />「ほ、ほんと？　――そう。そうね。そう頼まれちゃ、しかたないし……」<br />　そして、そんな楽しい時間が過ぎるのはあっという間。もうあたりは真っ暗で、明智さんもそろそろ帰らないとと呟いた。<br />「今日はもう遅いから、ここでお別れですね。……またね、明智さん」<br />「ええ。それじゃ、また、コーデリア」<br />　そういって、くるっと背を向けて、明智さんは去っていく。私も一息ついて、帰りの道を行く。そんな春の夜。しんと涼しい空気を感じながら、そういえば明智さんにコーデリアって名前で呼んでもらったのはこれが初めてねと、私は気づいた。そんなことがなんだか私にはうれしかった。コーデリア、と、凛とした明智さんの声を私は何度も思い浮かべ、自然と笑みがこぼれるのだった。 ]]>
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<dc:subject>二次創作</dc:subject>
<dc:date>2012-04-30T18:16:11+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
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<title>「ミルキィホームズ」二次創作　～エリーとお茶会～</title>
<description> 「甘えてくれていいんですよ。……私は、その、コーデリアさんの恋人なんですから」　図書館の控室。エリーは図書委員じゃないけれど、ときどき委員会の仕事の手伝いをしているらしい。暇だった私もそんなエリーに付き合って、書架の整理に黙々と勤しんでいたら、気づくともう夕方になっていた。図書委員の人はもう帰っていて、エリーはてきぱきと閉館の準備をこなし、そして仕事が一段落した今、誰もいなくなった閑静な図書館の控室
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<![CDATA[ 「甘えてくれていいんですよ。……私は、その、コーデリアさんの恋人なんですから」<br />　図書館の控室。エリーは図書委員じゃないけれど、ときどき委員会の仕事の手伝いをしているらしい。暇だった私もそんなエリーに付き合って、書架の整理に黙々と勤しんでいたら、気づくともう夕方になっていた。図書委員の人はもう帰っていて、エリーはてきぱきと閉館の準備をこなし、そして仕事が一段落した今、誰もいなくなった閑静な図書館の控室で、あとは鍵を閉めるだけですからとエリーがお茶の用意をしつつ、私に微笑する。<br />「この部屋にあるお茶は自由に飲んでいいんだ。役得ね」<br />「はい。でも、コーデリアさんがいれてくれたお茶みたいに高級なものじゃないと思いますけど……」<br />「はは……。今の私たちの状況を思えば、温かいお茶が飲めるだけで幸せね」<br />　いろいろあって、今は屋根裏部屋で慎ましく暮らしている私たちミルキィホームズ。でも以前はそれぞれ特別の個室を与えられていて、四人が四人とも快適な生活を送ることができていた。現在、その個室の扉は固く閉ざされ、物理的に進入することさえ困難となった私のかつての部屋には、私が苦労して手に入れた自慢の茶葉が今でも変わらず眠っているはず。なんとかしてそれだけでも回収したいところなのだけれど、完全閉鎖された様子を前にすると、私の願いはなかなか叶いそうにないことを得心するほかないのだった。<br />「……コーデリアさん、疲れました？」<br />「……ううん、そんなことない」<br />「そうですか。……でも」<br />　私に熱いお茶の入ったカップを手渡しながら、何ごとかをいいよどんだエリーの、私を見つめる心配そうな眼差しに、私はどこか耐えられないような気がして、思わず目を逸らしてしまった。エリーから顔を背けたその瞬間、嘘つきですと私に呟くシャロの顔を思い出してしまって、私はいいようのない後ろめたさも覚えてしまう。<br />「お茶、温まりますよ」<br />「う、うん。ありがとう、エリー……」<br />　自身のカップを両手に抱いて、ソファーに座っていた私のとなりにエリーも腰を下ろす。――窓から差し込む真っ赤な夕日。どんな物音もからも遠く離れた静かな図書館。そんな静謐なこの雰囲気に、私がどことなく幻想めいた印象を抱いたとき、ふと肩に重さを感じた。視線を向けると、エリーが私にそっと身体を寄せ、私の肩に頭をもたせかけていた。彼女のそんな思いがけない振舞いに、私は緊張してしまったのだけれど、でも少しの間を置いて発せられたエリーの声音の、そのやさしい調子に、私は心を揺り動かされるのを感じたのだ。<br />「甘えてくれていいんですよ。……私は、その、コーデリアさんの恋人なんですから」<br />「……そ、そうね。私はエリーの彼女なんだから……」<br />「そうです。私もコーデリアさんの彼女です」<br />「な、なんだか、そう言葉にすると、こう、なんていうか、き、禁断の香りがしていい感じねっ」<br />「はい。――コーデリアさんはやっぱりそうじゃなくちゃいけません」<br />「エリー？」<br />「コーデリアさんは、お花畑にちょっと頭をやられているほうが、かわいらしいですから」<br />　なんだか何気にひどいことをいわれた気がする。……でも、私に身をもたせかけるエリーの赤くなった顔が可憐で、そしてきれいに見えて、どうでもよくなった。……私もエリーに身を寄せる。エリーのにおいと温かさが意識され、気がつくと自然と私たち二人は互いの手を重ね合わせ、柔らかく指と指を合わせていた。――目をつぶり、エリーの体温だけを心に感じる。それは二人だけの沈黙の時間だった。この上なくぜいたくな、言葉を発する必要もない、甘い沈黙の一時だった。 ]]>
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<dc:subject>二次創作</dc:subject>
<dc:date>2012-04-20T19:10:48+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
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<title>「ミルキィホームズ」二次創作　～シャロとアイス～</title>
<description> 「シャロ……？」「だって、コーデリアさんに好きになってもらわないと……私のこと……だけど……」　シャロに教えてもらったお店のアイスクリームは本当においしかった。それはもしかしたら、ただ単に私が長い間お金がなくてアイスを食べることが叶わなかったって事情も関係しているのかもしれないけれど、でもそれだけじゃなくて、冷たくてそして文字どおりとろけるように甘いアイスに、私はまったく感激したのだ。「すごく素敵な、もう
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<![CDATA[ 「シャロ……？」<br />「だって、コーデリアさんに好きになってもらわないと……私のこと……だけど……」<br />　シャロに教えてもらったお店のアイスクリームは本当においしかった。それはもしかしたら、ただ単に私が長い間お金がなくてアイスを食べることが叶わなかったって事情も関係しているのかもしれないけれど、でもそれだけじゃなくて、冷たくてそして文字どおりとろけるように甘いアイスに、私はまったく感激したのだ。<br />「すごく素敵な、もう最高のアイスだった！　……でも、シャロ、お金、その、大丈夫？　ごちそうしてもらって、私、うれしいんだけど、でも……」<br />「心配いらないです！　今日のためにいっぱいバイトしたし、それに私、コーデリアさんとアイス食べたかったですからっ」<br />　恐る恐る聞く私に、シャロは私の不安を吹き飛ばすかのような満面の笑みで返事する。私と一緒にアイスを食べたいだなんてうれしいことまでいってくれちゃって、私も自然と口元がほころぶ。<br />「――でも、だったら、私ももうちょっとお金出して、ネロとエリーも誘って一緒に食べれば、もっとよかったかしらね。だって、みんな一緒のほうがきっとアイスもずっとおいしいだろうし……」<br />「……」<br />「私たちだけおいしい思いするのも悪いというか。……まあ、ネロにはそんな悪い気しないけど。食べ物に関しては。だってネロったら、いっつも、何かお菓子食べてるもの。それで、お菓子ちょっとわけてちょうだいってお願いしても、ネロっていつもいつも意地悪して、なかなかくれないし……」<br />「……コーデリアさん」<br />「……シャロ？」<br />「……でも、私はコーデリアさんと一緒に食べたかったんです。コーデリアさんとだから。だから、私は……」<br />　ぽつぽつと、言葉をしぼり出すシャロの、その苦しそうな表情。――私は、そんなシャロの反応があまりに思いがけなかったので、足を止めて、シャロを不安な瞳で見つめてしまう。けれど、シャロはそれ以上、何も言葉を発することなく、胸を手で押さえ、視線をさまよわせたあと、幾度か私に向かい衝動的に何かを告白しようと欲するのだけれど、しかしその思いが言葉を結ぶことはついになく、聞きとれるかどうかわからないほどの小さな声で、シャロはただ、ごめんなさい、といった。<br />　――シャロが私に背を向ける。走り出そうとする。でも、目の前の小さな身体が揺れる。バランスを崩したのだろうか。足を滑らせ、斜めに倒れる。シャロの身体が沈んでいく。……シャロが崩れかかったのは、車道の方向。……<br />「シャロ!!」<br />　車のクラクションの音がけたたましく鳴る。――間一髪、シャロを抱き止められたのは、まったく偶然だった。もし私の反応がわずかでも遅れていたら、大変なことに、取り返しのつかないことになっていたろう。<br />「コーデリア、さん……？」<br />「……よかった。本当に、よかった。……はぁ、もう、シャロ、どうしたの？　危なかったんだから、本当に、もしかしたら、危なかったんだから。……でも、よかった」<br />　心の底から安堵のため息をつく私。それに対して、まだ状況をよく理解できていないのか、シャロはどことなくぼんやりした様子だった。私はもう一度、彼女の身体を抱きしめる。<br />「シャロ……もう……」<br />「コーデリアさん……ごめんなさい……私……その……ごめんなさい……」<br />「謝らなくていいの。……ねえ、シャロ、何かあった？　さっきからどこか変よ……？　もし、何か不安なことや怖いことがあるなら、話してみて……。聞いてあげるから、私が聞いてあげるから……」<br />「……」<br />「シャロ……？」<br />「だって、コーデリアさんに好きになってもらわないと……私のこと……だけど……」<br />「……ばかね。私は、シャロのこと、好きよ……」<br />　抱きしめるシャロの身体が一瞬震えたように感じられた。それから、小さな、けれど凛とした声で、こんな言葉が聞こえた気がした。――コーデリアさんは、嘘つきです、と。 ]]>
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<dc:subject>二次創作</dc:subject>
<dc:date>2012-04-12T06:43:40+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>「ミルキィホームズ」二次創作　～ネロとダンス～</title>
<description> 「そうね。ネロって、友だちあまりいないものね」「……それ、どういう意味？」　お昼ごはんのあと、ぽかぽかとした春の陽射しが気持ちよくて、人気の少ない中庭をふらふらと歩いていると、ふと木々の影の向こうにネロの姿がちらっと見えた。こんなところで何をしているんだろうと、林の奥に消えていくネロを不思議に思って、こっそりとあとをつけていくと、そこには無数のネコに囲まれているネロの姿があった。ここらへんにカマボコ
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<![CDATA[ 「そうね。ネロって、友だちあまりいないものね」<br />「……それ、どういう意味？」<br />　お昼ごはんのあと、ぽかぽかとした春の陽射しが気持ちよくて、人気の少ない中庭をふらふらと歩いていると、ふと木々の影の向こうにネロの姿がちらっと見えた。こんなところで何をしているんだろうと、林の奥に消えていくネロを不思議に思って、こっそりとあとをつけていくと、そこには無数のネコに囲まれているネロの姿があった。ここらへんにカマボコ以外のネコがこんなにたくさんいたことにまず私は驚いたけれど、でもそれ以上に、そんなネコを相手しているネロの表情に、私の注意は引かれた。……いつものネロとはどこかちがう。それは、なんていったらいいんだろう、私たちと一緒にいるときのネロとはどこかちがっていて、落ちついていて、楽しそうで――その楽しそうという私の印象は、なんだろう、澄んでいて、そのためにどこか、人じゃなく、動物を相手に無心にいるように思われる彼女の様子は、ふだんのネロじゃない、どこか遠い人のように感じられて、私はネロの静かなその横顔に、しばらくわれを忘れて、見入ってしまった。――でも、ふと体勢が崩れて、足下の枝をがさっと踏む音が沈黙を破ると、それに気づいたネコが一斉にその場から走り去ってしまった。……私の姿に気づいたネロが、あーあといった顔でこちらを見る。<br />「コーデリアのせいで、みんなびっくりしちゃったじゃないか」<br />「ご、ごめんなさい。……今のネコ、みんな野良なの？」<br />「大抵はそうだと思うけど、なかには首輪してるのもいるよ。たまに遊びに来てくれる」<br />　穏やかな口調でネロはそう教えてくれる。私がネコを散らしちゃったことについては別に気にしていないみたい。私はそんなネロの様子が気になって、ふだんはしない、こんな質問を投げかけてしまう。<br />「ネロって、この学校に来る前は一人で暮らしていたのよね。偶然、エリーと出会って、それで入学したって……」<br />「うん。一人で、ネコなんかと一緒に暮らしてたよ。あんまり、他人に興味ないんだ、ボク」<br />「そうね。ネロって、友だちあまりいないものね」<br />「……それ、どういう意味？」<br />　ネロがじとーっとした視線を向けてくる。……は、いけない、不用意な発言をしてしまったかしらと思って、慌てて私はこう言葉を続ける。<br />「わ、私がいいたいのはそういうことじゃなくて……！　……そ、その、今はどう、ネロ。……その、あの、私たちといて、その……楽しい……？」<br />「……変なの。なんでそんなこと聞くのさ？」<br />「そ、それは……だって……」<br />　さっき、ネコと一緒にいるネロの姿が、どこか私たちとはちがうネロの孤独を予感させたから。……とは、口にできなかった。<br />「……大丈夫。ボクはみんなと一緒にいるよ。ここでぐだぐだ過ごすのは悪くないし……」<br />　黙ってしまった私の不安そうな顔を見てか、ネロがくすっと笑って、そう私に答えてくれた。――それから、少しの沈黙。……次第に、なんでだろう、私はなんだか無性に恥ずかしく、いたたまれなくなってきて、もう意を決し、ネロの手をとると、猛烈な勢いで、わーっと中庭へ駆け出した。その私の突然の行動に戸惑って、ネロが叫ぶ。<br />「な、何、どうしたの、コーデリア！」<br />「お、踊りましょう!!」<br />「なんでさ……!?」<br />「た、楽しいから……きっと楽しいから……！」<br />　片手をネロの手と合わせ、もう一方の手をネロの細い腰へと回す。その私の所作にびっくりしたネロが、「ボ、ボク、踊れないよ！」とうろたえるけれど、「お姉さんに任せなさい！」と私は大きな声を出して、ぎこちない足取りながらも、私とネロはステップを刻み始めた。――本当は、私もダンスなんてすごく久しぶりだったんだけれど……ほら……そう……次第にこなれてくる……なんだ……意外と、ネロ、踊れるじゃない……相性がいいのかしら……ほら、さあ……<br />「――踊れるじゃない。ふふ、やっぱり身体は素直ね、ネロ……」<br />「な、何、ばかなこといってるの！　……まったく、コーデリアはばかなことしかいわないんだから、まったく、もう」<br />「……ネロ？」<br />「……どうしたの？」<br />「楽しい……？　私たちといて、楽しい？　ネロはどこかに消えたりなんて、しない……？」<br />「……楽しいよ。楽しいに決まっているじゃないか。ばかコーデリア……」<br />　私たちしかいない中庭のちょっとした余興。私とネロの拙いダンス。ただ、身体を寄せ合った私とネロの、互いを見つめる瞳と、そして時折吹く春風だけが、そのときの私たち二人の気持ちを知っていた。私たち二人だけの秘密のダンスのその理由を。 ]]>
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<dc:subject>二次創作</dc:subject>
<dc:date>2012-04-10T19:43:56+09:00</dc:date>
<dc:creator>石田麦</dc:creator>
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