2007/06/30/Sat
「母親というキーワードで私のなかのリリカルなのはがいろいろつながってきた感じ。魔法少女で組織ものをやるとき、組織をまとめあげる規律‥みたいなのは本質的に父性のもの。でも父性ばりばりにしちゃうと軍隊全開になっちゃうから、それは作品色としてよろしくない。だから物語の基調は、必然的に母性原理になる。その中心の役割をあてがわれたのは、もちろん主役のなのは。経験を積んで、立派になったなのははすごく最適。‥母性を基調としたからなのはが主人公になったか、なのはを主人公にしたから母性原理になったかは、ちょっとわかんないけど、とにかく作品の舞台たる六課は擬似家族を構成しなくてはならなくなった。それでここが問題。なんだかんだいっても組織は組織だから、家族のノリでうまくいかない場合も多々。そこらが今期のなのはを見てて感じる違和感の大部分なのかな。父性の役割を担うことになったはやての影が微妙に薄いのもそのためかも。」
「大いなる愛に溢れたなのはが物語を救済するというのが、一期二期のコンセプトでもあったわけだし、母性がテーマというのはひとつあるかしらね。」
「そのテーマが象徴されてるのが三人娘で、なのはは少女‥処女性から、母親‥母性を体現するキャラになった。それじゃフェイトはどうかな。母親として描かれるフェイトは、なのはより自然に感じる。それはたぶん一期の実母プレシア、二期のリンディとの絆‥って母親のイメージが常にフェイトにはつきものだったから。それにフェイトは恋する女の子でもあったし。なのはと。」
「‥そ、そうね。客観的にみると‥ねえ‥」
「あはは。フェイトはわかりやすいです♪ 逆になのははさっぱりわからないけど。‥ユーノくんとかクロノとかもぜんぜんだったし。うーん、なのははわかんないなー。」
「博愛なのよね、まったく。」
「はやてはどうかな。はやての場合は、ヴォルケンがすでに家族だっていうのが大きいです。ヴォルケンの父性はわかりやすくシグナムが象徴してるけど、それじゃ母性はっていうと‥私はリインフォースだと思う。シャマルもありかなですけど、リインフォースは圧倒的だった気がする。二期のラストって、母親‥リインフォースが、命と引き換えに子ども‥はやてと騎士たちを守り、新たな命‥彼女の娘であるリインⅡを生むお話なんですよね。すごく壮絶な話だなって、思った。そして失われたリインフォースの家族を守る母親の力を、はやてがそのまま強く受け継いだ‥。だからはやてが見せた悲愴な決意は、そのままリインフォースに重なる部分があるんだなって思います。なんか、すごい。」
「いきなり家族の支えとして描かれたキャラだからかしらね。少女としてのはやては闇の書があらわれた時点で終ったと見るべきかしら‥」
「母性を基点にして考えると、なんだかいろいろ納得した感じ。三期のなのはがちょっと私苦手なのも、あはは、わかった感じ。子どもな私はなのはに怒られるのがこわいのかなー。顔色うかがわなくちゃって。」
「はてさて。深層心理は闇のなか、よ。ま、だれもそこに束縛されてるのでしょうけれどね。」
2007/06/30/Sat
「なのはStrikerS13話でいちばんおどろいたのは、なのはが、母親になってたところ、かな。ヴィヴィオっていう娘を得て、母親としてのなのはの姿が描かれた。それで‥これってだれかが求めてるのかな、とか思ったり。なのはという物語において、なのはが恋愛という側面で描かれたことってないよね。それって、つまり女性性の肝心な部分を意図的に避けたということであって、なのはは少女から一足とんで母親になった。これってけっこうふしぎ。すごいおどろきです。」
「母親のイメージが今作において重要視されているってのは、あるかもしれないかしらね。フェイトにその面は如実ね。」
「うーん、母親かー‥。母親のイメージってけっこう深刻。六課っていう家族においてだと、教官っていう立場のなのはは明らかに禁止と侵犯のイメージをふくんでるように思えます。8話、9話なんて象徴的だったのじゃないかな。母親に逆らう子ども、おしおき、そして和解‥なんていうとまずいかもですけど、強烈に家族的な雰囲気が満ち満ちてるかなって印象あります。‥そういえば、なのははずっと家族の物語だっけ。一期のなのはフェイト、二期のはやて‥」
「そういえばそうね。六課が擬似家族だっていうのは構成上はっきりしてるし。」
「犯すべからざる母親としてのなのは、か‥。なんかファン心理とか考えるとけっこうわくわくする話題かも。危ないけど。」
「危険ね。」
「となると、六課の父性はどこにあることになるのかな。あんがい父性は不在かなって思うけど、強力な魔法が父性の代理を果たしてるのかもかな。はやては大黒柱お父さん?」
「大黒柱って。ま、その役割はあてがわれているのでしょうけど。」
「少女が母親になったのがなのはStrikerSの物語なのかな。だとすると、三期のなのはがイメージ変わったなって思うのは自然なことなのかも。‥私としては、恋するなのはも見てみたかったのだけれどな。」
「そこらは回避されたのかしらね。母性ね‥、ま、自然なのだけれど軽々しくない課題なのかしら。」
2007/06/29/Fri
「たとえば、いじめがいけないよ、ってことを教えたいと思うとき、最適な方法ってなんだろ。いじめは犯罪だということを、徹底すれば、たぶん偽善とか偽悪になっちゃうだろうな。他者を侮蔑したいって気持は、根本的にはすごく人間的なものだから、それをだめだよってすれば、嘘つきを徹底しなきゃ、ならないことになっちゃう。」
「でも、その嘘は、必要なのでしょう。」
「うん。‥でも偽善を徹底させた人間ばかりの世界が、よい世界でもないかもかな。教育してよい人間を作れば、よい社会が必然的にできる‥わけがない。マルクスなんて読むと、けっこうそういった部分に期待してたのだろうなって思います。人間は、教育すれば、よい人間になるわけでもないし、よい人間が集まった社会がよい社会なわけでもない。‥だいたい、その「よい」の基準って何? なんらかの価値感、思想に基づいてるのだよね。特定のイデオロギーに沿わなきゃ、よいわるいの価値感は生まれないものね。‥それでまた、偽善を徹底させるということは、特定のイデオロギーに諾々とする人間を作るということになって、それであるイデオロギーを盲目に信奉することほど危険なことはないじゃないかーってなる。あはは。うまくいかないねー。」
「まったくよ。ならどうすればいいのかしら、わかる?」
「わかんないし、あんまり興味もなかったり。自分勝手の偽善は、偽善じゃないんだよ。他人勝手になるから、偽善は、怖い、のかな。」
「あら。自己のエゴにあくまで忠実にあれってこと? ま、それもむずかしいのだけれど‥」
2007/06/29/Fri
「そういえば、
タミフルまで擬人化されたことがあったっけ‥。こういうのって、単純に萌えとかっていってもいいかもだけど、その希いの根ざすところってなんなのかな。‥擬人化するもの、というのは、当然、人じゃないものを擬人化するんだよね。ということはそれは、人じゃない、人を除いたところの自然にほかならないっていえるかな。」
「ま、そうね。人も自然の裡とはいうけれど、人を自然から外したところに擬人化は可能となるといえるかしら。」
「人が自然に働きかける、自然を人間化する能力だから、かな。それって、つまり人が人を求める‥人でない部分に人の存在を求める、生き物が生き物を求めるって言う欲望に根ざしてるっていえるかも。するとそれは本質的にあいまいな力‥他者を得たいっていう、孤独な人間の気持にあるのかも。だって、それは非合理で、やっぱり、不自然だから。」
「人じゃないところに人の影を見とめたい、っていう欲望よね。自然は本来、人間化に応ずる道理がないのだから。」
「ありえないこと、なのだよね。でもそういったことが望まれているし、私たちの力で、実現されてもいる。そういう、人間化された自然って、なんなんだろ。もしかしたら、人が神話を作り出したって気持と、根本では通じるんじゃないかな。」
「神話? 少し突飛ね。」
「でも、神話も自然の人間化って、大ざっぱにはいえる気がする。それで、神話も言語に支えられた世界観なのだから、私たちの神話は、あんがい、目に見える形になってきてるのかも。」
「はてさて、たしかに擬人化を希う気持っていうのは、原始的なものかしれないけれど。けっきょく、人間は自分らだけが人間であることが、寂しいのかしらね。」
2007/06/28/Thu
「私に出会った不幸を呪えー! ということで、スパロボOG発売です。あはは。でも私はまだ買ってない。」
「い、意味ないじゃないそれ。」
「しばらく時間が経ってから買おうかなーって考えてたけど、だめ‥すごく欲しくなってきちゃった‥。ラトゥーニが可愛くて仕方ないから‥」
「あんたけっきょくそれね。」
「プラトンパンチをくらへー!」
「ぐがっ‥!?」
「夏はスパロボの季節なのっ! ‥日中の暑さが和らいで、虫の鳴き声がりんりんって暗闇にきこえるなか、夜風が濡れた私の肌を通る。そんなときに、スパロボを起動させるのはとてもとても風流です。素敵‥」
「よくわからないこと、まったくいうのね。」
「ところでミロンガって仲間になるの? すごくかっこいい。」
「知らないってば。」
2007/06/27/Wed
「今回は機動六課設立の真の理由が明らかになるお話。‥なんですけど、うーん‥いろいろ詰め込みすぎなのでないかな。いくらなんでも予言で部隊設立っていうのは、あれれ、です。もちろん魔法の世界での予言だから、私たちの感覚での予言といっしょにしても仕方ないですけど、それならそれなりに堂々と正規のルートで予言対策の部隊を用意するのが筋なのでないかなと思うのです。裏でわざわざ身内だけの人員集めた切捨て部隊を用意してまで、予言対策に反対の人がいるとは思えない。だって有識者としてカリムは認められているのですし、三提督がバックにつくくらいなのだから。地上部隊が壊滅するほどの惨事が予想されるなら、管理局のなかでもっと大きく紛糾されるような事態なのだろうし、それなら胡散臭いって理由ではやてたちを嫌ってるレジアス中将ももっと立場が明確になるだろうし‥でもそういうのがないから、裏でこそこそ、どうせいっても信用されないだろうし、危機意識ないし、地上の上層部はいろいろうるさいから、部隊とっとと作っちゃおみたいな、一部の人間の勝手な行動のように見えちゃいます。‥なんていうのかな、六課を堂々と公式の部隊として作られない理由が、描写されてないよな感じ。だからよくわからなくなっちゃう。」
「クライシスな予言、ねー‥。どれほどの確実性があるのか、その能力にどれほど信頼がおけるのか、不明なのが問題なのよね。」
「なのはとフェイトに黙ってたっていうのも、よくわからないです。部隊の中核を担うを二人にはいっておくべきだったのでないかな。‥それと、となるとティアナたち新人は目くらましのため‥にスカウト、されたの、かな。それは悲しいです。うーん‥」
「四年前の空港火災ではやては部隊設立に向けて動き出したのでしょ? ならその前後には予言がすでにあったってことになるのかしら。」
「よくわからない‥。管理局システムの崩壊云々といわれても、管理局がどういった組織だかよくと説明されてないので、ぴんと来ないです。地上部隊といっても首都近辺しか描写されてないから、広大な世界がそこにあるっていうのが想像しにくいかな。やっぱり少し詰めこみすぎかも。新人訓練、レリック、ナンバーズ、人工生命体、組織内部の軋轢、予言‥伏線はたくさんあって内容は豊富なのだけど、その情報が開示されるといろいろ疑問が出てくるような、そんな構成。ちょっとよく理解できないです。でもヴィヴォオがすごく可愛かったから、べつにいいかな。ヴィヴォオ、とてもとても可愛いです。」
「‥ま、ヴィヴィオはおいといても、情報量はあるのよね。登場キャラも数え切れないくらいになってきたし。」
「把握、むずかしい、かな。‥さいごにはやて、あまりそういうこと思わないほうがいいですよ。気負いすぎて、恩返しとか考えるのは、あんまり楽しいことじゃないから。」
「はてさてね。次回はまた訓練かしら。デバイス関連も、まったく盛りだくさんね。」
2007/06/26/Tue
「私が初めてらき☆すたを読んだのは、原作1巻の第4話‥2004年4月号のコンプティークだから、あー、もう三年前になるのか、ちょっとおどろき。私はそのころがいちばんらき☆すたが好きだったころかな。とりあえずキャラが可愛くて、お話もぼんやりしてたから気に入ったです。それで1話2話のコンプティークを探して読んだりして、1話の切り抜きは今でももってる。さいしょのこなたは意外と影があって好きだったな。コミックスになったら修正されててあれれだったけど。たぶん、そこから1巻が発売される一年くらいが私がらき☆すた大好きだった時期だった。」
「そういえば、そのころはいろいろ雑誌買ってたりもしてたっけね。」
「うん。いろいろ買った。コンプティークだけならよかったのだけど、エースや桃組でも掲載されるってことになるから、買っちゃったっけ。‥そのころは、好きだったなー‥。のんびり展開するのが好きだったのかな。今とちがってお話も時間がゆっくりしっかり進行してたし。思うところはあったかもしれない。‥初期はコミックスになることなんて思わなかったのだけどね。そのうちしっかり人気が出てきて、私の愛する作品はすごくなるんだねって、いつものようなの思いました。あはは。」
「ファン心理だことね。」
「一年くらいはずっと好きだった。ゆたかが登場したころも、まだ好きだったかな。そしてドラマCDが出て、そのころはキャラが多すぎじゃない?とか、ちょっと阿諛する部分が強くなりすぎたかなーとか思ってたけど、一応買って、それなり楽しく聴けた。コミックス3巻が出るころには、あーとか思ってたけど、けっきょく買って、アニメ化決まって、4巻は買わずじまい。ほんとにらき☆すたの時代が来たときには、私はらき☆すたから離れてた。三年くらい遅くはまるのだったかな。」
「ふーん。ま、らき☆すたも遠くになりにけり、かしらね。成功したものよ。」
「かがみとつかさは可愛いなーとは、私も思います。今でも、もちろん、ね。」
「なんか無常な話ね。意味がないという点において。」
2007/06/26/Tue
「前世があるとか、よくわからない。もし前世の私があったとしても、今の私に前世の記憶がないなら、意味ないな、って思う。それでもし私が生まれ変わるとしても、そのとき生まれ変わった私に今の私の記憶がないなら、それは今の私とどういう関係に置かれるべきなのかな? 私は今の私を知るだけで、だから私は今の私の記憶が失われて、新しく真っ白な状態でもう一度生きろなんていわれたら、そのことに恐怖するだろうな、と思う。それに記憶を失った状態で何度も何度も生々流転を繰り返させる意図はどこにあるんだろ。そんなじゃ反省も悔恨もないのじゃないかな。プラトンのように魂の発展‥みたいなの考えればまたべつなのだろうけど‥」
「前世を信じるか、という問題ね。それは人生にどこまで期待できるかという問題と同義かしら。」
「ボードレールは前世を忌むのは怠け者だっていったんだよね。もう一度生きるのをめんどくさがる怠惰者だって。」
「人生の位置というか、どういう風に向き合ったらいいのかよくわからない問題よね。前世なんてあるのかしら?」
「前世があっても、べつにいいのでないかな。」
「あら。前世の自分や、来世の生活なんて信じるの?」
「今の私は、信じない。でもあってもいいかもって思う。前世の自分も来世の自分も、今の自分とは阻隔にあって、決して出会うことのない、係ることない絶離した枠組みのなかであらわれるよね。‥今の私は、今の私としてひたすら孤独。だから今の私は今しかもたない。私は今の私だけに安楽に、孤独に没頭するだけ。それを知るのはだれもない‥」
「現在しか信じないの? ‥いや、信じるのじゃなくて感覚の問題? ま、そこらに前世があるっていう仮説を信じたくなる、孤独な人間の慰めがあるのかしらね‥」
2007/06/25/Mon
「「それから」はけっこうホラーなのじゃないかな、って思ったり。それからそれからどうなるのっ?みたいな調子で物語が進んでいきます。だから題名がそれからなんだね。うん、けっこうほんとかも。」
「ま、基本新聞小説なわけだしね。興味が明日につながるようにというか、そういう書き方はされているといえるのかしら。」
「それからは姦通小説なのです。手っ取り早くいえば、不倫物。高等遊民である主人公の代助は仕事せずに気ままな生活してるのですけど、学生時代の友だちだった平岡に、当時自分も好きだった女性‥三千代をくれちゃうわけです。お前、三千代と付き合っちゃえーみたいな。自分も好きで、たぶん三千代も代助を焦がれてた。でも主人公はそれを親友に譲っちゃうわけです。ここらの心理がとてもおもしろい。ほんとは自分のが好きなのに、他人を尊重しちゃう心理。義侠心ともいうのかな。自己犠牲による自己陶酔っていうのか、そういうのがあって、漱石先生はこれを無意識の偽善っていった。フロイト先生なら無意識の抑圧っていうのだろうな。」
「金に不自由せず、社会に分断されることをとことん嫌っている主人公、か。色褪せない主題だこと。」
「社会の欺瞞と、個人の欺瞞。どうしてほんとは好きだったのに好きだといわなかったのか、友だちにいいところそんなにみせたかったのか、自分を善人だと思いたかったのか。‥そしてそんな主人公に周旋された三千代の気持とかは、いろいろ切ないです。自然に生きられればそれでいいのだけど、それがすごくむずかしい。自分の気持に正直になることが、なんだかすごく厄介だ。心の叫びに正直になれればいいのだけど、それがまったく簡単じゃない。もしかしたらそんなのぜんぜんできないのじゃない? 代助はけっきょく、家族や友だちの何からも見放されるかわりに、三千代の愛を得ます。‥愛情の狂気性とは、こういうのをいうのかな。」
「淡々としてるのよね。感情の熱烈なもの、嫉妬の爆発とか、ないのよね。」
「叫んだり、喚いたり、漱石の小説の人物はしない。感情を破裂させるような行動は嘘だって、ほんとうの感情じゃないって、漱石はいう。だから漱石の人たちは、しくしく泣く。日々の平凡な変わらないまいにちに静かに傷つけられて、静かに過ごしていく。‥だから、そこにすごく狂気の香がある。夏目漱石のふくよかで、濃い世界の秘密はそんなところにあるのかな。人は人に嘘をついて、悲しむもの。‥やっぱり私は坊っちゃんが好きかも。敗北する坊っちゃんの姿が、たまらなく、好き。」
「三四郎、それから、門。この三部作に共通する歯車は何かしら。ま、漱石論なんてこれ以上増やしても仕方ないのでしょうけれど‥」
2007/06/25/Mon
「私はそれほど男と女の差みたいなの考えたことないですけど‥性差っていうのは大部分社会がつくるものだし、時代によって変わるものだから‥男は自分のことを男だと思ってるし、女は自分のことを女だと思ってる。でもそういった意味での自覚‥性意識は社会性によるものだってのは、そうだよね‥私が男だ女だいうときの言説は、仕組みとして生物的な性差のうえになるものでなくて、ひとつの幻想です。でも意識自体が幻想だから‥私たちみんなの共有する‥話はむずかしくなる。それじゃ性差ってないの、というと、たぶんまちがいなくあるだろな。私のなかには、男と女の両方がそれなり混然としてあるよな感覚‥が、あるかもってけっこう感じる。そうだとすると、表面のちがいなんてほんと意味なくなる。そしてすべての前に、私の核が孤独としてあることを感じる‥それはもしかしたら救いかも、なんて思ったりも、する。」
「ジェンダー論ねー。興味あるの?」
「あはは。ないよ。私はそういうのぜんぜんない。課題として、与えられてないかも。‥それで夏目漱石の「それから」ですけど、この小説のなかで、三千代が、喉が渇いて仕方がないって訴えて、水をもってくるのも待たずに、活けた花の水をごくごく飲んじゃうシーンがあるです。‥それが、すごく、私に扇情的なもの、感じさせた。真似、できないかな。」
「しかしそれは、見上げたことよ。まちがいなく。」
夏目漱石「それから」
2007/06/24/Sun
「ヨシュアは火の涙を流す、か。他人のことを信じることって、けっこうあれれ、です。人は、感じることは、信じられないですよ。‥他者をそこに感じるとき、私は貴方を信じるのかな。愛を感じているとき、私は愛を信じている‥ってことになりません。だから愛を感じさせることと、愛を信じさせることはちがう。ベクトルか、次元がちがうのかも‥。小十乃はヨシュアを助け、そしてその気持は世界に響いた。世界にいる人たちに、だれの言葉かはわからないけど、彼らが知ることはないけれど、小十乃の叫びはたしかに届いたです。それは‥すごいな。素敵だな。」
「感じるから信じることなんてありえないということもあるし、感じないのに信じきることもあるから、むずかしい問題ね、これは。」
「功士朗も象徴的です。記憶って感情のことかなって思う。だから過去に決着をつけるっていうのは、今の自分の感情に向かいあう、そしてけりをつけるってことかも。‥功士朗は大人です。ある意味、クルツ社長と対極にいる人かな。永遠の子どもと、大人。」
「力あふれる人ね。頼りがいあるもの。ヨシュアも世話になってるのよね。」
「それと菜月。あはは。菜月はおもしろかったです。ラジオで菜月が小十乃ちゃん好き、猟兵も好き‥菜月ちゃんは両方いけるんだねっ‥みたいなお話あって、私納得。菜月はどっちもぜんぜんだいじょぶな人、やっぱり私大好きです、菜月素敵っ!」
「まー‥愛があるのはいいことよ、ほんとうに。」
「三咲はなかなか。運命ってなんだろね。私わかんないです。お姉ちゃんわかる?」
「未来を神に委ねる、よ。」
「もうセイントオクトーバーもおしまいかー‥。次回が最終回。すごく楽しませてもらって、ちょっとさみしいかな。どうなるか、さいごまで楽しみです。すごく期待。クルツさまどうなるかなー。」
「はてさてね。どう決着がつくか、物語のラストを、期待しましょ。」
2007/06/24/Sun
「夏目漱石を読んでて少し思うけど‥漱石先生の苦悩のひとつは、分けられることへの本能的な嫌悪なのかな。近代は‥あるいは科学かも‥あらゆるものを分けてしまって、それにあわせて時間も細分化して、人と人とを一人ひとりに、私がする行為をその行為自体っていうふうに独立化する。どうして行為をひとつごとに分類するかっていうと、それに意味をもたせるため。意味をもたせて、完結させるため。どうして完結させる必要があるかというと、売買行為を行なうため。意味は価値で、価値は基準として私たちに必要だから。それはとても合理的で、合理的ということで無条件に肯定される要因をもってる。素朴に事実判断するなら、それはそのまま、私たちには当たり前のことのように思えるから‥。でもほんとは、私たちは分類化された時間を生きてるわけじゃなくて、私という存在を誕生してからたぶん死ぬまで一貫して生きている。そのことは、ミクロな視点でみてると気づかないけど、百年の計として考えるなら、きっとマクロな広大な世界に私を無化させる力を発揮する。そしてその共同性は、私という個性を埋没させ、無意識の連帯の幸福に私を浸らせることになるのかな。‥でも、たぶん、私は分類化された孤独な個人に留まろうとするのかも。そしてそのことは私のエゴにほかならない。そのエゴが、「こころ」のKを自殺に追いこむ。それでも私はエゴを主張しつづける。私はKを殺しつづける。」
「そこまでして、他人を害して、自分自身にこだわるのはなぜかしら?」
「私は、私として、救われたいから、かな。でもなんてわがままなんだろ‥。報われない。」
「報われることを望んでないでしょ。それが何にもまして、救われないのよ。」
2007/06/23/Sat
「アニメが終ってもひとひらはつづく。というわけで、コミックハイ七月号です。コミックス4巻の着せ替えカバーまでついてます。野乃先輩が表紙だよ!」
「着せ替えカバーって、どこにでもあるのねー‥」
「今回は演劇部再公演がなんとか成功するお話。麦ちゃんの新たな役者としての第一歩。緊張しつつもしっかりと役柄を演じきる様子を見ると、麦ちゃんも変わったなーって感慨ふかいです。魔女の衣装もとても可愛い♪」
「ほんと、本番前に気絶するような子だったのに、成長するものね。」
「主役のたまちゃん先輩が可愛い‥。地味だけど漢らしいってコミックス2巻のおまけ四コマでお話あったけど‥けっこう素敵です。そういえば部長さんなのだっけ。」
「美麗とはぜんぜんちがうものね。部活内の印象はどんどん変化してくもの、か。」
「それでも榊部長の影響は大きすぎたみたいだけど。あはは。‥麦ちゃんも舞台に立つことで、演劇部でもがんばれるって自信を得た。甲斐くんもちとせもいるし、これから楽しみです。どういう展開になっていくかな。あときょーちゃんはがんばれ。逃げ出したくなっても、逃げられないのは、運命です。前へ進めー。」
「はてさて。それで次号はお休みね。果して演劇部にさらに進入部員が入るかは、謎ね。」
2007/06/22/Fri
「そして最終回。人はいろんな思いを残して去っていくもの。ただそのときが来ただけっていう、麦ちゃん。そのとおりです。心残りというものは、どうしたってやっぱりあるものです。記憶は、自分の勝手にはできないから。‥でもそれでも、肯えない何かがあって、それはたぶんある感情であって、それで心残りの核心も感情だから‥麦ちゃんは行動を決意する。‥感情を滅却すれば、楽かもだけど、それはなかなかできないのが人間だから、ね。」
「思い残しのないというのは難儀なものね。不可能に決ってる。」
「ちとせも‥思いが実るとは考えてなかったのだろうな。たぶん‥ぜんぜんだめだっていうの、わかってたのだろうな。それでも告白しようとするのは、告白したっていうのは、何か神聖な気がする。負けるからやらないっていうの、たぶんすごくずるいのかも。むしろ負けるために何か行なうべき‥? そしてそれは救いかしれない‥。わからないな、やっぱり。」
「過去は悔恨の宝庫よ。そんなものよ。」
「そして麦ちゃんたちは二年生へ。いろいろなものを失って、それでも前へ前へ。うん、素敵な最終回でした。」
「全12話。よい出来だったじゃない。完成度が高くて、安心してみれた。」
「うん。原作大好きな私としては、不満の少ない、思った以上の展開をみせてくれたアニメ化でした。よかったな。とても楽しかったです。」
「これでアニメはおしまい、か。よかったじゃない、本当に。」
2007/06/22/Fri
トーノZEROさん「アニメの時代は終わるのか? すべての映画がアニメになりはじめた現実を前に」
『押井守は「すべての映画はアニメになる」と言った。
要するに、コンピュータのデジタル映像処理が一般化したことにより、実写として撮影された画像であっても、それを素材にして、あたかもアニメのように作品作りを行うことができるということである。
そのような時代に到達すると、実写とアニメの境界は希薄化する。生身の俳優の演技であろうと、絵に描かれたキャラクターの演技であろうと、素材として同列に扱われるのである。』
→
アニメの形式についての話「アニメそのものを好きな人はそんなにいないから、かな。アニメが見せてくれる幻想は、アニメだけに特有のものでなくなった‥なんていうと逆説的かなですけど、私たちはアニメに慣れすぎたのかもです。小説が物語の不可能性に直面したように、アニメもそろそろ不可能を実感してる最中なのかなーとか漠然と思ったり。」
「どうかしらね。形式としてこれ以上の変革はないかもしれないけれど、それはひとつの到達とみていいでしょうよ。」
「到達のあとは、何が来るかな。」
「あら。悲観的?」
「そんなじゃないけど‥。形式として完成するってことは、機能的に無駄なく洗練されていくこととイコールかな。だとすると、もともとあったノイズ‥アニメの未熟さ乱雑さが排除されいくってことかな。すると結果的には良質な作品が増えていくけど、破壊的な開拓者はあらわれなくなっていくのかも。なぜなら、作品の未知の変数たるノイズが失われて、見栄えよくなっていくから。ノイズは個性といってもいいかも。もちろんリスクたくさんっぽいけど。」
「ノイズねー‥。意図的に出せるものかしら?」
「作者の意図するところというより、環境が問題なのかも‥。周囲ががやがやしてたりするのが、ノイズだもんね。」
「今の環境はどうだっていうの?」
「きれいにソフィスティケートされてるのじゃないかな。平坦化されて‥萌えって便利な言葉もできたことだしね。消費するには楽な環境じゃないのかな。」
「形式としての洗練、そして安定へ、か。すると後に来るのは何かしらね?」
「デカダンかな? それもよろし、だね。」
「アニメのデカダン? もうとっくに終ったのじゃないかしら。」
2007/06/21/Thu
「お姉ちゃんお姉ちゃん! 新約聖書の続編書いたよ!」
「その心は?」
「ほどなく必要です。」
「お後がよろしいようで。」
大槻ケンヂ
2007/06/21/Thu
「正気って何かなって思うと、それは常識のことだろうなって思う。正気のルールは常識に依拠して、それだと常識とは何かなーとなると、これはけっこうむずかしい。常識なんてそれなりころころ留まらないもの‥常識を成り立たせているのは社会だし、その社会は不変であることなんてないから、常識もころころ変わるべきもの。でもそれだと常識は役立たないから、ある程度の妥協‥というかあきらめは必要かも。たぶん、他人との妥協という形で。」
「社会をスムーズにならしめるのが、常識だという観点ね、それ。」
「自分の考えが他人と完全に一致するなんて、ふつうないですよだから、かな。でもそれでも社会はあらなくちゃいけない。だから常識はしっかりなくちゃいけない。でも常識を外れたところで成り立つ言説もあるわけだから、またむずかしいのかも。サドの小説なんか、たいがいそう。既成の社会道徳に対する挑戦であった。迫害者サドの唯一の武器が言説だった。‥けれど、それで何か変わった? ううん、何も。常識というのはある意味すごく強固だし、もっと問題なのは常識を私は有ってるって疑わない人のこと。むしろ、けっこう、みんな狂ってる。でもだれも口外しない。するとひどいから。‥そんないう私はどうかなっていう課題は、つらつらと、笑っておしまい。お茶がおいしいなー。」
「正気かどうか、常識かどうかっての意外と無頓着な領域なのかしらね。ま、どうだっていいけど。」
2007/06/21/Thu
「今回は十分おもしろかったです。なのはらしい力ずくの強引なストーリー展開。リミッターとか意味ないなとか、キャラ多すぎじゃないのかなとか、そういうのはとりあえずおいといても、うん、おもしろく見れたです。私は力ずくなのは、きらいじゃないから。」
「荒唐無稽のよさかしらね。ただ勢いがなくなったら、破綻の怖さがあるけどね。」
「とりあえずそんなにいうことないかな。‥そういえば私、レジアス中将ってなんか好きなんです。いってること無茶苦茶で、いかにもな悪役、小者っぽいなーっていうのは、私としても異議なし。そのとおりの人っぽい。でもなんか好き。もっといえば、この作品のなかでのレジアス中将の存在は、みてて好ましいです。」
「はてさて。小者好き?」
「あはは。レジアスが小者なのは見たまま。なら、なのはたちは大者なのかな? たぶん、そうなんだろな。リンディにしろ、クロノにしろ、ユーノくんにしろ、人並み外れたところがあった。はやてと友だちなカリムもそうなんだろな。それで‥そんな彼らを罵倒するレジアスを私はちょっと好ましく思う。」
「一期二期の人物に並なところがなかったっていうのは、そうかしらね。」
「管轄を窮屈に感じて部隊つくっちゃうはやてもすごいし、あんな境涯で一流になったフェイトもすごい。なのはは言わずもがな、ということにしといて‥正直なのはは大者っていうのと少しちがう印象だけど‥そんな人たちと比べると、レジアスはいってることスケール小さいなあははって感じがする。それで‥たいていの人は小者、というかふつうであって、ま、正気でいたいよね。というところでおしまい。」
「頭がいい人はたくさんいるもので、頭がいいから損得もわかってしまう、か。ましかどうかはまた別問題かしらね。はてさて‥」
2007/06/20/Wed
花ざかりの君たちへ「へー。ドラマ化するのですか。‥無理っぽいのじゃないかな。」
「あら。ネガティブ発言ね。」
「うーん‥原作の繊細でとても残酷なゆえに美しい絵柄をどうのとかいうのはおいといても‥これって男子寮に忍びこむ女の子の話‥とかいうとすごくまずい感じですけど、でもほんとだからいっかな。私のとても好きな作品のひとつです。」
「ま、少女漫画の設定が突飛だっていうのは常套句だし、それはこの作品に限らずだし、ということかしらね。」
「ときおり、すごくぞっとするよな怖さがある気がする‥。私がこの作品に抱く感想は、けっこう背筋が冷えるかも、です。狂った奴は、狂ったままにいなくちゃいけない。それが私なりのこの作品への結論、かな。」
「大仰な言い回しね。」
「あはは。ちょっとオーバーかなですけど、すごくすごくおもしろい作品です。めくるめくストーリー展開はとても素敵。‥ドラマ化、どうかなー。」
「ま、心配するのも無意味だし。ぼんやりしてることね。そのうちどうなるかわかるでしょ。」
2007/06/19/Tue
ラッセル「幸福論」「おもしろかったです。それで‥この本のおもしろさは、哲学書のふつうのおもしろさとはちょっとちがって‥というのも、哲学って、ほんと、役、立たない、ですけど、幸福論はけっこう実用的。プラグマティズムあふれてて、すごく有意味な、これ読んでほんと何か変わるかもですよっていってみたくなるような、そんな感じ。そういった意味で、この本はすごくへんな本かな。」
「思想と実践はちがうだなんて、使い古された文句だろうけど、実際はどうなのかしらね。」
「でも思想するのは生身の自分‥でも形而上なばかりだと、いつのまにか自分の身体がどこかに霧消しちゃってるのかも。それが哲学一般のとっつき難さとあれれな不明さの原因なのかもかな。楽しく生きなきゃ、ってラッセルは始めます。幸福論、すごくへんな本です。心から、おすすめです。」
「物が落ちるように合理的なのよね。変な印象はそのためかしら?」
2007/06/19/Tue
痛いニュースさん「【ニセ科学】「水に『ありがとう』と書いた紙を見せて凍らせるときれいな結晶に」…という奇妙な言説が世間に広がる」
「そういえばこんな話ありましたっけ(→
不幸になる権利 人間性の課題)。まだなかなか問題なのかな。廃れないよな、感じ。」
「厄介っぽい印象あるかしら。道徳教育に使われてるってのがねー。」
「科学的にあれれなのはいうまでないですけど、ならとりあえず反証実験すればいいのでないかな。愛情ささやくグループと、怨恨こめるグループにわかれて一週間、水に呪いをかけるとか。あはは。やろー!」
「命題の限定性が鍵よね。‥でも人の気持よ、そもそもの論理が。」
「因果関係がないことの証明はできないなんて、
悪魔の証明もちだされてもあれれだし、人の気持の反証なんてあれれれ、かな。うーん、思ったより厄介かも。そもそものフレームワークがちがうのかな。気持をもちだしてる時点で、議論じゃ意味ないっぽい感じ。」
「なら、どう説得するのかしら?」
「うーん‥『信仰は目に見えぬものを信ずる事である』‥アウグスティヌス、かな。あはは。」
「はい。説得は無理という結論ね。オチがついたこと。」
2007/06/18/Mon
あるSEとゲーマーの四方山話さん「異性をほぼ確実に落とす方法」
『どうやって落とすのかと言えば、感情体積を大きくすること。
情というのは、板みたいなもので、あっちに押しやり、
こっちに引き寄せ、これを連続していると、
あっという間に体積が大きくできる。』
「あー、うん、これがやくざのやり方だっていうのはそのとおりです。ツンデレも実はこんなのっていっちゃっていいかな。もちろんツンデレがやくざだっていうわけじゃないですけど。」
「ま、だれにでもできることじゃないでしょうけどね。」
「そだね。野心か小心か、どちらかわかんないけど、やめたがよろし、です。本音とフォローのバランス、ギャップなんだよですけど、そこでの本音がほんとの本音か、とか、感情体積を増やすために感情の揺れ幅のコントロールの実践をする人は、自分の感情のギャップに戸惑わない、振り回されない意志が必要で、そんなのできるの?なんて思いますし‥。まちがえたら自分が引き裂かれちゃう。だって、たぶん、不自然だから。」
「本来の自分にないカラーを演出するから、かしらね。」
「そういうのがニュートラルにできる人も、いるけどね。‥それでこの話の核心は、そんな感情ギャップオーバーな人に惹かれたい‥嵌りたいっていう相手のほうかもです。めくるめくドラマチックな世界に焦がれる心、かな。それでそんな心と感情体積の技術の上に成り立つものに、愛情はあるかなどんなかな? あはは。おしまいです♪」
「自分に沿わない自分をやるのは疲れるのよ。気楽に適当に、かしらね。」
2007/06/18/Mon
「あの人は遠くになりにけり、かな。距離の話だけじゃなくて、けっこういろいろな面で人と遠くなったな、なんて思うこと、あるかもです。話してて考えがすごくちがったり、思いが齟齬しちゃったり‥なんていうのはおこがましいし、すごく傲慢みたい。過去になった人もいるし、もう会う機会はたぶんないな、それを知ってる自分がいる。再会したところで、何がおこるでもないよねって思ってる自分がいる。‥それでも、私はどこか心の片隅で、その人に出会うことを祈ってる。何の役に立つのでないけれど、私は、それでもときたま考える。」
「あら。珍しい感傷?」
「べつに珍しくもないじゃないかな。人間関係があとくされするの、そういうのって考えてどうこうってできるのかな。」
「人間関係を打算にするっての? 恋愛に対してそう臨む人は、べつに珍しくもないけど、ま、無意味よね。」
「なんで?」
「忘れるからよ。」
「‥お姉ちゃんも、忘れるの?」
「人は人を好きになるし、人は人を忘れるのよ。‥それで、忘れらないこともある。それだけじゃない。ただそれだけ。」
2007/06/17/Sun
「今回は小十乃たちがついにリバース社との決戦に臨むまでのお話。理性と欲求のバランスが崩れて、街が悲劇の舞台と化す。‥理性と欲求のバランス、か。それってなんだろね。手っ取り早くいえば、弱者、かな。人が生きることは、ただそれだけでむずかしいことで、すべての問題は、私は生き難い‥私は弱い、っていう意識に連なるのかも。すると私の弱さは、ほんとなら幸福に生きたかったのだけど、目前の状況はそれを許さないから、その時点での最善の幸福と思われる「死」を選択するのかも。それが前世の三咲の姿であって、だから三咲は一時すべてをあきらめかけた。」
「願いを抹殺するか、それとも意思を抹殺するか、ね。難儀なこと。」
「私は、私の大事な人をある日とつぜん失う。そのことは、どうしようもない意味で、お前は孤独だということを運命から突きつけられるということ。人はその運命を受け入れるかもしれないし、あるいは‥その運命の不条理さに世界の悪意を感じるかもしれない。世界の悪意を信じたとき、人は剣を取るかもしれない。そしてその行動には、どれほどの悲しみとどれほどの孤独があるかわからない。‥だから憎しみの意志のもとの復讐は、苦い正義を、よるべなき正義を植えつけて、人は「支配者」になってしまう。ひとりきりのせまい小さな、世界の美から遠く離れた場所に、終っちゃう。だからエディは小十乃をとめる。正義は願いからしか生まれないんだよって。」
「‥盛り上がってきたものね。セイントオクトーバーも。」
「‥私は欲求と理性は対になるものじゃないかなって思うけど、でも今回のいよいよ決戦!はすごくかっこよかった。功士朗は、ほんと、ひたすらかっこいい人です。あんな素敵な強い人なかなかいない。三咲も小十乃もヨシュアも、功士朗がいるから安心してた面があるよね。ボーリングが戦闘服なのも、らしくて素敵!」
「戦いようがないような感じだけど、ま、べつにいいかしら。」
「いよいよ終盤。クルツさまと雌雄を決するときが来たー! とてもとても楽しみです。」
「はてさて、悪役っぷりが弾けてクルツもいい調子ね。どうなるかしら。」
2007/06/16/Sat
読書マラソン「本なんてたくさん読むものでないですよ。というより、人は本をそれほどたくさん読めないもの、かな。一生のうちに読める本の数なんてたかがしれてるし、だからそんなぱっぱって数を競うような読書は、なんだろな、です。もっといっちゃえば、意味ない、じゃない。」
「ま、ね。そう量だけ主張されてもね。」
「ウィトゲンシュタインは第一次大戦の兵役中にドストエフスキーのカラマーゾフを暗誦できるくらいに読みこんだって伝えられてます。ドストエフスキーしかり、シェイクスピアしかり、夏目漱石しかり、ただ読んでそれで終り、なんてのじゃないよね。一回読んで、それでやったーで、すませていいものでないんじゃないかな。」
「それだけだと楽しみはおそらく、本に期待できるより僅か、かしらね。」
「自分の好きな、大切な本を読み返してみたりして、しばらく放っといて、それでまた数年後に開いてみたりする。長く付き合える著作家の本があるのは、なんだか素敵、ですよ。そうした時間がたぶん自分の思想の核、心の土台を作るのでないかな。人がみんなちがうように、人が出会える本もいろいろちがう。そんななかで、自分が手にする機会にめぐまれた本は、ひとつの運命ですよ。まちがいなく。」
「運命、ね。佳代はそういうのあるの?」
「私は‥澁澤とかサドとかかな。いちばん読み返してるのは澁澤かなー。あとアニ横かも?」
「‥アンバランスね。聞くかぎりだと。」
「アンバランスも運命だもん。」
「運命に奇矯もノーマルもない? さて、それはひとつの真理かもしれないかしら。まったく孤独なことだこと。」
2007/06/16/Sat
「ああ、ひとひらはいいな‥。すごくいいな、素敵だな‥。とうとう麦ちゃんが決意をつけられて、とてもとてもよかったです。淡々と静かに、物語が展開して、感情の余韻が伝わる構成で素敵だった。音楽が印象深く使われてた。うん、いいな。」
「別れはいろいろあるけれどってのかしらね。よかったじゃない、しっかり言葉に伝えられて。」
「月並ですけど、別れは、しっかりいったほうがいいですよ。すがったり、うやむやにしちゃったり、そのまま流れて自然消滅‥とかいろいろですけど、でも伝えられるなら、伝えたほうがいい。逃げちゃ、いけないです。‥でも、あー‥なんか感情に来るな‥。私も麦ちゃんみたいな状況になったこと、そういえばあったっけ‥。留学とかそういうのじゃないですけど‥」
「あら。それで?」
「うやむやで逃げた‥」
「‥」
「だって私‥! ‥もうっ! ‥ねる‥」
「寝るな。まておい。」
「‥だから、しっかり別れがあるなら、それは手早くしっかり向いあわなきゃ、だめかな‥。すがりも後くされもないけれど、たぶん優しさみたいなの、問われてる気がします‥」
「しかしみんないい奴らよね。オリナルも甲斐くんも、ほんとに。」
「みんな健気で、すごく‥かっこいいな。ひとひらはほんとにすごくすごくかっこいいです。あこがれるな、ほんとに、かっこいい‥」
「で、次回が最終回ね。どうなるかしら。」
「麦ちゃんのさいごの台詞がとても意味深。どんなことかな、楽しみです。」
「1クールなんてあっというまね。さて、期待しましょ。」
2007/06/15/Fri
「人に嫌われる、なんてことがある。それはてきとーに生きててもまじめにがんばろーでも関係なく、とくにどうともない、よくあること。それでそれはよくあることだから、嫌われたって、べつに何もしないでいいかな。それは仕方ないかな、で済ませておしまい。だいたいこれで平和になるよな気がする。人は他人のことをそれほど気にしてないから。人はひとりひとりそれほど重要じゃないし、私ひとりの、彼ひとりの、行いに宇宙的必然性なんてからむことなんてまったくなくて、だから大したことは何もなし、今日もぼんやり、存在感うすくしてだまって過ぎれば、それでいいよ。人の好悪なんてそんなもの。基本長続きしなくて、もしそれがつづくなら、それは恋愛とか怨恨とか? 濃いものになる。でもそれらも黙ってればそれでいいよ。そのうち、なんだかあれれ、で消えてなくなる。でもそういうのができないと、無理っぽいよな環境だと、粘着的な嫌悪が発生するのかも‥」
「つまりどんな環境?」
「閉鎖的なのじゃない? 過ぎればいいのに過ぎれないのとか。家族とかとかいえば、誤解されそ、かな。」
「宿縁よ、それで宿怨ね。‥不味い話ねこれ。」
「えんは熟成されるから、だね。地獄は目の前だ!」
「目と耳を閉じて孤独に歩め、よ。」
2007/06/14/Thu
中村紘子「ピアニストという蛮族がいる」「読了しました。なかなかおもしろい話がけっこう‥久野久のエピソードなんてあまりに悲劇、かな。西欧文明の奔流に圧倒されて自殺してしまった人。日本初のピアニストとして台頭したはいいけれど、本場の前にあえなく散った‥か。あえなくっていっていいのかな。何か執念のようなもの、鬼のようなものが彼女を突き動かした。著者は宿命が選んだなんていってますけど、私もそう思う。明治、大正、日本が西洋文明に開かれておこる出来事の数々の、避けられがたき宿命性。‥そこで漱石先生なんて読むと、なんか、いいかな。」
「狂気というか真面目というか、何といえばいいのかしらね。資質、必然‥なのかしら。」
「資質が人をえらぶ、のかな。ピアニストのほとんどが早熟な天才‥なんて話きくと、彼はそれをすべき音楽的環境、音楽的必然性があったとか思うと、考えちゃいます。彼らはそれを為すべき天啓‥仕掛けがあった。でもそれはさいしょのはじめ‥つまり彼が生まれる以前、彼がどうしようもできない運命が用意したところであって、そこから先‥彼の人生における彼の営為は、もちろん彼の意志はあるけれど、でも拭いがたき、免れない虚無が、あるのかな‥。あまりに真摯に、あまりに素敵なエピソードは、切ないです。」
「ピアノはある種、完全な楽器といえるかしら。そう書かれてもいるけれど。」
「手段が完璧だと、目的まで完璧にしちゃうのかな。その勘ちがいが、この本に書かれたエピソードの鍵なのかも。」
「手段が完璧、ね。錯覚こそ魅力かしら。はてさてね。」
2007/06/13/Wed
「エトナ。」
「エトナね。」
「今回はついにギンガのリボルバーナックルだー!で、私としては十分満足です。でもいろいろ気になるところもあるので、つらつらと。」
「ま、適当にね。」
「今回のレリック回収任務も六課単独で行ってましたけど‥他部隊に連絡したなんて描写はありましたが‥あれだけのガジェットが出現したのに応援とか来ないの違和感かな。ふつう連携とか、救援の要請とかあるのじゃないかなって。それというのも今回六課は非番の隊員が偶然事件に巻きこまれたから、どの部隊よりも早く事件に関われたというだけで、本来なら他部隊の報告のあとにレリックがらみなので六課も参入、って形になるよね。それなのに活躍するのは六課単独、もちろん時間的なものはあるかもですが、街の近郊での戦闘だってことを考慮すると、ちょっとおかしい、かな。管理局の管轄がどうなってるか、ふしぎです。」
「首都近くなのだったかしら。防空隊とかもあるのよね。」
「ミッドチルダの首都なんとかだっけ。あー‥ミッドチルダってけっきょくなんなのかな。一期二期のころはすごい魔法文明だってこと以外よくとわからなかったですけど、三期になってさらにわかんなくなったような感じ。ある惑星を指してるのか、次元のことなのか、それとも宙域のことかな、各次元世界の連合組織なのが管理局なのか、でもミッドチルダの首都云々っていってたので、だとすると国名? いろいろわかんないです。」
「はてさてね。地球と魔法テクノロジーが隆盛してる以外は変わらない印象だけど。」
「あと今回ぜんぜん休日じゃないのがおかしかったり。でもこれ危険じゃないかな。分隊ごとに非番とったほうが効率よろしだと思いますけど、なのはの過労自爆の例もありますし、ね。」
「集中訓練だけならまだしも、現場にも出張るのが仕事だもの。たいへんよ。」
「リミッター。やっぱりリミッターってよくわかんないです。少なくともプロがすることに思えない。だって無茶すべきときに無茶できなくするのがリミッターですよ。シグナムがいってましたけど、無茶してでもやらなきゃいけないときがあるって。その機会を無駄に失わせるかもしれないのがリミッターですよ。銃火器についてるセーフティとはちがう。すぐ解除できるからとか、ほんとに危険なときはすぐ全力出せるとか、そういう問題でもないです。自分の命を左右するような鍵を他人がもってる。そのこと自体がありうべからざる、ひどい乱暴な管理措置です。」
「ま、ね。申請だの回数制限があるだのいわれると、あれね。」
「もちろんそこまでして精鋭そろえたことに何かの意味があるのだろうなと思いますけど、それが物語の核心なのだろうなですけど、でも違和感は、あるかな。いらない楔にどうしても思えちゃう。」
「はやての威力見ると必要措置にも思えるかしらね。ひとりで強すぎよ。」
「結界とかはらなくていいのかな。前はよく使ってたけど。」
「さてね。」
「でも細かい設定は‥本音をいっちゃえばどうでもいいです。二期でもはやてが一人暮らしなんて無理だよねーなんてあったけど、心からどうでもよかったです。そんなの関係ないから。‥でも三期には、なんていうのかな、そういった設定を華麗に強引に無視してまとめて先に進んでく勢いがなくて、自分の設定に引きずられちゃってる印象があります。いらない自縄自縛になっちゃってるっていうか、へんに設定の合理性を目指しちゃってるっていうか。だから結論としては、なのははなのはが戦えばいいのです。なのはが全力で難関を突破しなきゃ、やっぱりなのはらしくない。いろいろしがらみあるかもだけど、全力の力業でやっちゃってください。なのははそれがかっこいいのだから。」
「それで次回がナンバーズ、ね。敵方そろい踏みかしら。期待しましょ。」
2007/06/12/Tue
『この私の眼前でひとひらが連載し
アニメ化し コミックス最新刊が発売される
親友が留学し 先輩方が卒業し
麻井麦の新たな舞台たる新演劇部が描かれるのを
われわれが
われわれが
この私が見逃しておけるものか
貴様らは震えながらではなく
藁のように読みふけるのだ』
桐原いづみ「ひとひら」4巻「というわけで、ついにひとひら4巻発売です! きゃー! やったー! 4巻ですっ! 3巻が発売したころにアニメ化が決ったんだよね! あれから幾星霜、とうとうひとひらも4巻目‥。望外の喜びとはこのことです。ひとひら4巻を指さずして何を歓喜とするか、やー!」
「相変わらず、テンション変ね。ひとひらだと。」
「私はひとひら大好きだから、ものすごく色眼鏡で評価するの。」
「堂々とそういうこという。」
「4巻は留学話でネガティブ一直線な麦ちゃんが、周りの叱咤と自分の力でなんとか立ち上がって佳代ちゃん見送るのと、先輩方一同無事卒業、そして新年度で麦ちゃんが演劇部に自分の意志で入部して、新歓公演で大ポカ、それで再公演が榊先輩の命令により決定して、麦ちゃんも出演するぞーってなところまでですね。こうしてみるとけっこう内容盛りだくさん。おどろきです。」
「第二部スタートってところかしら。研究会から演劇部へ、ね。」
「二年生になって、それでもいろいろ後ろ向きなの変わってないけど、でもたしかに麦ちゃんはつよくなってる、そんなの感じられる内容かな。オリナルも甲斐くんもさらに絶好調で素敵です。」
「甲斐くんは麦ちゃんとはなんか雰囲気あやしいのよね。」
「あはは。28幕のあとの甲斐くんと麦ちゃんの書き下ろし部分の内容は、すごく素敵。甲斐くん可愛いです♪ あれかな、甲斐くんが麦ちゃん好きなのわかるけど(バレバレ)、麦ちゃんはどうかなー。いつもあたふたしてる印象あるから読みにくい‥」
「いつも一杯一杯なせいかしら。そこがいいのだけど。」
「29幕の野乃先輩の台詞も変更されてるね。コミック158ページなところ。雑誌では美麗のいうことにおとなしく従う野乃でしたけど、コミックでは逆らってます。野乃先輩らしいといえばらしいかな。」
「些細なところだけどね。印象はさして変わらないかしら。」
「個人的に私、音響担当の響さんと麦チョコのからみがすごく楽しみなのです。なんか、二人、いい感じになれそうな、そんな予感。」
「それ、あんたの希望、ってか妄想でしょ。」
「二人仲良くなるの夢みたもん!」
「重症、ってか病気よそれ。」
「麦ちゃんはもてるのっ! ‥さて4巻は見所たくさんです。研究会が終って、物語は次のステージへ。これからどうなるかな。麦ちゃんは何を選んでいくか、とてもとても楽しみです。」
「5巻はこのペースだと半年後くらいかしら。演劇部がどう活躍していくか、楽しみね。」