2007/05/31/Thu
finalventの日記さん「マザー・テレサのこと」
「そういえば、マザー・テレサに会ったことがあるって人の話をきいたことがあるのですけど、マザー・テレサを一目見て、ぞっとしたって。彼女の目はものすごく悪魔的だったって。‥そしてその人は死刑囚にも会ったことがあるって話つづけて、死刑囚の目を見てまたおどろいた。まるで赤ん坊のような純真な濁りのない眼差しをしていたって。そしてその人は聖女と凶悪犯のちがいをいろいろ考えさせられた‥っていうお話。」
「ふーん。それって何かしらね。どちらも常人のおよぶところじゃない領域なのかしら?」
「ううん、これって敷衍できるかもって、その人はいってた。邪悪を自覚できるか、自覚した上で行動できるか、何を行動するか、‥それとも気づかず純真でいるか。‥奇妙な、感じ。」
「善悪、ね。それを支える倫理みたいなのは、どこから来たのかしら。」
2007/05/30/Wed
「今回のお話は‥正直、なんかよくわかんなかったです。いろいろ問題はあったみたいなのだけど、なんだか解決したみたいなので、いいのでないかなー。」
「なんか適当ね。」
「よくわからなかったし、みんな平穏そうなのでいいのじゃないかな。けっきょく訓練ティアナがわるかったのは、基礎を怠ったからって理由なのかな。ちゃんと使えばこんな強力なんだよ、か。ナイフ鷲摑みしたのも、二度砲撃したのも、べつにもういいです。訓練なんてそんなものだね。訓練弾なのでダメージ皆無ですし。無茶をするべきときを見極めろってシグナムは、そのとおりです。前段階のいろいろな不手際も大きいかなですけど、いいません。‥でもこれらの事情おいといても、なんだかうやむやしてるのがある感じ。それって何かなって思えば、ティアナの主張、なのはの気持、シグナムの叱咤、シャーリーのフォローが、ぜんぶ食い違ってるような、なんだかすごいとんちんかんなことしてるような、そんな印象があるからかな。」
「主張が齟齬してるっての? どうかしらね。」
「ティアナは強くなりたい、なのはは無茶してほしくない、でも無茶しないと強くなれない云々ティアナ、無茶すべきときはあるからまておいがシグナムで、なのははむかしすごい無茶して失敗したってオチつけたのがシャーリー。‥どこが違和感なんだろ。よくわかんないです。」
「各キャラの主張はそれでいいのよね。なら、行動はどうかしら?」
「ティアナは睡眠時間削って訓練した。シグナムは鉄拳した。シャーリーはビデオ見せた。そしてなのはは‥撃ち落した、なんて。あはは。やっぱりすぐ暴力はいけないです♪」
「ま、ね。二度の砲撃のインパクトに惑わされてるのよ。きっと。」
「でも‥シャーリーのあの過去映像は嫌だったな。なのはがリハビリしてる痛々しいところまで見せて、なんかやだな。闘病記や病床日記とかいった文章作品に対する嫌悪みたいなのと同じような不愉快感がありました。ああいう、問答無用で感情的動揺を誘うようなやり方は、好きじゃない。フェアじゃないです。」
「あれもひとつの説得なのかしらね。知らないけど。」
「魔法つかって身体に負担、っていうの、ちょっとひどいかな。そんな危険な職業に子ども雇用するのは‥ま、いいです。やっぱりいわない。才能あればそれでいいっていうの、本質的に畸形な思想でもあるよな、そんな印象はありますけど、ね。」
「ま、平和な職場じゃないってことだけでしょうよ。」
「そだね。‥えーと、仲間と理解、思いが通じる、ってのですね。今回のテーマは。‥でもそういうのは、本質的に無茶。そうじゃなくても、それで悔恨、憎悪、悲しみが消えるわけじゃなくて、それは‥孤独に引き受けるしかないものです。だから‥ティアナにはがんばってもらいたいです。そうかんたんにはいかないから。」
「ま、仲間と友人の果たすべき役割はちがうってことよね。そこらのけじめでしょうよ。」
「干渉するな、かな。」
「放っておけ。それで世はこともなし、よ。」
『GOD'S IN HIS HEAVEN. ALL'S RIGHT WITH THE WORLD.』
2007/05/29/Tue
「猥褻って、社会的基盤のさせるものだろうな‥とか思う。明治政府の役人さんが裸体の彫像に布まいた話とか、フランスのカストリ伯爵夫人が裸の彫像いっぱいのルーブル美術館滅んでしまえーってまいにち祈ってた話とかって、けっきょくどこまでも主観的な感想を出ないよね。さいきんのゲームやアニメの倫理的問題も、どこまでいっても恣意的な曲解で云々しちゃうから、決着がつくなんてとても思えないし、だれも決着は望んでないのかも。」
「彫像や宗教絵画も、見ようによっては猥褻の極みでしょうからね。そのまま猥褻として判定できるでしょうよ。」
「それはそうかも。見る人によっては、そだよね。萌えとか全面な作品も、きっとそうだよね。」
「ある種のエロティシズムはまちがいなくあるでしょうね。」
「でも、猥褻とエロティシズムってちがうもの、なのだよね。芸術や愛はエロスとはぜんぜんちがうもの。むしろこうした精神の働きは、エロティシズムがあらわれるための基盤としてあるのかな。宗教的精神‥つまり神聖さが動機だった諸作品の評価は、もっと筋違いなものになる。たぶん、猥褻はこれらの観念をごちゃまぜにしちゃうって誤謬からはじまるもの、かな。」
「エロティシズムは猥褻とはちがう、ね。ならエロティシズムは何かしら?」
「ひどく主観的なもの、ってのは共通かも。どちらもその人の世界の見方、そのものだから。となると、愛もおんなじ、かな。愛とエロティシズムが見分けがたくなっちゃうのはこの点が原因‥だとすると、徹底的に個人のレベルに落ちついちゃうエロティシズムとちがって、普遍を志向するところに猥褻の猥褻たる所以がある、ってなるのかな。だから猥褻は社会的背景のもとにしか生まれえない。」
「それじゃエロティシズムの定義はどんなよ。猥褻は、ま、それでいいとしてもね。」
「‥人を惹きつけるもの、じゃない?」
「あら、シンプルな答えね。」
「でもよくわかんない。人工的なものかなって思うけど、なら神秘さはどこから来るのかなって思うし‥。人あるところ、エロティシズムは威力を失わないとはつよく思う。」
「ま、そうね。人の存在が人を越えない限り、エロティシズムは不滅なのでしょうね。現に今も、こうしてあるのだし。」
「えへへー。エロティシズム、素敵だよね!」
「エロティシズムを不要としたとき、人は人をやめるときとか? SFね。」
「そんなのないよ。人が身体をもってる限り、身体から一歩も出られない限り、思想は孤独にあるのだから。」
「それは、‥寂しいの?」
「お姉ちゃん、反則。」
「‥ま、それでいいのよね。そういうことで、ま、ね。」
『エロティシズムという言葉には、この言葉の使用を困難かつ危険ならしめる曖昧性がある。これについて提出される問題を厳密に解明せんとすることは、最初から、原理の放棄と読者のあいまいな共謀とを生ぜしめる危険がある。』
クロオド・エルサン「エロス的人間」
2007/05/29/Tue
土曜授業復活で一致、教育再生会議・2次報告へ詰め『土曜日授業の実施や教科書充実などの学力向上策や、道徳教育を「徳育」として正規教科とする案を盛り込むことでほぼ一致した。6月1日の総会で最終決定する見通しだ。』
「子どもは遊ばなきゃ。学力なんてそんな気にするものでないです。それに週休五日でぜんぜんいいじゃない。なんでかな。」
「はてさてね。学校の先生、もっと働けってことかしら。」
「よくわかんない話。ゆとり教育のゆとりって、時間的なものでも内容的なものでもないですよ。それは思考幅のことで、つまり戦後教育が追及してきた教育の平等主義は、裏を返せば画一主義でもあって、この論点から形式的平等から実質的平等、つまり多様化が問題となったです。もっともこの多様化も競争を助長するように機能しちゃったかなだけど、詰め込み教育で為されてた方法はたくさんある考え方のなかのひとつにすぎなくて、それを絶対化して、それ以外を排他的に扱ってたってのが問題なんです。枠で生徒をくくってたっていうのかな。これができなきゃだめって感じで。」
「詰め込みに着目すると、それは過度な競争となる大学入試が背景にあったからなのよね。少子化でその背景が変わっていったから、教育の論法もまた変わっていくってだけのことなのだけど、ま、そこらはけっこう泥濘ね。」
「泥沼だよねー。能力主義だっていうけれど、あんがい大切なのは、その能力を視る観点の多様化でこそあって、実際そうなってるし、でもそれをひとつどころでのみ評価するようになってた従来があれれだっただけってことなのかな。‥でも土曜授業の論法はちょっと違和感みたいなのあったから、うん、どうなのかなー‥」
「土曜に行ったって何が変わるのかしらね。ま、深入りせずにやめときましょ。」
2007/05/28/Mon
「新プラトン主義の創始者とされるプロティノスの主著「善なるもの一なるもの」を読了しました。‥私、新プラトン主義‥ネオプラトニズムってよくわかんないです。プラトンの追随者による正しいプラトン著作解釈、みたいな感じかなだから、文献学の流れなのかな。事実、プロティノスのプラトン研究はその多彩な引用、文章展開からも如実にみえて‥当時の世情がプラトン研究の必要性が大きく求められてたっていうのあるけど、それでもプロティノスほど読みこんでる人もないかもです。」
「しかしその説は、プラトンの正しい解釈というよりかよほどオリジナルなものになっていたけどね。神秘主義的な一元論が色濃いのでないかしら。」
「プロティノスの生きた時代は三世紀ですけど、それでもプラトンの時代から500年も隔たってるもんね。プラトンが問題に取り組むと自由な精神の躍動が晴れ晴れと展開されるのに対し、プロティノスはこの世界のたったひとつの存在‥単一者へのこと、に議論がいつもまとめられるっていうのかな。プロティノスには強固な概念があった。この世界そのもの、あまねくすべての知性それ自体、善のイデアの極まったもの、みたいなのが。」
「精神や知性の上位にあり、それはただ一者とよべるだけのものであって、そこから世界は多彩に流れ出てる、ってのね。これがキリスト教神学に影響をおよぼしたって話はすんなり受け入れられるかしら。」
「なんか強固だよね。すごいつよい概念‥イメージかなって思う。揺らぐことないものがあったって感じ。完全無欠のイデア‥なんか、すごいへんな言葉だけど‥みたいなの、二元論を払底した、さいしょから根幹的な一元論‥みたいな印象受けます。‥すごい奇妙な言い方になっちゃった。なんだかうまくいえないです。」
「ま、うまくいえなくて当然じゃない? 悟りのような印象あるし。」
「忘我ってそういうのいうのかな。とてもふしぎ。」
「はてさて。それは世人の知るところじゃないのでしょう。語るに墜する、よ。」
プロティノス「善なるもの一なるもの」
2007/05/27/Sun
「今回はクルツ社長が帰ってきてジャッジメントがやられちゃうお話。‥すごくおもしろくてよかったです。やっぱりセイントオクトーバーは上手だなーって思って、うーん、お話の途中なので今回のエピソード云々するのは野暮だよねー。終盤でストーリーがまとめに入っちゃって、今回のエピソード単体で感想はいえないな。」
「ま、そうね。だいたいセイントオクトーバーって一話で物語の起承転結を満たしてたけど、今回は起承の部分で次回が転でしょうね。」
「そしてラストへ、か‥。セイオクも終盤だね。ほんとおもしろいな‥この作品って。DVDどうしよっかな‥」
「あら。買うの? 集めるの?」
「猟兵の活躍するのはいらない‥」
「まておい。」
「だって猟兵活躍するのすごい癪だもん!」
「癪って、佳代、ほんときらいね‥猟兵もべつに好きであのポジションにいるわけじゃないでしょ。」
「うー‥。でも猟兵は、私の小十乃や菜月をさんざん引っかきまわしたのに‥。だいたいあの変身姿、すごい、かっこわるいもん。ねっ!」
「むちゃくちゃ自己勝手な言い分だこと。」
「
白ロリのキャラクターアルバムをきいて、私は猟兵のことをダゴン教徒に捧げた感じになって、ゆったり気分に浸るの。白ロリのアルバム、素敵‥」
「ダゴンはないでしょ、おい。」
「お姉ちゃん、愛をさがしてよ!」
「わけわかんないから!」
「セイオクもいよいよ終盤、これからどうなるか、心から楽しみです。クルツさま、やっぱりいちばん素敵。」
「悪の君子ね。あそこまで極まると、爽快すらあるかしら。はてさて、どうなることか、ね。」
2007/05/27/Sun
「さいきんは夏目漱石ばかり読んでて、えへへー、漱石はおもしろいなー、って感じで、木陰で「三四郎」を読み終えて、ちょっと休憩。うーん、漱石先生、疲れた。漱石の小説は、感情が直裁っていうか、すごくまっすぐ伝わってきて、言葉に当てられるっていうか、心にひとつひとつが重くのしかかるようなのがある気がする‥。三四郎なんて、淡い表面を掠るような恋愛小説だから、とくにかな。」
「恋愛と言い切っていいのかしらね。恋愛まで発展しもしてないのじゃない?」
「してないねー。恋愛までまだ遠い、片思いにすらなってないかも。ちょっと気になるかな、どうかなーって感じだもん。でも、そんな淡い淡い感情がだいたいの恋愛事情の起点なのかもしれないね。大恋愛劇なんて、ふつうの人に縁ないもん。」
「ま、ね。メディアが大仰なのでしょうけど、人はせまいところで生活してるものよ。」
「漱石は新聞作家だったから、そういうのわかってたのかな。これ、新聞で読んでたらすごいやきもちしてそう。そこでおそっちゃえーって。」
「おそうのはまずいでしょ。おそうのは。」
「あはは。そんな三四郎でも罪の意識、哲学することの在り方が真摯に描かれてて、おもしろかったです。とくに終盤、広田先生が三四郎に夢の話をする箇所は、私、圧倒された。たぶんここはすごい重要なのじゃないかなって。広田先生は猫なのかな。それとも苦沙弥先生?」
「その問いはおそらく無意味ね。高等遊民ここに在り、よ。」
『我はわが咎を知る。わが罪は常にわが前にあり』
夏目漱石「三四郎」
2007/05/26/Sat
「今回はいよいよ舞台本番、開幕のお話。‥やっぱり、本番直前の舞台裏から野乃先輩の声、そして麦ちゃんに至るところは、とてもとても素敵‥。なんかじんときちゃった。美麗は健気だな、理咲や桂木先輩は風格あるな、甲斐くんは微笑ましくて、野乃先輩は変わらず頑固。‥そして麦ちゃんはすごくかっこいい。‥うん、私好きです、この話。」
「今まで積み上げられたものが出てるからでしょうね。少しずつ彼らのしたこと、やろうとしたことが描かれたから、その成長が発揮される本番が、自然と活きるのでしょう。」
「今回、麦ちゃんが本番こわくてどうしようもなくなったとき、逃げたいなら逃げればいい、でも逃げたら、大事なものを失うことになるっていわれる場面、‥ここのやりとりは、ほんと好き。未来を恐れるってことは、先の自分のあり方をこわがって、現在を見捨てて、未来に逃げること。今が早く過ぎればいいのに‥って、今という瞬間をあきらめること、傷つけること。でもそれは今だけじゃなく、がんばってきた過去さえ傷つけ失くしてしまうことだって、理咲はいいます。‥今に向いあうこと。現在に臨むことは、未来を捨てること。そして過去を愛しく想うこと。そしたら、きっと未来の自分は今のこの瞬間を愛するようになるって、がんばるっていうのはそういうことだって、野乃先輩がいいます。そして、これから立ち向かうのはひとりじゃないんだって、みんながいいます。‥この半年を失っていけない、舞台に立つ麦、そして野乃のために身を張る姿は、すごくすごくかっこいい。私は痺れました。やっぱりひとひらはすごくかっこいい、素敵です。」
「嫌なことはしたくない。でも嫌を乗り越えなければって場面は、あるのよね。それはそれがただ不快なだけだからじゃなくて‥」
「もっと素敵な楽しみのために、かな。がんばったほうが、楽しいもん。」
「そうね。もっと楽しくするために、かしら。不快から逃げるだけじゃ、それはきっと仕方がない、か。」
「次回はついに舞台閉幕まで。ひとひらも最高潮です。どんななるかな。私、楽しみです。」
「成功か失敗か、ね。でももうそういう次元の話じゃないのよね。さて、どうなるかしら。」
2007/05/25/Fri
「善意についてちょっと雑感。善意と悪意があるなんていうけれど、もしかしたら人には善意しかありえないかも。人はいつも自分のための快を求めて、自分のために不快を防ごうとする。それがすべて‥なんてはもちろんいわないけど‥いえやしない‥基本的にはよかれと思って人は何かする、かな。道徳は正当防衛や自分を守るために仕方ない状況だったら、意図的にだれかを害することをみとめるけど、これは自分にとってのよかれ‥つまり自己保存のこと。そうなると、人間はやっぱりいいことしかしないものなのだ、その人の立場になって考えるなら、その人の限界に位置づけられるなら。」
「でも現実は、そんなじゃないじゃない。すぐわかることだけれど。」
「普遍的善意なんて、やっぱりないから、かな。でも人は人とつながらなきゃ生きてけないから、普遍は必要ってことになるのかな。」
「ふーん。その場合は、善意は快で、悪意は当人にとっての不快となるわけね。だとするとその主張は、ま、妥当するものなのでしょうね。」
「ほかの人にはわかんなくても、自分にとってはよかれってこと、たくさんいっぱいだから。‥そんなだと、うん、これって当たり前。ふつうのことだね。」
「ま、それを人が孤立することと捉えてもたしかでしょうけど、善意と善意が合致するようなときもあるのじゃない? 愛って、その瞬間を呼ぶのじゃない?」
「‥お姉ちゃんだから好きー♪」
「たまにはくさい台詞いわないとね。ロマンは人生の妙味よ。」
ニーチェ「人間的、あまりに人間的Ⅰ」(アフォリズム102が元ネタ。とても深くて、豊穣な世界。そんなこと感じさせられる本です)
2007/05/25/Fri
曽田正人「め組の大吾」「公務員漫画の傑作として名高い「め組の大吾」ですけど、そういえば私はこの作品はけっこう読みこんだものだっけ、とゆくりなく思い出して、それでどんな話だったかなーって考えると、ちょっと背筋が寒くなるよな、うーん、すごくおぞましいお話なんです、これ。物語は人命救助の天才が数々の極限状況を乗り越えて、人を助け、自分も人間として成長してく‥ってものですけど、その裏は、アイデンティティの際限なき否定、が描かれてるんじゃないかなって私は思います。‥そこが、けっこう、こわい、かな。」
「なんのとりえもなかった自分が天職を得て、自己を確立するけれど、自分の命を顧みない行動のたびに、周囲の人間を巻き込むたびに、自分が何をしてるかってことに直面させられるのよね。これ。」
「なんだろね。単純にいっちゃうと、「命がけで人命救助はぜったいするな」っていう決まりに、「命がけで人命救助しなければならない」っていう、楔を背負った主人公‥ひとりの天才の物語‥。大吾は明らかに常軌を逸した能力があって、それに自分自身も気づいてて、そのことにひどく傷つけられる。彼の才能は彼を蝕み、侵していくけれど、大吾はみずからの天啓に従って、いろいろなものを捨て去りながら、前に前に進んでいく。‥この作品は、選ばれた人間が、敬虔に自分を供する話なのかな。そう思うと、いいようないくらい、残酷。」
「敬虔に、なのかしらね。だいたい撰ばれるってのは、資質に選ばれたってこと?」
「だって、大吾に罪はないもん。人が罪を撰ぶんじゃなくて、罪が人を縁として糧にしちゃう。それは宿業っていうのかな、だったら、やっぱりこの作品はこわいです。ふしぎだね。」
「大吾が苦しんだのを罪だっていうの? それこそおこがましいことじゃない。」
「へらへら死ねたら、それでいいよね。ね、お姉ちゃん。」
「笑って死ねればね。でも死ぬ本人が笑っても仕方ないのよ。周囲の人がへらへらしてない限りは、まったくね。」
2007/05/24/Thu
「いろいろなこと、考えさせられました。私はたしかに拭いきれない甘さ‥みたいなの、あると思いますし、それはけっこう自覚させられる機会みたいなのは、それなりにこれまであった、かな。甘いのかな、私。うん、それはそうだと思う。私はまちがいなくそんな部分がある。」
「そうね。それで?」
「‥優しさ、って何かなってちょっと考えた。私は優しさを『他人のために自分を犠牲にすることを、無感動にする』ことだと考えた。もちろんこれはぜったいの定義でないです。私の考えなんてあやふやなものだし、すぐに変わっちゃう気まぐれなものだから。でも、優しさにはどこか、非人間的なところがあると思います。それは自分を厭わないこと、他人のために自分を捨てることを義務のように考える‥受け入れること。‥優しさには善意も悪意もない。そこには世界に対して自分を捧げるというような、そのことになんの気持も抱かないような、すごい「自分の意がない」なんて印象を受ける。‥私はそれを自分を無にすることかなって思ったり。自分を無にするっていうのは、虚無にするというのとはちがって、虚無にはたぶん善意か悪意の介添えがある。無には善意も悪意もない。だから他意もなければエゴもなくて、あるのはただの犠牲。その犠牲が優しさで、だから尊いものでないかなって、思うのです。」
「それは心身脱落?」
「心身脱落‥。‥ううん、たぶんちがう。私は心身脱落っていうの、よくわかんない。だから何もいわない。」
「あ、そう。賢明ね。」
「もし優しさが犠牲だとするなら、そんなことはほとんどないものだって私は思います。でもそれはたしかにあって、どこにあるかなって思うと、生まれる前にはあった‥なんていうとちょっとあれれですけど、もしくは人が生きてるなかで抱いている、死ぬまで抱いている母親の象徴なのかもかな‥とか思うと、けっこう、うーん‥。私は、無にできない。だからそんなに優しくない。そして、書くことをつづけること‥その行為には、無じゃなくて虚無がひそんでる。私はそれをこわいなって思うけど、でも悪意‥あるいは善意は、私にそれをいつまでかつづけさせる。それは私が私であるから、私が私以外の私を引き受けられないから。‥そして、そこにちょっと孤独があるかな、とか思うとにやりと笑っちゃう。あはは。」
「ま、いいじゃないの。みんなそんなものよ。それは、そういうもので、ってことで、仕方がないって表現に、なるのでしょうね。」
「あと、なのは8話についてですけど、私、なのはのしたことの正当性っていうのは、よくわかるのです。‥わかるなんていうのは傲慢かな。でもそんな気持あります。たぶん、私はなのはがティアナを撃墜したことにショックを覚えたんだろうな。たぶん、それだけなんだろうな。それ以上の理由なんて、何もなかったんだ。‥だから私はショックだっただけ。そして、そのショックを隠さなくて、吐露したとこに私の根本的な甘さ‥があったのかな。私は私の抱いていた理想が、現実によって砕かれた。それはなんてわがまま。エゴイスティックなふるまいかって考えます。快感原則と現実原則‥、あはは、こういうことかなってちょっと思いました。すごく、おもしろい。」
「だからユートピストは孤独なのよ。孤独だからユートピアを求めるのか、ユートピアに焦がれるから孤独になるのか、そこはよくわからないけどね。」
→
善意、雰囲気、作為としての‥→
善意とか悪意とかリリカルとか→
有償と無償
2007/05/23/Wed
「今回は不愉快です。気に食わない。今回の話は‥とてもとても不愉快です。」
「ま、気楽にね。」
「なのはは、舐めてるんですよ。部下のことを、まったく見下してる。7話までずっと見てきましたけど、あれは、あの態度はぜんぜん優しさじゃない。あんなのちがいます。任務に失敗したティアナに、やんちゃしちゃった、とは何事なの。どこまで半人前あつかいしてるのですか。どこまで見下してるんですか。あんな口調は、相手を馬鹿にしてるとしか思えない。けじめがない。相手を責任あるひとりの隊員としてみてるなら、あんな軽んじた扱いはできません。そして見下してるから、模擬戦で奇抜な作戦やられちゃうんです。舐められたほうは、だから‥やっちゃうんですよ。」
「敬語、ねー‥。キャラ付けなのでしょうね。その成否はともかく。」
「だいたいあれのどこが奇抜なの。スバルもティアナも現時点でやれることを精一杯やっただけじゃないですか。それがラフプレーだっていうなら、処罰の仕方がちがいます。まったくへん。あれが教導隊の実力の差をわからせるってやつなら、とんだ野蛮人です。洗練された意図も理由もない。ひどいです、ほんとに。」
「悪口好調ね。どんどんいって。」
「だいたいいつまで訓練やる気ですか。話ぜんぜん進まないで、もう8話じゃないですか。一期二期でいえばまだ4話とかいわないでね。2クールの8話は1クールの8話に相当するに決ってるじゃないですか。論理的に。」
「ま、ね。ストーリー展開は遅いかしら。」
「半ば自信喪失の子にさらに力の差思い知らせてどうするのって話です。だからなのはの教え方は人を選ぶっていったのに。十把一絡げでやるからそうなるんです。いっちゃえば、体罰で生徒を抑えることのできる人は、滅多に体罰しないです。気絶させるほど痛めつけて。わけわかりません。何が悪魔ですか。あれはただのヒステリーです。ふだんはなよなよしてるくせに、とつぜんキレて。阿呆みたい。もし悪魔だっていうなら、ティアナをとことん罵倒するくらいやってください。兄妹そろって無能の駄犬め、くらいに。」
「それ言い過ぎでしょ。そういう色調じゃないのよ。」
「だったらさいしょから軍隊にしなきゃよかったのに。」
「それいったらねー‥」
「なのはは、部下を誇りをもった一個の人間としてみていない。夢をもった、自分で自分のことを考える人間だと思ってない。半人前のガキだと思ってる。たしかにガキです。それは否定しない。でも‥訓練おわった隊員つかまえて、何が飯食って、風呂入って、休んでね♪ですか。彼女たちは必至です。それを、どこまで上から見下せば気が済むんですか。増長して当たり前じゃないですか、そんなふうに扱ってたら。そしていざ手に負えなくなったら力の差を思い知らせるんですか。どこまでプライドのないことするの。ほんとに気に入らない‥」
「ランクの差でしょうね。」
「なのは然り、フェイト然り、はやて然り、何を生き急いでいるのか、わかりません。言動に余裕がない。なんでかな、わかんないな‥」
「さて、何でしょうね。伏線あるのかしら?」
「さいごのスバルはよかったです。なのはに向けたあの目つき。はじめてスバルに好感おぼえました。なのはを、その意気で、殴り飛ばして、ティアナもランスターの弾丸で撃ち砕いちゃってください。二人に期待です。」
「はてさて‥なんか物語の調子が急なのよね。展開の抑揚、もっといいといいのだけれど。」
2007/05/22/Tue
コミックハイ!6月号「今回は稽古から舞台本番に至るまでのお話‥。あはは。麦ちゃんの演劇部での呼び名は麦チョコなんですねー。オリナル効果かな。可愛くて素敵♪」
「ぽんぽんと進んでテンポいいこと。演劇部のまともな公演の一発目ね。」
「まだまともになるかはわかんないけどねっ。‥今回、麦ちゃんが稽古してる最中、研究会での練習を思いだすのは、そういうのあるよねってちょっと共感。なかなかふだんは思い出さないけど、ふとした瞬間にむかしやった経験がよみがえるようなことは、だれにでもあるんじゃないかな。ふだん私たちは目の前のことに必至で、ほかのこと考えるのなんてないけれど、ときたま過去の場景が現在に重なったりするとき、私は過去から連綿とつづいてる存在なんだな、なんてこと思います。‥ちょっとくさいかな。」
「くさい台詞ねー。恥ずかしいこと。」
「‥お姉ちゃんいじわる。」
「ま、それが青春よ。」
「そういう素敵な瞬間をシュルレアリスムっていうんだよねっ! シュルレアリスム宣言に書いてあったような!」
「なんでも超現実にする気かってのよ、それ。」
「本番直前に麦チョコの手を暖めるちとせの姿。甲斐くんはさりげない頼もしさ度が上がってる気がします。そして本番に向う麦ちゃんの姿はかっこよくて、‥ひとひらは主役が映えます。華麗で素敵で、公演がどうなるかとてもとても楽しい。次回にすごく期待です♪」
「いいところで次回につづく‥と。さて、どうなるかしらね。」
2007/05/22/Tue
中野幸次「ソクラテス」「デルフォイの神託ってなんなんだろ‥。ソクラテスより知恵のあるものはいないっていうアポロンの証言から、ソクラテスの回心がはじまるのだけど、その、神託ってなんなのかな。それはほんとに神さま‥かもしれないって思うけど、その縁‥みたいなのに不思議だなって感じる。もちろんソクラテスがそれを選んだわけじゃない。でも託宣がソクラテスを選んだ、とも思えない。むしろその種の信仰をソクラテスは望んでいた‥あるいはソクラテスの重要な動機、そして行為におよぶ一連の流れ。それらって、この世に対して何もできない、なんて諦念に反逆するための行動の、象徴そのものなのかもしれない。‥うーん、なんかぐだぐだ。」
「ま、そういう時代だしね。神託は自明のこととしてあったのでしょうね。」
「巫女さんすごいねって話かな。」
「よくわからないものよ。ある種の畏怖があるかしら。」
2007/05/21/Mon
「夢は体験っていっていいのかな。夢をひとつ見ることは、それはひとつの体験として私に蓄積される、っていうか、もしかしたら夢こそが体験であって、夢のほかに体験なんかぜんぜんないよ、でもいいかもしれない。」
「また何それ。夢が体験であるのはいいとして、夢以外に体験がないって主張はどうよ。へんじゃない。」
「体験って実は何もない、なんて思わない、お姉ちゃん? だってひとつの体験をしたら、それを体験しなかった体験を失うんだよ。もし私がフランスに行ったって体験したら、一生フランスに行かないで済ましたって体験を失っちゃうんだよ。ひとつの体験をするには、かならずひとつの体験を失わなきゃいけないわけだから、生まれて死ぬまで永遠に体験することなんてないんだよ。体験の数はプラス、マイナス、プラス‥で、ずっとゼロ。人は体験なんてしないのです。」
「また妙なこといって。どうせ眉唾よ、それ。その通りだったら人は体験することなんてありえなくなるじゃないの。」
「だから、体験なんてどうでもいいよってことになるの!」
「ま、それはいいとして、夢こそ体験だっていう根拠は何よ。」
「それはすぐ干からびちゃうところ。」
「何それ。」
「夢はどんどん曖昧模糊としちゃって、私たちの手には貝殻が風化して砂となって消えゆくような残滓しか残らない。でも夜になると、そんな欠片がまた再生して私たちのふだんの日常を溶かして、ありうべき、そこに潜む世界の鮮やかさを展開してくれる。夢は体験であって、体験に非ず。それは永遠無限に流転するこの世界のイメージ。だから夢はほんとの体験で、体験と比べちゃもったいないほど素敵なもの。」
「どうも日常の体験をすべて追っ払ったような結論ね。そんな体験きらわなくてもいいのじゃない?」
「体験なんてやだよー。夢のプラトニズム!」
「体験を全喪失したところに、真の体験が挟まる? いやいや、どうも妙ね。」
2007/05/21/Mon
「夢の話。私は以前住んでて、今はもうたぶん閉鎖されてるとこにいた。この場所の夢はけっこう何回かみてるので、私にとってあそこでの暮しは印象ふかかったのかな、それでまた私の目に映じるってことなのかな、とか思って‥もちろん起きてからそう考えたのだけど、夢のなかでもへんなデジャ・ヴュ‥みたいなような、安定感みたいなのがあった‥私は慣れた場所を慈しむような気持になる。そこでは私はひとりきりでいたような、で、そこに住んでる人々は夢のなかだといつも安定しない。変わらないのは、私がそこにひとりであらわれるということ。それで今回の夢でも、私はひとりでそこに向った。途中、何も思い出せないような、私とはぜんぜん縁故のないような人が私に、あそぼう、といった。私はうんっていった。そこでおしまい。」
「で、遊んだのかしら?」
「遊んだのかな。たぶん、あそんだんじゃないかな。どっちでも、いいや。」
「夢ってのはふしぎなものね。私たちにとって、それはどう意味があるかしら。それとも、解釈していいものかしら。」
「夢がなんなのか‥なんだろ、わかんないね‥でも夢に何か私の奥底にあるような、髄から染み出るような、素養みたいなものがにわかに起こってくる‥とかあるかも。‥あ、でも、今日は初夏で気持いい。」
「そうね。初夏、ね‥。葉群の豊穣なこと、ほんとに‥」
2007/05/20/Sun
慈善団体が“ビデオゲームは子供を孤立させる”と『子供の孤立化は、屋外での遊び(石蹴り、鬼ごっこ、ボール遊び)の減少と符号し、いじめや喧嘩など、学校における暴力行為の一因にもなっているとのこと。同団体のLorna Reddenさんは、英国のニュースサイト“Telegraph.co.uk”の取材に対し、「子供はこれまでも、人形や電車のおもちゃなどを使って1人で遊んでいたが、想像を喚起されることで脳が刺激されていた。最近のコンピュータゲームは、子供の思考を奪い、小さな世界に閉じ込めてしまう」と語っている。こうしたことから、同団体は、子供時代に社会的能力を伸ばせなかった成人は、職場や家庭でしっかりとした人間関係を築くことができないのではないかと危惧しているようだ。』
「記事自体は今さら‥なもので、とくに何もいうことないですけど、でもそれでも、孤立、っていうの、あります。そしてそれはどうしようもないこととして厳然とあるし、あってもまた‥それだけのこととして、受け止められるもの。私の考えは、私にしかないもので、それを他人がどんなに思うかとか悩むかもしれないけど、それ以上に、他人は私のことをぜったいに把握できないし、諒解できない‥なんて言い切るのもなんだかなですけど、そのことに早くから直面しちゃう子どもはけっこうたいへん、かな。そしたらその子はそれをわからなくちゃいけない。でもわかることじゃなくて、だからそこに‥世界と向き合う必要性、みたいなのが大切になるんじゃないかな。」
「それは自己と世界との齟齬、ってやつ? 自分の欲求が完全には満たされないってことを自覚したとき、人のユートピアは崩壊するのね。」
「ここに私がある以上、そうなんじゃないかな。‥ちょっとへんな言い方。でもいいや。‥現実原則と快感原則の二つにめちゃくちゃにされちゃって、否が応に孤立した自我‥なんていうより、だれかからも見放された自分の姿が、巨視的にみえるような瞬間があって‥そしてそれを社会的孤立なんて表現するのかもしれないけれど、それはもっと切迫した、ひとつの諦めを要求するのかも。それで、そんな要求があったら、私はどうするか。‥どうしようか。どうもできないかな。きっとどうもできないような、できなかったような、だからこんなであるのかな、‥それでつまり受け入れる、ほかないです。」
「誕生した途端、私たちは快感原則と現実原則の支配する海に浸される、ってのね。皆、そうよ。それだから赤ん坊はまず泣くのよ。」
「‥大したことっていえないね。そんな、ものなのかな。」
「どちらにしろ、そうして揉みくちゃにされるもの。そこに是も非もない、とはいうべきかしら。それとも、黙ってるべきかしら。はてさて‥」
2007/05/20/Sun
「今回はヨシュアが風邪をひいてしまうお話。うーん、セイントオクトーバーはほんと上手いです! 伏線の張り方、表立ってはあらわれないけどしずかに提示される謎の数々、キャラクターの言動がひとつひとつその人物の深みを垣間見させる‥ほんと上手いです。一話一話がそれぞれ起承転結の物語の骨格をもってて、玄人好みなんていわれるのもわかる気するな。‥玄人がどんなかはよくわかんなかったりだけど、とにかくおもしろいです。セイントオクトーバー、とても素敵!」
「また今回はべた褒めね。前回は菜月のことであんなに荒れてたってのに。」
「ほんとは今回もちょっとどきどきだった。」
「気にしないがいいってのよ。」
「菜月のことは胸の奥においといてっ! 今回は功士朗とヨシュアがメインでした。この二人は付かず離れず、お互いをよく知悉していて、三人娘にはない円熟があって、かっこいいです。とくに功士朗の黙然とした様は、ヨシュアにとっては頼もしいのだろうなって思います。酸いも甘いもかみわけた大人な人‥智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。‥なんてね。」
「それで住みにくいところをどれだけくつろげにするか、なんてつづくの?」
「アニメ、みるのも、そんなかな。楽しくしなきゃ、つまんない。セイオク次回も楽しみです。クルツさまだー!」
「いよいよ帰還? もっともパワーあるキャラだから、期待ね。」
2007/05/19/Sat
「なんだかOGsがとても楽しみになってきた気分。私スパロボ好きですけど、でもオリジナルばかりってのはどうなのかな、なんて思ってて。それというのも、オリジナルってなんか胸焼けするような、なんだか胃にたまるような、うーん、味の濃い連中ばかりっていうか、そんな気する‥」
「もともと主人公各ばかりがそろってるからじゃないの? 癖がつよいというのはあるかしら。」
「そだよね、癖つよいよねー。でもラトゥーニやレオナは可愛くて好きだから楽しみです♪ それでロボットのほうはどうかなーと思うと、うーん‥私グルンガストやヒュッケバインってあんまり趣味じゃなかったり。ゲシュペンストはどうかなっていうとぱっとしないかなー。かといってガーリオンとかだと、戦闘機なのに体当たりするのへんじゃないだし。アルトアイゼンやヴァイスリッターはおもしろいと思うけど、大好きってほどじゃないかなです。フェアリオンは、‥もっとかっこいいのあるよねっ!」
「ふーん。ダイゼンガーとかはどうなのよ。あのトンデモ。」
「あ、ダイゼンガーは好きかも。私思うのですけど、ダイゼンガーって実はとても合理的なのじゃないかなって。もちろんロボットが剣ふりまわすのどうかなとかそういう次元のお話じゃなくて、もし剣で戦うロボットがいたとしたら、次元流をえらぶのはすごく合理的かもって。‥剣っていうのはいっちゃえば、鉄の塊であって、武器としてみるならけっこうコストがわるいのでないかなって思うのです。というより、あんなの扱うの、無理、かな。それでそんな武器つかった技術はたくさんの人殺すのに向くはずなくて、けっきょく一刀で目の前の敵を倒すのがいちばん合理的、ってことになるです。鋼の巨塊のようなロボット相手ならなおさら。‥そんなふうに考えると、ダイゼンガーはとても合理的な機体で、ゼンガー親分が参式斬艦刀以外にいらぬ!なんていったのも、あんがい真っ当な判断なのかも。」
「へー。ま、ビームとかじゃない実剣だしね。それじゃアウセンザイターとかは?」
「あはは。あれは無茶苦茶だよ♪」
「‥あっそ。」
「トロンベは考えるだけ無駄なの! ‥ほかに何かロボットあったかな。あ、SRXは無茶苦茶きわまっててみてておもしろいです。アルテリオンはロマンがあってかっこいいです。ビルトファルケンとかビルガーは‥とくにノーコメント。」
「サイバスターとかはなんかないの?」
「サイバスターは、苦手。」
「苦手って何よ。それ。」
「苦手は苦手なの! ‥魔装機神で好きなのはザムジードかな。愚直でかっこいいです。ほかのはとくになし。」
「とくになしって、あんたねえ‥」
「OGsは新しい機体もいっぱいふえてるそうなので楽しみ。どんなの出るかな。血沸き肉躍るようなの期待してます。」
「散漫なスパロボ談義だったこと。OGsがどんな出来かは、ま、待ちましょ。」
2007/05/19/Sat
『絶対的自由はあらゆる価値の破壊であり、絶対的価値はあらゆる自由の排除である。』
ジャン・グルニエ
「自由を主張するところの人にとっていちばん大切なのは、自分が他者とはちがうんだって意識の持ちようなのかな、とか思います。自分っていうたしかな括り、たくさんいる人間のなかで画然と判別された、自分という存在への分明な認識。他者としっかり区切られなきゃ、自由はありえない、のかな。」
「それは、自己意識の在り方の話?」
「自由は自分だけなきゃ、ありないものかな、だよ。自分を主張するから自由が必要になる。他者と自分はちがった存在だから、自由を主張しなきゃままならない破目に陥っちゃう。そんな感じ。」
「自由を行使するのは究極的な個人っていうの? はてさて。なら自由についてまわる責任はどうなるのかしら?」
「ひとりきりであらなきゃ、ってことじゃないかな。自分の価値は、ほかに通じるようなのは、ないかも。そんなの引き受けるの。」
「で、果てしない暗黒?」
「悪は自由の観念なしには成立しないよね。‥たぶん自由の深淵って、悪のための悪のような、呪われた論理を肯定しちゃうとこにあるかも。‥へんかな。」
「それって、つまるところ倦怠するだけの論理よ。十中八九ね。」
2007/05/18/Fri
「今回のお話はすばらしい‥うん、原作屈指のシーンがとても綺麗に描かれて感無量‥。ここから文化祭公演まで怒涛に流れていくんですね。すごく楽しみ。」
「野乃と美麗のなれそめが語られるエピソードね。序盤からの伏線がここで一旦まとまるわけね。」
「舞台直前での手の温もり、知ってほしい世界があって、ほんの小さな言動が人の心を動かし、それがしずかにつながってく‥。美麗の気持は無駄じゃなくて、野乃はそれを大切に想ってる。そしてそれは麦ちゃんにも微かに届いて‥微かな気持は彼女に小さいけれど消えることない意志となってひろがってく。‥ひとひらは最高にかっこいいです。小さなちっぽけな自分だけれど、それでもそんな自分を信じて、恃んで、世界に手が届くんだって、がんばることの意志がここにあることは素敵なんだって、教えてくれる、感じさせてくれる。‥やっぱり私はひとひらに感情移入しすぎてるのかもしれないね。ちょっと思う‥」
「野乃はしかし強情ね。頑固に頑固を重ねたようなところがいいところかしら。」
「あはは。野乃先輩は頑固じゃなくちゃ! ずっとひとりでいて、友だちができて、新たな世界を知った。知ることができた野乃先輩。麦ちゃんは知ることができるかな。その最中? でもだから、無駄にしたくないって気持が、野乃先輩にはあるのかな。‥孤独はありますし、孤独から癒されるということは、たぶん、ないです。でもそれでも愛、なんて呼べるようなのはあって‥そしてそれは自分との‥世界と距離を置いたところの自分と‥向き合う瞬間のようなもの、かも‥。私の孤独は私だけの問題で、あなたには関係ないし、理解もされない。そしてあなたの苦しみは、また私の苦しみと共感するような瞬間はない。‥それでも、私とあなたがふれあった、心のようなのが、きっとあった。あったって信じてる。それは新しい世界です。」
「野乃と美麗の過去を知って、次はいよいよ主役の出番ね。それはもう期待よ。」
2007/05/18/Fri
「善意っていうのは貫いちゃいけないものなのかな‥とか思う。でもそれはたぶんちがくて、ここでいわれるのは、優しさを欠いた善意は、他人を傷つけることへの免罪符としての役割を担うことになる、かな? うーん‥」
「なんかとりとめない話ね。」
「善意を信じると、最終的には人類の普遍的善意みたいなのまで仮定しちゃうことになるのじゃないかな、って思うの。でもそれってなんだろ。善意が悪を作為することもあるし、無作為に善があらわれることもあったりで。‥それで、善意とか正義ってけっきょくは個人の趣味の問題なのかな、だとするとそれが普遍化されないのも至当であるかな、それで微かな善意を信じるってことは、孤独な自分への信頼‥みたいなのなるかも。問題はそれが普遍化されるとき。孤独の悪意が彼我問わず覆われるとき。」
「善意がシステム化されるってこと? それはつまりさみしいってことよね。」
「でもそんな考えることじゃないかもしれないね。善意とかそういうのとか、そんなないもん。そういうのはそんななくて、だから弱い‥みたいな‥。でもべつにいいかな。それでそんなでいいかな。うーん‥わかんない。」
「システムの善意は、雰囲気としての善意、ってのかしら。パターン化されてるっていうの? はてさてね。」
2007/05/17/Thu
「ドライブデート」はもはや死語だ『「彼女を乗せてドライブする」のが憧れだった時代は、どこへやら。今の若者は一体、どんなデートをしているというのか? 「ドライブという言葉自体が、死語になりつつあります」と、自動車産業の分析を専門とする三菱総合研究所の杉浦光氏がこう指摘する。
「ドライブデートの醍醐味は、クルマという閉鎖的な空間で2人っきりになれることです。今は、カラオケボックスなど、車中よりも快適で便利な施設が充実しているので、クルマに魅力を感じないのではないでしょうか」
人気のマンガ喫茶もそのひとつ。座敷タイプの個室カップルシートがある店も少なくない。5時間で1200円ポッキリ。数百万のクルマに投資するよりも、はるかに手軽で、しかも快適にイチャイチャできる。
‥
財布の中身が乏しいのは分かるが、青春時のデートが、“ひきこもり”とは、チョット寂しすぎやしないか。』
「車っていう閉鎖空間が素敵なんだよっていってるのに、さいごで漫画喫茶云々をひきこもりって冷罵するのが文脈の矛盾でおもしろいです。車でのデートがそんな歴史があるものでもないと思うけど‥そういえば、澁澤龍彦がサド侯爵との架空対談で、サドはたしかに森羅万象あらゆるエロティシズムを描ききった。でもあんたの時代にはカーセックスというのはありますまい。その点で現代に生きるわれわれはサドより一歩長ずる部分があるわけだ。へっへっへ。‥なんて笑い話があったっけ。へっへっへ。」
「へっへっへ、じゃないでしょうが‥」
「平安貴族なんかだと一日中ひきこもってるようなものなのにね! 蜜月や愛の秘儀が行なわれるところを、閨房っていうのも、他人をじゃまのけて、自分たちだけの世界をつくりあげるからなんだよね。愛は二人きりでこっそりと‥。ね、お姉ちゃん♪」
「同意求めないでよ。‥でもまあドライブ、ね。ドライブ特有の魅力ってのもあるのじゃないかしら。」
「そうだよね。ドライブなんてめんどくさいよね。」
「あんた人のいうこと聞いてないでしょ!?」
「車あくせくしてきらいだもん。もっと優雅に典雅にいかなくちゃ!」
「言い分はわかるけど、それって漫画喫茶もまた微妙ってことになるのじゃない。」
2007/05/17/Thu
「今回はティアナさんがコンプレックス感じちゃってお仕事失敗するお話。凡人は去れーってお話ですね。去れー!」
「またひどいことね。」
「ティアナは三期ではいちばん好きかも。葛藤があって逡巡があって決意があって、向う先に志が生まれて、見ててカタルシスがあるかなって思う。人間の強弱をうまくあらわしてて、おもしろいなって思います。‥もっといっちゃえば、この作品に出てくる人物のなかで、唯一ルサンチマンがあるような気がする‥。ほかの人たちはなんだかいい人すぎてちょっとあれれだったりするけど‥自分を肯定することのむずかしさを象徴してるキャラクターで、それはつまり未来を盲目的に信頼することに対するアンチになってて、重要なキャラクターなんじゃないかな、ティアナは。それで今回のお話はおもしろかったです。」
「自分が自分であることの難儀さ、ね。それなりに実力があるから余計に身に染みるのでしょうね。」
「それ、辛い‥。なんだろな、スバルとか新人のみんなとか、もっと周囲の人たちとかとの孤独を、ティアナは切実に知ってて、そしてその孤独に賭けてる部分がつよくあるような気がする‥。なんてたぶん深読み。そんなでないかな。ただスバルと出会えたことがティアナにとってはひとつの幸運で、その幸運はティアナに焦燥を要求して‥となると、なんでティアナは六課に呼ばれたのかな。なんか邪悪な意志があったりかも‥それないよね‥ひとつの壁をみせる、ってのか、な。けっこういじわるです。これがなのはのいわゆる徹底的に打ちのめすって教育法なのかな。効果抜群です。」
「黒いジョークだこと。理念ばかりでどう育てたいかよくわからない印象あるかしら。」
「今回はオークションが舞台でした。‥何が出品されてるのかとか、密輸とかどの情報なのとか、なんで六課が出張るのとか、管轄どんななのかさっぱりですとか、いろいろあるけど気にしないで、六課の戦力は異常だって作中で言及されたのはよかったです。これで制限つけてまで戦力集めたことへの伏線ができたかな。どういう意図があってのことか、楽しみです。」
「うまくまとまるといいけど。」
「あはは。そこは期待です♪ ‥それにしてもユーノくんはほんとにさっぱり。こんな出番がないなんて思わなかったな。やっぱり新キャラ増えすぎ、とか、さすがに思っちゃいます。」
「過去は振り返るなってことかしらね。ユーノは過ぎ去りし日々の象徴のような‥」
「お姉ちゃん、切ない‥」
「世界観ががらっと変わったからかしら。前作との繋がりが、希薄になって仕方ないような感じ、あるのよね。」
2007/05/16/Wed
小学校低学年の13%、1人で朝食=「対策が必要」-国民健康調査・厚労省『朝食を1人だけで食べる小学校低学年(1-3年生)の子供が2005年は13.5%に上っていたことが、厚生労働省が16日公表した国民健康・栄養調査の結果で分かった。兄弟姉妹だけで食べる子供を含めると、小学校低学年の40.9%に上り、その割合は12年前に比べ13.5ポイント増えた。
厚労省は「子供だけで食べると、必要なものをきちんと取っているかが分からないことにもつながる。対策を考える必要がある」としている。』
「なんかなんでも問題になっちゃうね。子供だけで食べると‥ってあるけど、ご飯用意するのも子どもなのかな。だとしたら問題。でもそんなのってなんだかあれれ‥って感じで、ちょっと論理の矛盾‥飛躍みたいなのあるよなそんな気分。」
「一人で食事、っていうのが、あれなのでしょうね。問題というか、理想の家族の幸福像みたいなのに抵触するのじゃない?」
「それはそかもだけど‥。でもひとりで食べるごはんもけっこう人生煤けてるような、やさぐれ紛れていいようなそんなのあるかな。ぜんぜん関係ないことかもだけど、一人でごはんは人生の縮図です‥。そんなことときおり思ったりです。」
「そういうこというと、
こういうこといわれるのよ。」
「それで
こんなになるのかな。」
「食こそ人生の果てにあるもの、よ。鬼面人を驚かす体のね。」
2007/05/16/Wed
種村有菜「紳士同盟」7巻「紳士同盟もいよいよ7巻です。前作の「満月をさがして」が全7巻だから、紳士同盟が有菜先生のなかで最長の作品になるのかな。今回は前半が灰音の閑雅と高成のあいだで揺れる心情が描かれてて、後半は潮の灰音に対する気持がついに炸裂しちゃうお話です。‥前半はともかくとして、後半の潮のエピソードはついに来ちゃったかなって感じです。潮はこの作品のなかで、表面はそんなにみえないけど、実はすごく人間くさい感情や葛藤にまみれてるキャラクターでとてもおもしろいです。感情と理性がぐらぐらって安定してないっていうか、自分ではどうしようもない衝動、それを抑えるための欺瞞、そして健気な思いやりが入りまじってて、そのどれもが真実の自分を吐露してる。‥とても健気で、切ない人。そんなこと思います。」
「潮はよくもわるくも精一杯な性格なのよね。相手のことばかりで、自分でもその感情をコントロールできない。そんな状況に自分でもとまどっているって印象があるかしら。」
「潮はふつうの子‥。っていうとなんだかへんかなだけど、素直で真率で、不器用で、自分を肯定できない姿が、人間くさくて‥。逆に灰音なんかは超人っぽいよね。なんか、すごい、活力。みたいな。」
「灰音はなんというか、カリスマ、みたいなのでもあるのかしらね。ふるまいというか影響というか。」
「灰音はまっすぐ、っていうのかな。エゴを全肯定っていっちゃったら、あれかなだけど、でもそういうのあるよね。灰音はひたすら自分そのままであって、それが結果的に魅力と周囲への力を発揮してる。だから迷惑かけてるのもたくさんだろうけど、それもまたひとつ、かな。」
「なんだかんだで主役らしい主役なのでしょうね。よかれあしかれ、らしいっていうのかしら。」
「それとまおらちゃんはやっぱりいいねー。小牧もすごく可愛いです。画面に出てくると映えるよねっ。二人でも一筋縄でいかない性格で‥まおらはとくにそだね‥みてて楽しいです。次巻はどんななのになるかな。なかなか予想できなくて、楽しみです。」
「潮関連のはきつい話になりそうねー。はてさて、どうなるかしら。」
「さいごに番外編のまおらと真栗のお話がいろいろ影があってすごくおもしろかったです。この二人の組み合せがいちばん興味あるかも。」
「‥ところで人気投票、小牧が一位ってのはどういうことかしら。ほんとに。」
2007/05/15/Tue
桐原いづみ「ココノカの魔女」「ひとひらでおなじみの桐原いづみ先生の作品です。8ページのショートストーリーで綴られるほのぼのしたファンタジー。物語は自分とそっくりな顔をした魔女ナノカと薬屋の村娘サラミが出会うところからはじまります。壮大な物語‥とかじゃなくて、ほのぼのした日常が丹念に描かれる、ふとした何気ない言葉や交流で登場人物たちの心が描かれる、そんな作品。‥特筆すべきは背景かな。世界がすごくきれいで、一コマ一コマにあらわれる景色が物語の舞台を鮮やかに映じさせる‥。その世界で生きてるんだなって感覚が、風に流れて私たちに届くような、素敵な印象‥作品です。すばらしいです。すごくすごく素敵な景色、野の花々、草木、風薫る青空。うん‥最高です。」
「あっと驚くような物語の仕掛けや展開はないけど、ひとつひとつがとても丁寧なのよね。キャラクターたちの少しのやりとりで、性格が滲み出るっていうのかしら。」
「ショート形式で描かれてるのも、それに関係してるかな。‥そういえば、ひとひらもさいしょはショートでやろっかなって話だったんだよね(
コミックス一巻参照)。桐原先生は短い展開で、物語を語るのがとても素敵‥。すごいです。手近に作品内の空気が触れられそうな、そんな錯覚を覚えるほど。素敵だな‥すごく素敵。ひとつひとつのシーンはほんと何気なくて、それだけじゃとくに何もないかもだけど、ちょっとした思いが心にたまって、いつしか積もった記憶が、私の感覚に想いを起こさせる。そんな感じ。」
「ふつうなのよね。奇抜なものは何もなくて、人々のありのままの姿が真摯に描かれている。だからゆっくりとした雰囲気が、素直に感じられ、伝わるのでしょうね。」
「それだけ、なんだよね。そして人の気持があって、それが私に届く。‥ほんとに素敵。すごいな‥。ココノカの魔女、おすすめです。」
「日常の自然の美しさ、かしら。そういうもの、あるみたいね。」
2007/05/14/Mon
「あー‥こんなに心乱された‥。なんでかな‥。菜月、猟兵のこと好きになる伏線だなんてあったかな‥。すごい落ちこんだ。わかんないな‥」
「自然に意気消沈してるのだもの。菜月は猟兵に一目置いていた描写はあったけど。」
「だってそれが好きになるなんて思わないじゃない! こんな展開なるなんて思わないじゃない!」
「わ、私にいわないでよ。仕方ないでしょう。」
「仕方ない‥。そだね‥。片思い、かー‥。私、どんな話になるか怖くて夢にまで見たのに‥」
「セイオク、ほんと好きなのね。」
『せやけど、それはただの夢や』
八神はやて。「魔法少女リリカルなのはA’s」
「知ってるよっ! もう! いいじゃないっ。だって猟兵がこんなポジションになるだなんて夢にも思わなかったんだもん! 空が落ちてきたような衝撃だったんだもん! だってわかんないよね! 菜月がそんな本気で好きになってるなんて、あー! わかりませんっ! 戦闘でもいいとこなしでぜんぜん冴えなかった白ロリにこんなテコ入れがあるなんて、予想して然るべき? そんなことないよねっ! 猟兵めー、呪ってマグマに落としてガンバスターで踏み潰してやる‥」
「‥なんとかは秋の空の如し、かしら。」
「‥悲しいけど‥そなのかな‥。‥お話自体はとてもおもしろかったです。さすがセイントオクトーバー。演出が深くて、キャラクターの一挙手一投足に物語の広がりが感じられます。そろそろ佳境だし、どうなるかな‥。盛り上がってきます。わくわくです‥」
「トーンが沈んでるってば。」
「私は冴えない菜月が好きだったのに‥。役立たない菜月が好きだったのに‥」
「しかしそれでも微妙な三角関係でしょ。菜月の立場は変わらず、繊細さが求められるものね。」
「菜月、考えすぎちゃうからね‥。いろいろと先回りして、他人の気持を考えて、なんとかしようとする。そういうの健気だけど、辛いです。気を使いすぎちゃう、っていうのかな‥。三咲なんかは自分のためって一蹴しちゃうかもだけど、ある種の縛り、があるかな‥」
「小十乃は素直なのでしょうね。」
「小十乃は素直で、だから‥小十乃はそれでいいです。そこがかっこいいし、魅力だから。‥ほんと、こんな流れになるなんて、思わなかったな。猟兵はたしかに侮るべき相手じゃなかったです。‥私の負けだよ‥」
「いや。勝ち負けじゃないでしょうよ。」
『恋ほど自分自身への愛が強く支配する情念はない。そして人は常に、自分の心の安らぎを失うくらいなら、恋する相手の安らぎを犠牲にしようと決めているのである。』
ラ・ロシュフコー「ラ・ロシュフコー箴言集」
2007/05/13/Sun
「‥無言。」
「まておい。」
「‥」
「‥なんかいいなさいよ。」
「‥あは、は‥。まんがのほうは、ちがうといいな‥。展開、とか。‥でもセイントオクトーバー好きだから、キャラクターアルバムは買うよ‥うん、買います‥」
「ってか、ほんとに意気消沈してるのね。」
「‥無言の悲しみ。」
「ご愁傷様。」
2007/05/13/Sun
「斜陽で、たぶんいちばんの要所は、母が臨終の席で、かず子に、「忙しいでしょう」ってきくところです。それで「忙しかったでしょう」っていって、死ぬんです。私、太宰は圧倒的だな、って思った。ここがすごいな‥。それで私は圧倒されつつも、この作品に描かれてるさいごの貴族たる母の在り方に、直治のごとく畏敬しつつ、なんだかすごくおぞましい、って思ってしまうのです。‥思っちゃう、な。」
「貴族ね‥。でも貴族かしらね、これは。悠々としたものではないでしょうね。」
「だから没落貴族なのかな。でもそゆのでもない感じもするかな‥。もっといえば、この姉弟は、母親に恋してる。それでそれは、性欲というものに生涯とまどいつづけた太宰の、たぶん生きる上での秘密だったです。この母は‥自分の感情のエゴイズム、みたいなのもってた。それはほんとの貴族的っていっていいような、自己の感情に忠実であるような、そんな体現の仕方。それで、母は身体を省みずに子どもを思いやって、さいごに、自分の感情の高貴を保ったまま、「忙しかったでしょう」って死ぬのです。‥ここに母が没落した、没落せざるえなかった理由があるんじゃないかな。母はその理由を死んじゃうことで、世界に秘め事とした。そんなこと、思います。」
「何事かしらね。それは。人間業かしら。」
「よりよく生きるために、だよね、そういうの。だから、そんな希いがあって、「人間失格」になる。あきらめられないから。」
「それで、没落ね。ひどい話ね。」
「うん。でも、そういうのゆるせないかな。とか、あるかな。太宰はすごい文学者だね、ってお話。」
「ま、それよね。太宰はすごい。まったく、それはそうよ。」
太宰治「斜陽」