2007/07/31/Tue
きのこに特化しまくった資格「きのこマイスター」『昨年8月時点では「きのこソムリエをつくろう」という話だったそうだが、「研究会」を立ち上げ、カリキュラムや講師を検討するうち、この「ソムリエ」という名前を正式名称にするには問題があるのではないか……という見解になり、「きのこマイスター」に決定したのだという。
ところで、きのこの資格というと、国の「きのこアドバイザー」というものもあるそうだが、その違いは……。
「『きのこアドバイザー』は、きのこに関する基礎知識や機能についてがメインですが、『きのこマイスター』は、きのこの機能や美味しい調理法など、もっと総合的なものなんですよ」』
「アドバイザーとマイスターのちがいがよくわからないのが気に入りました。けっきょく、どっちもきのこの機能についてなのだよね。なんか、シュール。かっこいいっぽい。」
「シュールかどうかはどうでもいいけど。きのこね。おいしいけど。」
「きのこ採り、さいきんしてないよね。‥そいえばむかし、毒きのこに当っちゃって悲惨なことになったことあったっけ。私はだいじょぶだったのですが、ほかの人が毒に大当たりでのたうちまわって、夜中の惨状、目を覆う。」
「あー‥それ苦しいのよね。夜だから病院も行きづらいし。」
「それで自分もちょっと気持わるいのだけど、がんばって必死に看護してた人が、翌日倒れちゃって、そのまま病院直行。お医者さんが点滴うちながら、あとひとり担ぎ込まれてたら新聞に載りましたよって笑った。新聞載るの、免れました。」
「きのこ食べて、毒ってなったら、それは恥ね。ってか、あんたも食べたのでしょ? よく平気だったこと。」
「なんでかな。たくさん食べたけど無事だった。みんなが苦しんでるの知らずに、夜は寝てた。熟睡でした。」
「看護しなさいよ!? ひとりだけ無事なんだから!」
「だって起こしてくれなかったんだもん! ちなみに私だけじゃないよ! もうひとりも無事だったよ!」
「その人は何してたのよ?」
「朝まで寝てた。」
「どっちもどっちか!? まったく言葉に困るってば!?」
「あはは。でも毒きのこで食中毒なんていうと、素人かーって思うけど、きのこ採りした人はもう何年もしててベテランだったんだよね。油断もあったかもだけど、毒きのこって、見分けるのは意外とたいへんです。図鑑や写真で確認すればっていうけど、それしてもわかんなかったり。むしろよけいにあれれだったり。食べてだいじょぶなきのこと食べてだめなきのこがはっきりわかるようなのならいいけど、そうでなくて見分けがむずかしいのは採らないのが無難。新聞、載るよ。」
「ま、ね‥。経験ある人でもそれはあるし、知識と経験が優れた人でなきゃ、きのこばかりはむずかしいかしらね。」
「でもきのこおいしいよ。きのこ採りは楽しいです。毒はこわいけど、山には図鑑の写真や絵じゃ、わからない苦さがあるから。甘さも、ね。」
「はてさてね。安全だと一目瞭然なのもあるし、ま、経験者といっしょに行くのがいちばんかしら。毒は痛いし。新聞沙汰は勘弁よ。」
2007/07/31/Tue
「教導隊を甘くみるなー! ‥ということで、スパロボやっててラミアさんの話はいいなーヴァイサーガかっこいいなーとかとか思ってたのですけど、インスペクターって、これ、なのはの時空管理局だよね。やってて、素直に思いました。‥インスペクターというのは地球に攻めてきた宇宙人で、お前ら文明下等なくせに戦力ばっか強くてそれほんとじゃまだからおれらが管理してやるぜー、とかいってくるのですけど、管理局もきっとこんなふうにして次元世界の管理を拡張してったのだろうな。こわいな。ミッドチルダって、やっぱりディストピア。」
「はてさてね。ほかの世界を管理する、か。その意識自体は紛うことなき善意からきてるのでしょうけど‥」
「だから厄介、かな。世界が崩れないようにバランスをとる必要がある、かー‥。その思想自体はたぶん善意からきてるのだろうね。そして実際に管理しちゃうのは、そこに自分たちの正当性を信じてるからなのだよね。‥他者が他者を管理する。そこには独善と親切心と暴力が、ふしぎなくらい矛盾なく備わってる。私たちが管理してやれば、それで争いも諍いもなくなるから、憎しみがなくなってみんな笑顔になれるから、だから私たちに従いなさい。それがよいよ。‥とかいって、管理局はほかの世界に侵攻してったのかな。文化に優劣なんてないっていうけど、たぶん建前だもんね。自分たちのが至高だって信じてなきゃ、管理局だなんて名乗れないもの。ミッドチルダはそういった意味で、もっともうまくいったディストピアなのかもかな。」
「ま、なのは三期が常に正しい権力を描こうとしてるっぽいしね。明らかに理想社会を描こうとしたのだけれど、やはりディストピアに行き着いてしまったのかしら。」
「理想社会って何かなって考えると、そこには悪気や憎悪や戦争が根絶された社会。人の負の部分をなくしてしまった世界が夢想されるのかも。それはなのはたち六課にぜんぜん悪い子がいなくて、みんな善意と希望によって仕事してるのみても明らかです。‥人間のやなとこ無くした世界。それがほんとにユートピアかっていうと、やっぱりそんなことはなくて、そこにあらわれるのはありていにいって悪夢だったりする。人の負って、けっこういいものですよ。むしろだから人足りえることができて、そこらがわかんないと、あれれ、かな。最悪にちかい暴力装置が生まれちゃう。」
「無邪気さってのがね。曲者よ。自分が今何をしてるかが、自覚できなくなるから。」
「なのはってまちがえないもんね。わるいこと、しないもん。だから三期のなのははやだ。負がないと人は人でない。だから負を取り除いた理想世界は、他者を取り除いた世界と同じ。力は陰陽から発してるってこと忘れちゃうと、どうしようもないほどひとりきりな権力世界があらわれる。正誤じゃ、ないですよ。」
「あんがい、なのは三期ってディストピア物語なのかしらね。管理局に支配されれば幸福、か。」
「でもだいじょぶ。アルトアイゼンがあれば、管理局に負けない。」
「‥せめてリーゼにしといてよ。勝てそうもなさそうよ、それ。」
2007/07/30/Mon
「西行は奥さんと娘を捨てた。儚い世の中なのに、それを忘れさせてしまい、現世に未練を残す戒めだっていって、西行は出家した。何か、ないかなって。平安を求めるために、ひたすらに孤独になろうとした。‥でもそれは、けっきょくどうだったのかな。西行は歌を詠んだ。彼は孤独の淵で、歌を詠むことをせずにいられなかった。歌を詠み、詠んで、そして死んだ。そこには意味なんてなかった。だから、ふだんのふつうの日々で、恋愛が果たす役割って、そんなもの。ほのぼの。素敵。」
「劇的な展開なんて人生にはないっていうの? ま、大部分の人にはありえないし、なくて構わないのよね。」
「小さな心で、そっと生きるもの。愛を得て、生きて‥というのは、やっぱりないから、人は世界にきちんと収まっちゃう。幽々子はだから成仏できないんだよ。‥というのは、またべつの話。スパロボやろうかなー。」
「はてさてね。ま、平坦にいきましょ。でこぼこには目をつぶろうかしら。」
2007/07/29/Sun
彼氏できたことない高校生ですが「ある面、その通り、かな。セックスだの理解だのはおいとくとしても、他人を穴としかみてないふうにみえる瞬間は、あー、あるかなー‥。でもそれらはなんというか、そんな単純でもなかったり。単純ではあるのだけど、なかなか言葉にしづらかったり。‥かんたんにいえば、人は孤独なのですよ。生命って途切れることなくずっとつづいてるけど、人がその連続性を感じられるのは生殖のときだけなのですよ。露骨にいっちゃえば、穴の出入りをしてるときだけ、人間は過去から未来へ連綿とつづく大いなる連続体としての自己を意識できるけど、そのほかはずっと、非連続。何とも、誰とも、つながってなくて、それが孤独の意味。セックスを求めるのは、非連続体としての自分を連続体に服する衝動、なんていえるかな。私は死ぬ。私が死んだら、そこで私はおしまい。そのことはむかしから恐怖であって、その恐怖を免れるために人間の自我は発達した。‥なんてちょっと放言しちゃったり。」
「つづかないのよね。私という意識は一過性のもので、動物はその自分なんて束の間の存在だということに気づかないで死んでいけるのだけど、人間は気づいてしまったのよね。」
「そのことが端的にいって悲劇とかって、いえるかな。プラトンはこんなこといってます。もともと人間は両性具有だったのだけど、罪のために二つに引き裂かれた。別れた二体は天上から地の底に落された。それが男と女で、両者はもとあったひとつに復元しようという欲求をもっている。それがエロスのこと。‥愛慕の説っていう、古い神話のお話ですけど、これってけっこう重要な示唆があるかもです。ここでは、エロスは失われた統一への郷愁、として意味されてるんだよね。人間のもっとも深い欲求、それはこの分離からなんとかして逃れたいっていう、孤独地獄から抜け出したいっていう、宿命的な欲求なのかもです。恋愛っていう、手段によって。」
「単独ではいたくない、か。でも恋愛の一瞬間に単独じゃなくなったとしても、それはきっと幻影でしょう。」
「幻影、そだよね。孤独が消えるなんて嘘。恋愛でも、穴でも、男でも女でも、やっぱり変わんない。そこから、免れる術はないよ。だから、男とか女とか気にしなくても、けっこうだいじょぶだよ。でも、エロティシズムからいたずらに目を逸らすのはよくない。‥非連続が人間の宿業なら、究極の連続性は死そのものにほかならなくて、この死への魅惑がエロティシズムを支配してます。エロティシズムとは死に向かう暴力、という言葉はこういう意味から考えられるべきで、その暴力は孤独の不安から逃れるためのいろいろな試みの‥人間の歴史そのものであったりする。エロティシズムは絶望と人間の基盤と、ふかくふかく結びついてて、そこからはたぶん逃れられない。性と死と愛は、同じもの、だよ。」
「性なくして愛がなく、愛なくして死がなく、死なくして性もなし、か。まったく人間の因果ね。ま、それだけのことでもあるけれど。」
2007/07/29/Sun
「今回もまたはちゃめちゃでおもしろいです。うーん、むずかしいところ、かな? ほんとはそんな複雑なことじゃないけど、でも難儀です。性欲に振り回されるのが人間の宿命ー。あはは。」
「当事者間にしてみれば笑い事じゃないけど、他人事としたら笑い事なのよね。」
「恋愛小説を読む言葉‥そういう気持はなんかわかります。スタンダールの「赤と黒」までありましたけど、あれ、家庭教師と人妻の不倫ものですよ。そんなの読んで白馬のなんとかいう言葉は筋金入りかもです。」
「恋愛小説ってきついの多いからね。なんともはやよ。」
「おすすめの恋愛小説を思いつくまま挙げてみよー! ドストエフスキーの「白痴」、夏目漱石の「三四郎」、メリメの「カルメン」、ツルゲーネフの「はつ恋」、マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」。こんなところ。」
「微妙に凄惨なの入ってる気するけど。そのチョイス。」
「恋愛は、凄惨だよ。」
「それをいったら、おしまいよ。」
「ツルゲーネフは心温まるからおすすめ。マゾッホは血が騒ぐからとくにおすすめ。」
「騒ぐっていうか、あれは、ね‥」
「世界と誠はやっちゃったのかな。節操なく、いろいろな人とつながるのも一興、かな。それでいろいろ恨み買っちゃうの。人生はときに正当な代価を要求する。世界も誠も、どうなるか、でも考えなしなのも仕方なし、なのかな。次回が楽しみです。」
「若気の至り? ま、人の感情というのは自分にもどうしようもないものではあるから、言葉もね、痛感することになるでしょうよ。無常なこと。」
→
ドストエフスキー「白痴」→
夏目漱石「三四郎」→
メリメ「カルメン」 ファム・ファタル 恋愛の至高のおろかしさ→
ツルゲーネフ 「はつ恋」について→
愛の力 マゾッホの話
2007/07/28/Sat
「ナボコフの「ロリータ」についてときたま思うけど、ハンバートが愛したロリータは、ただ少女なだけであって、べつに何も‥人並み際立った美点や性格的な魅力って、とくにないんだよね。彼女を執拗に求めたハンバートによって、ロリータは破滅するけれど、破滅しなきゃならないって悲劇を担うほど、彼女の人生はかけがえのないものでなかった。‥なんて言い方は少しへんかな。でもロリータはその作中、徹底して凡庸なありふれた存在として描かれてて、なんでハンバートはそこまでロリータっていう少女に夢中になったの?と思うと、そこにはなんだか狂気がある。認識しがたい虚無がある。もしかしたら、ロリータに焦がれたハンバートは、ただ少女という点にのみにロリータの聖性を感じてたのかも、信じてたのかもしれないって。そんなこと思う。」
「年幼い少女ロリータは、まだ未成熟だったアメリカ文化を象徴してるのかしらね。ロリータの好む漫画、映画、お菓子の数々のギミックは、ロリータを大衆の凡俗なひとりにすぎないということを、くり返し象徴することになるもの。」
「ロリータがそんななのに対して、ハンバートはヨーロッパの高等教育を受けた知識人として描かれてて‥彼の芸術的感性が作品を彩ってる、っていえるかな。宗教の神秘性を失った、救いなんてこの世界にはどこにもないってことを、骨髄に至るまで知り尽くした孤独なひとりの人間、‥作中の言葉をつかえば「豚」として、彼は描かれてる。そんなハンバートは、ただ自分の欲望のために、少女ロリータの人生を目茶目茶に‥たとえハンバートがあらわれなくても、彼女はそんな幸福にはなれなかったろうな‥なんて思わせるのがロリータの人間のふしぎなとこ‥破滅させてく。自分もふくめて、運命の迷誤に潰されてく。彼の残酷さは、どこにでもいる、できうるかぎりの幸福を、自分と自分の好きな人に与えたいって望む、偽善性から発してる。ハンバートはどこにでもいる倒錯者で、だれもなりうるかもしれない偽善者。幸せを一途に願う気持が、悲惨な現実を招来する。‥わかんないな。こういうの。」
「さてね。欲望を抑制すればよかったのかしら。だれとも関わらず、暗闇に生きればよかったのかしら。人を傷つけることがなく、人に直面しなければよかったのかしら。」
「なんか、やだかな。欲望を誤魔化すことは、自分を欺くこと。その時点で、もう弱々しい偽善じゃないのかな。ハンバートは愛に生きた。自分の信じた愛のために、戦った。一途に願った愛のために、ぜんぶを失くしてしまった豚だった。‥愛に命を懸けるのって、なんだろね。すぎたこと、なのかな。そんなの、やだな。」
「ひたすら一方通行の愛しか、ハンバートには不可能だったのでしょうよ。だれも見ず、振り返らず、おそろしいまでに孤独な、一方通行の独身者の愛。邪悪と愛は、融和するものなのよ。一途に、ね。」
ナボコフ「ロリータ」
2007/07/28/Sat
「気づいたら昼寝してて、ふだんあんまりしないから、目覚めたときにはもう夕方になっちゃってるのかな、それは困るな、とか思ってほんの一時間程度だったので気がぬけた。いろいろな夢をみたような気がするけど、どうでもいいこと、かな。むあっとした空気のなか、窓をあけたら空が快晴。夏だな、と思って、麦チョコ食べた。とけてる。」
「何かへんな夢でも見たの?」
「夢なんてへんなのしかないよ。」
「‥言いたくないなら、べつにいいけど。」
「もうちょっとでご飯おごってもらえたのに。」
「‥底の浅い夢ね。」
2007/07/27/Fri
「まるで鏡に映ったかのように、自分そっくりな姿が、自分の前にあらわれる。いわゆる自己幻像視、精神医学用語ではオートスコピーで、ドイツ語ではトッペルゲンガー。自殺した芥川龍之介はこの現象にちょっと異常なほど関心をもってたことが知られてます。創作ノートにドッペルゲンガーのエピソードがいろいろ書かれたりするから、よっぽど不安だったのかな。もうひとりの自分を見ちゃうと、死んでしまう。古くから自己幻像視は死の前兆だっていわれてたらしいです。ぞっとしない、お話。芥川は服毒自殺だったのだよね。」
「自分と同じ顔の人間は世界に数人いるとかいう話? また嫌な話題ね。」
「夏だから。すっかり暑いから。」
「それは気の利いてることで。」
「北勇治という人は、外から帰ってきて自分の部屋の戸をあけてみたら、そこにはだれかが座ってた。後ろ姿しか見えなくて、顔は判然としないけど、着てるものといい、物腰といい、どうもふだんの自分と瓜二つ。ふしぎに思って、近づいていくと、男は後ろ向きのまま外に逃げ出した。ぱっと障子を開いても、そこにははてな、もう影も何もない。あんまり奇妙なことだったから、老母に事の顛末をお話しすると、老母は黙って眉をひそめるばかり。そのときから勇治は病気になり、一年も経たずに死んじゃいました。さらにふしぎなことに、この北家では、三代つづけて一家の主人が自分の姿を見て、しかも見ればかならず、すぐに死んでしまったんだって。‥芥川の創作ノートにあった、「影の病」っていう自己幻像視のお話のひとつ。」
「なんとも、あれね‥。なんで死ぬのよ。」
「ヨーロッパでもむかしからドッペルゲンガーはよく知られたことのようでした。たとえばゲーテは二十一歳のとき、シュトラスブルク大学のちかくの村の牧師の娘フリーデリケと恋をするのですけど、卒業の時期がちかづいて別れなくちゃならなくなって、悶々と悩みといっしょに馬で田舎道を駆けていると、向うから同じように馬に乗ってちかづいてくる自分とすれちがったそうです。ふしぎなことに、その自分は自分のみたこともない格好をしてて、これはおかしいってゲーテは頭をふると、たちどころにその幻は消えていた。でも、その八年後、ゲーテはフリーデリケと再会するために在りし日の田舎道を馬で駆けていたのですが、そのとき身につけていた服装が、八年前、幻の男の格好と偶然にもいっしょだったです。‥つまり、ゲーテは未来の自分を見たんだね。ふしぎ。」
「‥未来、ね。はてさてよ。」
「私は今までにドッペルゲンガー見たことないけど、そのうち見るかな? 見たら、死ぬのかなっ。」
「幸か不幸かってやつよ。できれば死ぬまで見たくないことだけど、でも見たら死んでおしまいなのよね。その死に方は、どうも、ね‥」
2007/07/26/Thu
「お似合いの二人、なんて言い方があるけれど、お似合い、って形容はなんだか使いどころがなかったりする。恋人同士見て、お似合いだねーっていう場面はあんがいあんまりなかったり、微妙だったり、実は性格的に相反してる二人が本質的には相性ぴったりする場合があったりするから、お似合いだね、とはますます使う機会がない。ぱっと見て、お似合いっていえるカップルがどれだけかなって考えると、あれれかも。‥でもなかには異口同音にみんながお似合いだね、っていって差支えないよな二人がいる。ふしぎ。」
「純情でとりあえずイメージとしてはいい子、というのかしらね。たまに見かけるものだけど。」
「なのはのエリオとキャロなんて、そんなかな。いい子で、やさしくて、文句の言い様のない子。ときたま、そういう二人がくっつくことがあって、ふしぎだなって周りは思う。周りはよけいに気をつかっちゃうの。そんなのあるよね。なのはは恋愛描く気がないから、見れないけど。」
「純粋な性質‥性質といっていいかしらね。色にたとえれば白のような、そういう人もありはするかしら。」
「オスカー・ワイルドはこんなこといいました。ぼくは君の目が気に入らない。今まで嘘をついたことのまったくないような、純真な瞳が。君は、もっと嘘のつき方をおぼえたほうがよろしかろう‥って。‥ある種の男の子には、殺し文句に響く言葉。真っ白な子ほど染まっちゃう。」
「あー、あるかしらね。社会にすれるというか、経験というか。素直な子ほど、ね。」
「ちなみにワイルドはホモセクシュアルな人だったから、この文句はなお意味深。きゃー!」
「そっちか!? ‥若いうちほど、染めやすいっていうの?」
「エリオならヴァイスかな? 私的にはレジアスいちおし。」
「帰れ! ってかほんと露骨な話題ね!」
「あはは。純真な子ほど染まっちゃう。いい子な子ほど、泥沼になっちゃう。むずかしいね。ときどき、さいごまで真っ白に生きれる人がいるけれど、そういうのは、なんか崇高かな。永遠って、あんまりない。」
「はてさてね。真っ白なまま死ぬ、か。でも一度染まったものが、また白にならないという決まりもないのでしょ? そういうことよ。」
2007/07/26/Thu
殴らぬオタより殴るDQN「ものすごく微妙な話。田舎のダークサイドあれれれれ‥なんてことは前にちょっといいましたけど、閉鎖的な人間関係って、どうしようもなくなっちゃうことってある。それってほんとにどうしようもなくて、気の持ちようとか、大人になろうよとか、そういうのじゃどうにもならなかったりしたり。むしろそう努めようってがんばっちゃう人が、すごい泥沼にはまり込んじゃって、見てるとなんか悲惨。‥家族というのは社会とはちがう何かでなくて、あるべつの社会にすぎないもので、大部分の人にとって、家族が憩い‥の役割を果たすことはたぶんむずかしいこと。逃げるしか、なかったりする。」
「家族幻想というのかしらね。温かい情愛だったり、どれだけの不都合を被ろうとも家族のためならば、というのがないわけではないけれど。」
「むしろそういうのがあるから、かな。そういうのが顕著だから、かな。‥かんたんにいえば、おばあちゃんを殴れるか、で、殴っちゃいたいと思っちゃうほど、悪意の感情にとらわれる、そんな瞬間が閉じた暗い関係間だと起こりえて、そういうのに気づくとき、自分ってなんなのかなって、考えちゃう。相手を憎悪するのはおそろしくて、それにはふかい闇がある。だから、我慢する。‥けれど我慢の果てには何があるかっていうと、またこわい、な。‥相手を軽んじたり、蔑んだりして、憎悪の感情を振り払う心理って、意外と単純で、大切なことかもです。よくわかんないけど。」
「はてさてね。暴力じゃ解決しないというよりか、それは暴力の生々しさに感づいてないから、逆説的に暴力をふるえるともいえるかしら。」
「腕力に絶対的な差がある相手との膠着状況におかれても、殴らない人間のままでいられるかどうかは未知数、か。でも、それにはどこか軽視がある。人を総体的に見くびってる。人は弱いけど、でも見下げたものじゃ、ないですよ。」
「渦巻く感情の発作、かしら。理性と感情とよくいわれるけど、理性もまた一種の心みたいなものよ。そこらは、言葉にしにくいところかしら、ね。」
2007/07/25/Wed
「今回のなのはは六課がやられちゃうお話でした。うん、クライシスならこれくらいやってくれなくちゃ。管理局側が次々と敗北してく様は、カタルシスがあったです。さすがスカリエッティ。天才です。」
「まるでスカリエッティ応援してるようね‥」
「独善的な魔法支配を行なう管理局は倒されなくちゃっ。専制支配に嫌気がさした民衆もスカリエッティ側に回り、スカリエッティは管理局から人民を解放するのに成功するのだけど、増長したスカリエッティとナンバーズはさらにひどい人民支配政策を行なって人心を失い、革命軍に倒されるの。歴史は繰り返す。」
「あと十話もないのにそこまでできるか!?」
「スバルは機械だったね。フランケンシュタイン?」
「話逸らすな。ってか今どきフランケンシュタインはないでしょ‥」
「スバルが暴走したところは、なんか笑っちゃったです。訓練意味ないねーって。あれだけ独断専行いけないよっていってたのに、実戦でこの体たらく。なのはもティアナ運んでる場合じゃないです。転送とかないの?」
「転送魔法は消えたようね。便利すぎる魔法だったから。」
「訓練描写があとにつづかないのが残念、かな。せっかくあんなにていねいにやったのに、本番でつながる描写がぜんぜんだから、1クールの意義が軽くなる。よくないです。分隊に別れての戦闘は見れそうにないかなー。楽しみにしてたけど。」
「分隊が役立つ描写が皆無だし、望み薄でしょ。」
「ヴィータはやれました。ゼストかっこいい。」
「融合しないほうが強いそうね。微妙なこと。」
「ギンガもやられちゃいました。多勢に無勢だったのかな。」
「シャマルにザフィーラもね。部隊内の個人の能力差がありすぎなのよ。」
「エリオもやられましたけど、‥エリオの過去ってなんだかな。死人の復活、かー‥。ずいぶん昔の話ですけど、ある老研究者が死んだ妻のこと隠蔽して、その死体に特殊な防腐処置をして、何年も奥さんの死体といっしょに生活した、なんてことありましたっけ。‥人工生命をつくることより、死体の美しい永遠の保存の研究のほうが、より崇高で人間らしい感情を表現してるんじゃないかなって、私は思います。愛って、なんだろね。」
「さてね。おこがましいとは何事か、よ。」
「ヴァイスもついでにやられてた。‥ヴァイスって重要キャラなのかな。」
「誰も彼も重要そうよ。万遍なこと。」
「けっこうおもしろかったです。今回のお話。でも整合はとれてないよな感じ、だけど、二期もこんなふうな欠点はあったかなって思います。でも気にならなかったのは、うーん、冗長の有無、かな。もっとスタイリッシュにできたかなって思うけど、でもこれからどうなるか、かな。なのは、どうなるかな。」
「ここから復活できるかどうかね。どんなふうに描かれるかよ。」
「ところで、ナンバーズってだれがだれだかわかんない。あー、困った。」
「十二人よね、把握するのは難儀なことね。」
2007/07/24/Tue
「なのは三期を半分くらい見終って、正直あんまりおもしろくない。私は一期二期は好きで、とくに一期は大好きなのですけど、三期はなんだかつまんない。それでなんでつまんないのかなーってちょっと考えるですけど、三期って家族以外は敵なのだよね。‥これは三期だけに限ったことじゃなくて、一期も二期も味方は家族、敵は家族を破滅に瀕さしめるもの‥家族の妄執につかれたプレシアと、闇の書の闇‥ヴォルケンはそのままひとつの家族として見るべき‥でした。家族が物語を構成する単位であって、組織的な支援とか、同僚という概念はなのはにはありませんでした。管理局が背景だったのも、あくまで中心は家族だったから‥かな? 三期においてもその基本は意図的かどうかはわかんないけど変わらず、味方である六課は家族にしなきゃならなかった。‥そこが、とても失敗しちゃった原因に思える。」
「家族、ね。親と子どもをなんとかして配置しようとしてるのは、演出から感じるかしらね。」
「味方である六課は家族。だからいろいろ人物関係に因縁がこめられてる。くどすぎるほど、身内で固められて、まったくの他人‥異邦人はいないように取り計られてる。‥六課はそれでいいのですけど、でもその家族を管理局全体にまで敷衍するのはむずかしい。いくらなんでも地上部隊みんなが仲良しにはできないね。それで六課のみに焦点が行く。物語の中心単位は家族であるべきだから。家族以外の局員が活躍しなくても弱くても描写あんまりされなくても、家族じゃないからしかたない。あくまで、なのはは家族の物語だから。‥ちなみに、敵方のスカリエッティもひとつの家族っていえるかな。彼らが六課より親密に家族してるのもおもしろいかも。ナンバーズなんて、いうまでないよね。」
「家族と家族の相争う構図といえるかしら、それ。その点では二期と同じかしらね。」
「家族と家族、かー‥。やっぱり組織ものにはしないほうがよかったのじゃないかな。組織って家族じゃないですし、それに家族に善悪なんてないですよ。むしろいかにして悪を放逐するかってところに躍起になってる気がする。六課みてると、家庭内で傍若無人にふるまう困ったようなのひとりくらいいてもいいのじゃないかなって思うけど、でもいない。なのはには、悪の要素を代表する何ものも出てこない。‥レジアスはいますけど、あまりに弱いよね。六課はみんな性質温順だから、平和。争いなんて、ないよ。みんな、いい子だよ。‥そこが、ちょっと気に入らない。」
「はてさて、ね。悪の要素は徹底して排除してるのは、感じられるかしら。」
「母子家庭なのだよね、六課って。母親‥グレートマザーが支配する環境では、対立者‥父の登場は望むべくもない。みんな、仲良し。それはよろしです。わるいことじゃない。でもこれに違和感を覚えるのは何かな。たぶん子宮崇拝と、退行願望。それで、そういう舞台は、戦闘には向かない。戦闘は、うんバトルものって、子どものあそびだから(→
セイントオクトーバー 第23話「ロリ窮地!いつの間にやら超敵だらけ!」)。」
「子どもねー。母親の監視と、馴致された子ども、か。ま、ある種のユートピアではあるでしょうよ。」
「ユートピアなんてそんなかなっていえるかも。‥ちょっと残酷。家庭もひとつの監獄でありえる、かな。あれれ、だけど。」
「監獄こそユートピア? その逆説は使い古されたものよ。」
2007/07/24/Tue
「そういえばこのブログってアフィリエイトやってないね。アフィリやったらいいのじゃないかーってときどきいわれるけど、でもやんない。理由はそんな大したことでなくて、なんとなく、めんどくさいから。私の怠惰。もちろんアフィリつけるのなんて一瞬で、手間なんて何もいらないじゃないみたいなのはわかってるけど、うーん、怠惰。それと、私は贅沢にやりたいな、って気持がある。ブログはブログだけで。シンプルな形にしたいなって。ごちゃごちゃつけるのは、ちょっと贅沢じゃない。もっと余裕なきゃなって思う。」
「ま、今さらなことではあるけど。でも積極的にやらないってわけじゃないのでしょ?」
「うん。なんか気が向いたらやるかも。でも今は気が向かない。‥アフィリでお金稼ぐのがあれれとかは、ぜんぜんないな。お金は、いいです。でも私、なんかめんどくさい。‥文庫本とかだと、巻末に本の広告が載ってたりするよね。あんな感じに目立たなくて、でも解説が詳しい感じにアフィリってできないものかな。見えなくてもいいよな感じにって。」
「はてさて。ネットの構造でそれは難儀ね。広告がブログに重要というわけでもないのでしょうけど。」
2007/07/23/Mon
『スーパーロボット大戦OG オリジナルジェネレーションズ』の続編が登場!!「ダイゼンガーから刀取ったら、ダイゼンガー、いらない。」
「ぶっちゃけすぎ。‥ま、斬艦刀一本で戦うっていうのがアイデンティティではあったのだけれど。でも、もうダイゼンガーが出て数年経つし、頃合としてはいいのじゃない?」
「うーん‥、トグサがマテバ好んで使ってるけど、みんなからリボルバーなんてださいよあははっていわれたのと同じ?」
「微妙にちがう。それでもマテバはサブとして使ってたのじゃなかったかしら。‥作品の隅をつくような話ね。べつにいいけど。」
「私、ずっと考えてた。カイ少佐はゲシュペンストだけど、でも教導隊なのだから、ダブルGに乗る資格あるよね。それで、元々のダイゼンガーはバリバリのスーパーテイストだから、カイ少佐にもぴったりじゃないかなって。予備パーツか何かで新しくつくった、本来の機能もつカイ少佐の乗る改善されたダイナミック・ゼネラル・ガーディアン。名前はダイカイゼン!」
「‥まておい。」
「漢字で書くと、大開禅。」
「禅って何よ!? というか、インキチくさい響きね、それ‥。悟りひらいてそうよ。」
2007/07/22/Sun
「スクールデイズの3話目です。あはは。直視するのがいやになっちゃうくらい、誠が腹立たしくてその意味でとてもおもしろいです。誠、すごいなー。」
「高校生なのよね。それでよく周りと衝突しないことだこと。」
「誠みててむかつくっていうのは、こいつただやりたいだけなのだな、というのがあまりに露骨にわかっちゃうからかな。それはその本能みたいなのは否定しないけど、でももうちょっと隠そうよ、みたいなの。むしろ誠ってやらせてくれるならだれでもいいのじゃない? というか、言葉が好きだっていうのも、言葉の外見が好みだったからだけで、彼女の内面とかはとくにどうでもいいよーおれには関係ないしーみたい? とすると、誠最低って評価のよるところは、こいつあまり浅はかで本音隠さずで欲望丸出しのガキだな、というのにまとまるかな。さて、誠をフォローしよー!」
「無理よ。」
「玉砕?」
「というか、想像力がないのでしょうね。共感もなければ、同情もないのでしょうよ。ま、端的にいってエゴイストじゃない?」
「お姉ちゃん、きびしい。」
「端から見てるとね。そういう印象になるかしら。これが当事者になると、またべつなのでしょうけど。」
「けっこうこわいこと、かな。誠は基本だれでもよくて、見栄えがきちんとしてそれなりいい雰囲気になれるのだったら、けっきょく相手のえり好みはなかったりする。するとたとえば、あのカップルとこのカップル、それぞれペアを入れ替えてみても、誠のような人ならすんなりだいじょぶ、やってけるよ、みたいなことになる。‥それで、こういうことは、言葉のような人にとってはある種絶望。どうしようもないほどの孤独で、たぶん誠のような人といても、言葉のような人は救われない。誠はいろいろ呪われる。世界はいろいろ恨み買う。人と人の情念が、それぞれ立場を主張すると、悲惨渦まく人間模様。地獄はあんがい、すぐそこにあるよ。」
「落ちれば、真っ逆さまに、ね。誠のどうしようもない想像力のなさが、この物語のキーなのでしょうね。」
「どうなっていくのかな。ほんとの恋愛、なんて言葉は幻想ですけど、でも孤独のないところにほんとの恋愛がないのは、たぶんほんと。そして、そういう恋愛は、誠のような人は求めてない。‥言葉はもっと孤独にならなきゃ、じゃなきゃ、辛い。いってしかたないことだけど。」
「気づかないのか、気づけないのか、はてさてね。まちがいなく、誠は気づかずに破滅するタイプだけど。ま、見物させてもらうことにするかしら。」
2007/07/22/Sun
聖地巡礼の「らき☆すた」ファンが地元住民に不審者扱いされる「この記事自体にとくに何事も思わないですけど、うーん、作品の生まれた縁のある地を訪ねる、かー‥。そういえば澁澤龍彦はサド侯爵の城のあったラコストに研究始めて二十数年経ってはじめて行ったのですよね。それまで行く機会はあったのだろうけど、なかなか行かなかった。もちろんそこに深い理由なんてなくて、ただめんどくさかっただけっていってるけど‥」
「作品に係りふかい場所を見たいというのは、ま、わかる心理ね。それで湧く感慨や失望もあるでしょう。」
「私もラコストにはいつか行きたいな。‥と、サド侯爵の話はここまでにして、このお話って観光客と観光地に住む人の感覚の差異、なのかな。当たり前ですけど、観光地っていわれてる地域の人たちはそこでふつうに生活してるわけで、そういうとこ一時的に滞在する観光客の人には、ちょっと見えづらい。もちろん見えなくていい部分だし、そういうのに適当に対処することができるのが、うまく観光地化するのに成功した地域、っていえるかな。それで今回の問題は、端的にいえばらき☆すたで聖地なんて知ったことじゃないよ、だから困るよ、というごくふつうな感想かな。らき☆すた、へんにすごくなっちゃったから。」
「ほんと、人気出たものね。ほそぼそコンプティークで連載してたころが夢のようね。」
「あはは。‥ところで素朴な疑問なのですけど、団体でぞろぞろ旅行するのって、思いに浸れるのかな。集団するのがあれれとかいうのでなくて、うーん‥かんたんにひとりのほうが風景はよく見える気がする。だれにも迷惑かけてないから何してもいいのだ、みたいな主張は、根本ではアンモラルな気がする。リュックに何が入ってるのかな。絵馬に描かれた思いは、あはは、差し向ける場所はそこじゃない気がする。思いは届くよ。でも、そこじゃないよ。」
「他人の目をどうするか、ね。他人にどう思われようと気にしなければそれでいいともいうけれど、しかし社会というのは混淆した意見の坩堝だしね。思うとおりにいかず、スムーズにいかず、でもそこから文化が生まれ、らき☆すたもまた文化の一端ではある、か。因果なことね。」
2007/07/21/Sat
「女性にモテる人、というのがあって、そういう人は顔がいいとかある種無邪気とか、そういった要素があって、それらは大分才能っぽい。そういう人は女性にきゃーきゃーいわれる種類の人、といえるけれど、そういう一群の人を女性が好きかというと、けっこうあれれ。少なくとも、ちょっと肝心な意味での好きとは程遠いかも。むしろ女性がそういうタイプを好き、っていうのは、自分をそういうふうに調整したから、というのが真実かも。‥女性は、こういう人が好きだよーみたいなタイプを、自分も好きだよーみたいに最適化する。そういった作業をなんでするのかなというと、そうすることによって周囲との軋轢を少なくするため、かな。好みというのは個性であって、それらが一致することってけっこうないよね。でもそれらは諍いの種にこそなれ、友好のきっかけ‥には微妙かも。だから好みの最適化は、男女問わず、いろいろ無意識にしてることなのかも。あんがい、オタクの人もさいきんはそんなかも。その結果、最適化と最適化の連鎖の結果、きゃーきゃー騒がれる現象が出現する。でもそれらは幻想で、実際に好かれる人っていうのは、世界の影で桜の枝に縄かけて首くくっちゃうような人かも(→
アニメ化したので 徒然絶望先生雑感)。」
「また難儀な話ねー。かんたんにいえば、周囲と無難に生きやすくするための処世術なのでしょうけど、でも、ね。」
「ほんとに人を好きになっちゃうと、止まらないかも、かな。それはそうで、そのとおりなのだろね。ほんとに好きなら、‥周りを意に介さなくなるのは当然かも。‥そうなると、きゃーきゃーいわれる類の人たち、はどうなるのかな。きゃーきゃーいわれる要素といったものは、たぶん時間といっしょに変化するもので、だから、けっこうたいへんなことかも。騒がれる人も、色気のある人も、どちらも生まれもったようなものなのにね。宿命、っていうのかな。」
「果してそれは、大げさな言い方じゃないかしらね。そういうことを踏まえると、モテるとかそうでないとかいう話の文脈が変わっていくかしら。」
「モテモテも幻想で、恋愛も幻想で、そして恋愛の先には現実があるんだよね。その現実を欠いた恋愛は、無し、なのかな。でも現実も、幻想みたいなものだけど。」
「少し言葉あそびね。佳代も、モテるとかあるのかしら?」
「‥え。」
「‥うん?」
「‥い、岩をも砕くプラトンパンチだー!」
「ぐがっ‥!? な、何するのよ!?」
「お姉ちゃん、私いるのにそういうこというのっ! 私と愛し合っているのじゃないのですかっ!?」
「な、何いうのよ‥それ。」
「もうだめ! ぜんぜんあれ! おしまい!」
「‥口でいうだけ、あれよ。まったく。」
2007/07/21/Sat
「こんな話があります。第一次大戦、塹壕のなかで何日も何日も隠れ生活することになった兵士たち。そのなかのひとり、まだ少年っていっていいくらいの子が、お酒がなくなったので自殺した。気を紛らすラム酒が切れちゃったので、彼は気づいたら銃で頭を撃ち抜いてた。冬の湿っぽい、蚤のいる、泥土の上にはラム酒の空瓶。そのあと、彼のことを話す人はだれもない。そんなお話。」
「戦争の、ね。話ね。」
「私はちょっと思います。もし、彼にラム酒がまだあったなら、彼は自殺しなかったのかな。遅かれ早かれ、お酒はなくなっちゃうだろうけど、でもアルコールのつづくかぎり、彼は環境の地獄に耐えられたのかな。‥もしかしたら、酒のあったかぎり、彼は死なずに生きのびたのじゃないか、だって少なくとも、自殺はしなかったじゃないかって、私は思うから。なら、生きのびれたかも、しれないです。」
「もしもの話ね。しかし、その仮定は無意味よ。救われないという点において、明らかに無意味ね。」
「でも、興味はある、かな。酒があるかぎり、自殺しないのが人生で、酒が切れたら、自殺しちゃうのが、また人間。それが、なんか、おかしいな。」
「むずかしいことね。塹壕のような極限状態とは無縁のところかしれないけれど、極限状態じゃなかったらいいのかといったら、それはまたべつの話、ということだし、はてさてね。」
元ネタ→
Suicide in the Trenches
2007/07/21/Sat
スーパーロボット大戦OG外伝(PS2) 発売決定「なんだかOG大人気。スパロボOG外伝だって。へー。」
「ふーん。人気あるのね。それにしても発表早いことだこと。」
「ちなみに私はリュウセイ編は終りました。あんまり早くない。あはは。OG2のほうはちょっとなかなかやれてないです。OG1はお話がけっこうおもしろかった。味方側に余裕なくていいよね。ストーリーも版権作品に比べて、すっきりしてる感じ。これはオリジナルの利点かな。版権だと、作品いろいろでどうしても矛盾出ちゃうし、配役のバランスとかたいへんで、ストーリーが無難になるのは仕方ないかなって思うから。」
「ま、それはあるかしらね。そもそもロボットというだけが共通項であって、そのほか何もないもの。」
「そんなスパロボが破綻したなかったのは、土台の部分がしっかりしてたから。初期からあったDCの設定とかは、それだけで魅力があったから、ガンダムやゲッターがいっしょに活躍しても、ストーリーは成り立った。EXが名作だといわれるのも、だからかな。OGのお話は、そんなわるくないです。みんなぎりぎりでいい感じ。」
「今ある戦力がとくに少ないからかしらね。孤立無援というか、戦力僅少というか、切羽詰ってるもの。」
「ザフトと戦ってても、そのうちガンバスターが来るよー目じゃないよーみたいなのないもんね。ガンバスターいれば、無敵です。」
「ほんと、ガンバスター贔屓ね。好みが極端というか‥」
「二人合わされば、炎なのだ。」
「はいはい。版権はいつごろかしらね。」
2007/07/19/Thu
「未練なんて晴らせるものかな。潔く生きられたら、それはいいことのようだけど、なんだかおそろしいことのよな気がする。未練は過去に関係してることだけど、たぶん過去自体は問題じゃなくて、現在ある感情こそが未練の正体だから、未練をなんとかしなきゃ、っていう努力は可能なのかも。でもその努力は相当余裕がなきゃ、考えもつかないものじゃないか、そんなこと思う。」
「未練、ね。未練あるの?」
「けっこう、敗北ばかり、してるかも。」
「あー‥、ま、べつにね。」
「でも、なんだろね。未練って、もしかしたら過信かも。自分はできるはずだーって。その威勢はよろし、だけど、自惚れにちがいない‥でも私はその自惚れを捨てられるほど、潔くない。‥何に自惚れてるの? うーん、才能とかじゃないよね。才能は、自惚れの、拠り所にはならない。むしろ、お金とか、地位とか、友だちたくさんだよーコネあるよーみたいなの、かな。そうしたバックボーンが自惚れをサポートしてる印象があるかな。‥だとすると、私のは自惚れとはべつかな。そんな深刻でないし。」
「深刻でないっていうのは、少し嘘の香がするかしら?」
「お姉ちゃん、いじわるだー。」
「ま、いいじゃない。」
「未練かー。未練はなくせないのかな。私の未練は、私に残る。私の未練は、私を縛る。その縛めはいつまで、残るのかな。たぶん、忘れるまで。捨てることが、できるようになるまで。‥だから、捨てられるようになるまで、歩いてこ。西行がいったのは、そんなことじゃないかなって、私はちょっと考える。」
「そう、ね。潔しという態度にはなかなか至れないし、ならばって、未練に自縄自縛になるのも、不幸かしら。」
「意味を捨てる。できるかな。‥自分の亡骸が眠る桜の花を満開にしようとして、でも叶わなかった、輪廻から外れて、死の深淵の前にたたずむ亡霊姫。‥いわずもがなですが、私は幽々子のお話がいちばん好きです。切なくて、美しい。自然に未練が消えていって、さいごに何も残らない。そんなこと思えるくらい、西行妖の幽々子は、私に美しいです。」
「未練、未練、か。それでも生き抜くほかないのよ。前なんてどこにもないけれど、それでも、ね。」
2007/07/19/Thu
「西行が入寂したのは、建久元年‥1190年の旧暦二月十六日のことでした。西行という人はふしぎな人だな。さいきん、そんなこと思います。西行の話になると、有名な「願はくは‥」の句の願いのとおりに死んじゃった、ということに目がいってしまうけど、たぶん、その事実それだけには意味ないんじゃないかな、って思う。旧暦二月十六日は、新暦三月二十三日のことで、この日は釈迦涅槃の日の一日後。西行は、たぶん、狙ってた。あの時代の僧の存在を考えると、そんなこと思います。」
「西行の死は、ある種彩られているのよね。劇的に、静かに、余韻深く、潔く。」
「でもそこだけ抜き出しても、よくわかんないじゃないかな。大切なのは、西行の人生の課題と、「願はくは‥」に至ることになった生涯の課題の意味。‥なんていっちゃうと、ちょっと深刻。だから、かるくいきたいな。西行が出家した理由とか、そんなことはどうでもいいです。私には関係ない。ただ私は、西行の歌を読んで、その歌を、ひとりでただ思うだけ。」
「ま、古の人の動機なんて、ね。詮索するよりか、真摯に向き合うのがいいのかしらね。」
『見るも憂しいかにかすべき我心かかる報いの罪やありける』
「西行の考えは、わかんないです。西行の苦痛、懊悩、私は言葉を知らない。興味もない。そして、私の苦痛、嘆きは、私以外のだれも興味ない。私は、私を、ただ引き受けるだけ。それは孤独だけど、でも世界はだれにもその孤独を与える。恩寵かなって、いじわるに思わないでないです。」
「はてさて。どうかしらね。独我論でもあるかしらよ。」
『死手の山こゆる絶間はあらじかし亡くなる人の数つづきつつ』
「宗教は文化じゃなかったです。たぶん、仏教を仏教の意味で考えることが、私たちにはできない。べつにいいけど。」
「本来の意味での宗教観ね。それは、生来というか宿業というか、わからないものね。」
『さきそむる花を一枝まづ折りて昔の人のためと思はむ』
「花かー‥」
「花ね。」
『風になびく富士の煙の空にきえて行方も知らぬ我が思ひかな』
「それで、意味は消える。私は消える。私は純真になる。定めは、なくなる。」
「そして安らかに、か。はてさてね。」
『願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ』
2007/07/18/Wed
「今回のなのは感想ー。管理局が弱いのはご愛嬌、かな? 局員が何もできなくて逃げちゃうのは、あはは、なんかおもしろかったです。せめて魔法の一発くらい撃って、効かなくて、なんだこいつらうわーみたいな展開だったらまだしもですけど、うーん‥。ガジェットの情報は知れてるんですよね。それなのに抵抗もできなくて、はじめて遭遇したみたいに局員逃亡はよくなかったです。あれかな、組織ものっていうわりには、そこらが上手くないかな。情報の徹底とか、対策とか、組織の厳しさをなのはの訓練で描いてきたはずなのに片手落ち。残念な印象です。」
「ま、一期から局員は大して強くはなかったけど。」
「あはは。レジアス中将の武装強化は的を射てる主張なのかも。やっぱり質量兵器はあったほうがいいんじゃないかな。魔法って、劇中の描写みてると、けっきょく本人の資質で決っちゃう感じ。ふつうの局員たくさんいても、ヴォルケンズには敵わないんだよね。だったら、訓練でだれでも相応の働きできる質量兵器のほうがまだしもかもです。」
「それが禁止されて、それでレジアスはそれに類したものを運用しようとしてるのかしら。」
「どうかな。‥作中で、質量兵器は子どもでも使えるから云々ってところがありましたけど、子どもでも撃てるから、だからいいですよ。質量兵器は、だからいい。‥子どもでも、大人を倒さなくちゃ、いけないときがある。‥比喩ですけど、そう思うな。」
「魔法ってのは限られた人しか使えないわけだし、それは武力の行使できる階級をつくることになるかしら。作中では描写ないけど。」
「特別な資質をもった人たちが、防衛を担ってるから、必然かな。たぶん、ミッドチルダは、そういった特権意識があるよな気がする。それで、まだそのへんの腐敗があらわれてないのは、管理局自体の歴史が浅いからなのかも‥。こういうと、なんかあれれ、ですけど、でもたぶん特権意識は、あるだろうな、って思います。魔法のつかえる人が、魔法のつかえない人を守る。管理する。‥そこには力のある人が、守ってあげなくちゃって善意があると思いますけど、でもその善意は思い上がりの種子を蔵してて、その種子はいずれ腐敗を起こさせる。これは、どんな優れた人がでも、腐敗するって、私は思います。哲人国家は、哲人国家の故に崩壊する。たとえ最高の賢者が統治しても、その王国はかならず腐敗する(→
「車輪の国、向日葵の少女」 アンチプラトンの傑作 倫理、光)。そう、思うな。」
「はてさてね。地上部隊は壊滅っぽいけど、どこまで被害が及ぶことかしら?」
「やられちゃうみたい。それから六課の逆襲だー!かな。リボルバーナックルが楽しみです。」
「ほんと好きね、リボルバーナックル‥」
2007/07/17/Tue
「さいきん「阿Q正伝」の阿Qを襲った悲運について、ちょっと考えてた。阿Qを見舞った悲劇は、そのまま魯迅の格闘の苦しみ‥になるのかな。阿Q正伝は魯迅の代表作として名高いですけど、今ではそんなに読まれない古典なのかな。中国を知るうえで、阿Q正伝はけっこう重要な感じ。主人公の阿Qは、作中では社会最下層の人民として登場します。日雇い仕事でその日の食い扶持を稼いで、明日がどうなるかはだれも知らない。本人は、体力なくて勉強もしてこなかったけど、へんなプライドは一人前。強いものには媚びへつらって、弱いやつはさんざんいじめる。裏では悪口いっちゃうけど、よく辮髪つかまれて殴られる。そのくせ喧嘩っ早くて、手に負えない。‥そんな人物。阿Qはいつか村の連中を見返すくらいに偉くなってやるって思ってたけど、具体的な行動は起こすわけがなくて、ごろごろ夢に見るばかり。そんなある日。村近くに革命軍がやってきた。村人は有力者ふくめてみんなそれに恐怖して、その様子を見た阿Qはこれにのっかれって実は自分も革命派なんだぜーって村中に言いふらす。村民みんなびっくりで、阿Qはわが世の春が来た。このついでに略奪でもしようかなーなんて甘いこと考えてたら、なんと警察に捕まっちゃう。ほんとは強盗してないけど、略奪者の一味だって勘ちがいされた。でも阿Qは気づかない。弱虫で、何も考えてこなかった彼は、自分がどういう状況になったのか気づきもしない。ただおびえるばかりで、彼がみずからの運命を悟ったのは、市中引き回しにされたあげく、銃口を向けられたまさにその瞬間。彼は助けて、と思った。でも言葉も何も出ない。気づいたときには遅かった。ぜんぶが、遅かった。彼は声を発するまもなく、木っ端微塵に砕け散った。‥後にきこえるは、民衆の声だけ。銃殺はつまらない。首切りより、見せ場がないって。」
「痛烈な作よね。そして、絶望的な作品だこと。」
「狼は狼を食べることはないけど、人間は人間を食う存在だって、魯迅はいってます。阿Qは滅ぼされますが、阿Qを滅ぼすことになった原因は、いつまでも、なくならないです。魯迅先生が声を出してから、勇敢に力を振るってから、数限りない阿Qは滅んでいったけど、その根源は消えやしない。人は、人を、食べる生き物だって。この底無しの暴力性。なんなのかな。私はちょっと考えます。」
「阿Qに象徴される人間の業、かしらね。その無窮の暗闇は、断ち切れないものなのかしら。」
「暴力には屈したくないけれど、その暴力がある些細な悪意と結びつくとき、それがたとえば世論としてあらわれるとき、小さな個人は何ができるのかな‥。ある意味、阿Qは永遠に人にとりつくものだし、その悪には、たぶん、勝てないです。悪人には、‥ほんとの意味で悪というのはあって、その無窮なる悪には人は勝てない。たぶん、永遠に滅んで滅ぼして、滅んでく。」
「それはまったく絶望かしら。勝てないなら、ね。」
「人は勝てないけど‥。でも、人は勝てなくて、いいじゃないかな。人は生きてる限り、勝てない。でも、人は生きてる限り、負けない。無窮の悪に、人は決して負けない。勝つことないけど、負けないなら、それが生のあらん限りの表現であるなら、私は暴力に負けなくて、死ぬので、べつにいいかな。それだけだもん。」
「理想主義ね。」
「理想は大事だもん。」
「あら。青臭いけど、孤独であるというのは、そうなのかしらね。孤独は悲しく不幸なものだけど、しかしそこには悪意と決別した、一輪の美が、あるのかしらね。そう、信じたいものよ。」
『世論はどうかといえば、むろん末荘ではひとりの例外もなく、阿Qが悪いとした。銃殺に処せられたのが何よりの証拠、悪くなければ銃殺されるはずがない。一方、城内の世論はあまり香しくなく、多くのものが不満だった。銃殺は首斬りほど見ておもしろくないから。それになんと間ぬけな死刑囚ではないか。あんなに長いあいだ引き廻されながら、歌ひとつうたえないなんて。これでは歩き損じゃないか、というのだ。』
魯迅「阿Q正伝」
魯迅「阿Q正伝」
2007/07/17/Tue
「柳田國男によれば、タンポポって名前を発明したのは、子どもらしいです。ほんとはどうかはわからないけど、このことは私にはちょっと好ましい。タンポポは数ある花のなかでも、どこかふわふわと、人の手に届かないような、抽象性をもってる感じがします。タンポポって不思議だね、ってお話で、長いことこの花には名前がなかったそうです。むかしからあったはずなのに、文化人はこれを無視してたって。」
「へー。そういえばタンポポは和歌などに使われて、花鳥風月の趣を具えている‥とはいえないかしらね。」
「うん。タンポポはずっとただの雑草だったです。日本古来の花のはずなのに、日本の伝統美に侵食されてない。漢字で書くと蒲公英だけど、カタカナでタンポポでも、ぜんぜんふつうな感じ。これが桜とか梅とか菊とかだと、そうはいかないよね。日本の美観にどうしても結びつけられちゃう。ライラックやサフランなんて洋物だと、もうそのイメージから逃れられない印象あるかな。うまくない。‥そこにいくとタンポポは、なんだかふわふわしてる。日本にも外国にも腰を下ろさなくて、ふわふわと、どこにも嵌らないような抽象性がある。つかみどころがないっていうか、なんだかおもしろいよね。」
「そうね。ほんとうにただの雑草扱いだったのでしょうね。縛られてないというか。」
「それと種子が綿毛でふわふわ空を飛ぶんだよね。ライオンの歯のようなギザギザの放射状に伸びるギゼット葉。黄色く白く群れ咲くタンポポ。うららかな陽気。春爛漫の、イメージ。」
「たわいないヴィジョンだけど、たしかにそれは春の風物としてあるかしら。タンポポ、ね。」
「日本古来の野草なのに、名前の起源がはっきりしなくて、幾何学的な形してて、種子が空を飛行する。タンポポ、素敵っ。っていうお話でした。おしまい。」
「名前がなかったというのは奇妙なことね。現代でも、タンポポはどこか人の境界の外にいる印象かしら‥」
2007/07/16/Mon
「なんで公開するのかな、とは思う。身体的な傷だったら、それはけっこう人目を気にして隠したりするものなのかな。でも怪我なら止むにやまれぬから仕方がないって、なんの配慮も気にしないよって人がいて、そういう人のほうが世間一般の割合からいったら、ふつうなのかも。むしろ怪我とか病気とかじゃなくて、生まれつきの自然を忌む‥みたいな衝動がある感じ。それで、たぶんここらはいろいろ不味いような気がする。あんまり、大げさにいっちゃだめ、みたいな、禁忌のひとつかも。」
「そ、ね。どうも意識の嫌なところをついている感じね。」
「心は、そしたらどうかな。心の傷、みたいなのには、あんがい見聞する機会は、それなり出会うもの、かな。それで、リストカットも、それに近い感じがする。私は「癒し」って言葉がきらいだけど、リストカットを公開するとき、公開した人にはたぶん快楽がある。それで、それを見た人と本人の間に、その快楽は癒しのような心の運動を起こさせる。‥たぶん、こうした運動が元々の文学の担ってた役目のひとつだったかも、とか思うとなんだろね。私は、リストカットの手首を見て、何を考えるんだろな。」
「さてね。感化されるようなものある?」
「内面ってあるのかな、なんて思っちゃう。でも、かんたんにいえることじゃ、ないよね。」
「ま、そうね。心の傷とはいえるけれど、その傷はもしかたら時代が引き受けねばならない枷なのかもしれないかしらね。」
2007/07/15/Sun
自傷:経験ある若者、写真集に テーマは「生きる」「ちょっと疲れた感じで、ぼんやりとしてたら、上の記事が目に入ったので、見てみる。そして、私としてはめずらしく、吐き気を感じた。‥ああ、これはやだな。リストカットをするあなたへ、みたいなの。あなたはひとりぼっちじゃないって、こういうこと、憎悪を感じる。」
「壊れた人形、ね‥。ま、よくいうこと、だけど‥」
「なんだか、殴りたくなる、かな。‥もちろん、こういう考え方がわるいわけじゃないです。こういう方法で救われる、なら、‥十分ありなんじゃないかな。私がどうこういうことじゃないです。」
「救い、ね。ま、救われるなら、その言葉がどうであれ、救われるのでしょうかしら。」
『写真集の最初には自傷経験のある妊婦を、最後には自傷跡だらけの腕の女性と固く手を結ぶ男性の写真を配した。表紙には、本を手に取る人の顔を映す鏡のような紙。「自傷者とあなたの顔とはそんなに違いますか。僕もあなたも彼ら彼女らも、同じように生きている」。そんな岡田さんの思いが込められている。』
「僕もあなたも彼ら彼女らも、同じように生きている、か。そのとおりです。‥それで、そのことを感じることはかんたんにいかない。「自傷者とあなたの顔とはそんなに違いますか」そのことを認識することが、悲しくなるくらいにかんたんじゃない。」
「はてさて‥。どうかしらね。まったく、どうかしらよ。」
『多くの子が自傷を親や周囲に打ち明けられずにいた。撮影後、「隠してきた傷跡を光に触れさせてあげられてうれしい」「生きるための一歩になった」などのメールも届いたという。』
「そういう問題じゃ、ないのじゃない。あなたはそれでもひとりだよ。でも‥それがよい結果になることもあるのだろな。なら‥それでいいのかな‥」
「歯切れわるいことね。」
「‥でも、私には勝てないよ。‥でも、‥どうでもいいや。もしかしたら、臨済なんてこんなときにいいのかもしれないね。そういうのも、人生、なのかな。」
「はてさてね。ま、どういっても、放言にしかならないような、立場ね。ある種の限界よ。おそらく。」
『虚空に釘を打つような真似はするな。』
「臨済録」
2007/07/15/Sun
「School Days第2話です。誠って最低、っていうことを視覚的に視聴者に納得させるお話、かな。見てて、誠ってただのばかなのだなーって思って、あははって笑っちゃいましたけど、それから少し考えて、けっきょくのところ、今回のお話って、性欲と生活の折り合いのバランス‥のことなのですよね。この問題って、けっこう言葉にしにくい問題、かな。誠はとりあえず「やりたい」わけですけど、それをそのまま実現させるほど、世界は誠に都合よくない。ここでかんたんにとんとんっていっちゃったら、それはユートピアであって、そこには孤独も生活もありえないから、人間もない。快楽原則と社会原則、その相反する二つに挟まれて右往左往するのが人間の姿だったり。べつな言い方すれば、実存することの悲しみ、かな。」
「かっこつけた言い方すれば、ま、そうでしょうね。問題は誠の節操のなさよ。」
「節操、か。誠はすごくへたくそですけど、節操の観念はまだあるのかな。‥ちょっと放言しちゃうと、本能の赴くままみたいなどんな相手でもだいじょぶだよーみたいな人は世の中にはあって、そういう性欲というモードに徹しきっちゃってる。それで、そういうのに、わー引くーみたいな感覚は、そのモードに徹しきれない部分が、ある程度、昇華されたもの、なんていえるかな。人間って、けっきょく身体にごく限定された存在で、人の精神がどれだけ道徳や倫理を説こうとしても、肉欲‥食欲とかもそうですけど、内臓的な衝動‥からは、逃れられない。それはそれでうわーですけど、そうした身体感覚は紛れもなく現実そのままなのだけど、現実を構成してる諸要素‥つまり他人が集合した私たちの社会‥では、相容れない観念です。なぜなら、個人の世界と、私たちの社会はイコールじゃないから。個人の世界は、社会に呑みこまれてるものだから。社会は、ちっぽけで無意味な個人の世界の思いの残滓の、結晶のような、願いのような、ものだから。‥ここでユートピストの孤独みたいなのが、生まれるのかな。私の願いは叶えられることなんてなくて、世界は私を見限った。だから私は、私のなかだけに、私の理想郷を築こうでないか。‥サドが牢獄文学者であった理由が、ここにあります。サドが孤独の快楽のなかに、人間の秘密を暴いた理由が。」
「個人のわがままを、そのまま許す余地はないという、それだけの話なのかしらね。」
「サドは自分の死後に、人類から自分の記憶が失われるようにって、願ったんだよ。個人のエゴ‥孤独は、それほどにつよい。サドはそれを知ってたから、とてもとてもやさしかった。サドの人生は、だから牢獄で終ったです‥」
「理想ね。さいごまで世界を見捨てられなかったのかしら。」
「‥どうかな。よくわかんない。‥なんだかぜんぜんSchool Daysの感想から外れちゃったような感じだけど、でも性のお話だから、うーん、外れてないです! とりあえず、誠は恋愛マニュアルなんて本読まないほうがいいよ。その手の本に書かれてること、実践できる人は、もともとそういう人だから。できない人は、拙劣に、真実に、生きるほかないです。正直な心と、真摯な態度は、あなたをまっすぐあらわす、たったひとつの方法なのだから。」
「拙劣なだけではだめだけど、かしら。そもそも、態度の問題よ。態度なくして何ができる道理よ‥って、これだと説教ね、まるで。」
2007/07/14/Sat
前川涼「アニマル横町」8巻「アニ横8巻発売です! ‥8巻、かー‥。アニ横、そんなつづいてるのですね。わー。」
「7年目だっけ? おどろくべきは、月日の過ぎゆく様、ね。」
「8巻はなんとコミックスに目次ついてます。8巻目にして、はじめて目次つきました。これですごく見やすくなってよかったです。」
「ま、タイトルに意味なんてほとんど微妙だけど。」
~どき☆どき 怖い話大会ー!の巻~
「イヨがいつものとおりに突拍子なく、怖い話大会しよー!って、あみっぺたちに提案するのだけど‥実はそれは現実じゃなくて‥っていうお話。アニ横でこんなふうな幻惑めいたお話がくるとは思ってなかったから、ちょっとおどろき。夢オチって素敵です。」
「しかし、ネコあみって妙にはまってるのよね‥」
~どき☆どき アニヨコのとある1日の巻~
「アニ横トリオのみんながふだんどんな生活してるのか。そんな長年の謎の一端がみられるお話。ケンタがすごく規則正しい生活で、ごはんつくるの上手なのもおもしろいです。」
「イヨとか料理しないのでしょうね‥。ってか寝すぎよ。」
「ケンタが作ってくれてるのかな! ケンタ、お父さん。愛。」
「愛は知らないけれど。」
~どき☆どき ヘアースタイリングあみっぺの巻~
「アニ横のさいしょの1ページ目。上段が半分タイトルってスタイルがおちつくっていうの、私も賛成ー。このスタイルだと、いろいろあみっぺの可愛い姿がみれて、私けっこう幸せ。カラーも素敵ですけどっ。」
「‥ま、ね。」
「あみっぺはいつもの髪型だから、あみっぺなのだ。それでときたま髪下ろしたところにときめくの。」
「あのおだんご二つは重力超越してるのよね。さすが、といっておくかしら。」
~どき☆どき ハッピーバースデイ!イヴ編の巻~
「あみちゃんの何度目だかわかんない五歳の誕生日、の前日。一足早くお祝いするイヨたちだけど、誕生日当日は‥というお話。アニ横トリオとあみっぺの関係が描かれて、よかったです。みんながそろわなきゃ、つまんない。」
「なんだかんだであみもねー。アニ横の刺激がないともうあれなんでしょ。」
~どき☆どき it'sヤマナミshow~あのとき君は若かったスペサル~の巻~
「アニメだとさいしょからアニ横とあみっぺの出会いが描かれましたけど、原作でははじめて。くーちゃんとけんかしちゃったあみちゃんが、アニ横トリオのはげましで、なんとか勇気を出して、仲直りできた‥そしてアニ横のみんなと友だちになれた、というお話。アニ横でこういうお話は、不意打ちです。ポジティブ一直線のイヨの素敵さとか、イッサの気遣いとか、ケンタの年長者?としての頼もしさとか、すごくよかったです。イヨは何も考えてないだけだろうけど。あはは。」
「これがなれそめだったのね。けっこう意外かしら。」
「アニ横、傍若無人。みんないるから、いつもどおりで、いいんだよね。次は9巻、また一年後かな。ナンチャコフ!」
「はてさて。それじゃ、またゆっくり待つことかしらね。8巻は、ヤマナミさんあまり目立たなかったみたいね。」
2007/07/13/Fri
「雨雲が空を一面、濃い青色に覆っているのを見て、こういうの暗緑色っていうのかな、混じりけのない、すごく澄んだ色で、蒸し暑いのほんの少し忘れて、きれいだなって思った。吹く風も心地よいのじゃないけれど、遠く深く押し迫った感じの空は、どこか遠近感が狂ったような感じで、こういうところに吸い込まれていくのって、どんなだろ。無になるような、深淵の入り口って、そんな眩暈のようにあらわれる気がする。‥そんなことをぼんやりと考えてたら、雨に打たれた。傘、忘れてた。」
「一日中、今にも振り出しそうな天気だったんだから、朝からもってきなさいよ。まったく。」
「うー。私、信じてたのに‥」
「何を信じてたのよ。天候なんて、呑気で気まぐれなものよ。」
「水に濡れるのってえろい? 色気かなっ。」
「頭、拭け。」
2007/07/13/Fri
「絶望先生なんてアニメ化してもどうするのかな、なんて思ってたけど、すんなりおもしろかったので、うん、よかったです。‥それで、絶望先生について何か云々するのってべつにないです。野暮だよねっ。でもとりあえず、絶望先生のへんな楽天主義、外面的には絶望してるのだけど、けっこう人生楽しんでるのじゃない先生ーみたいなのは書いておこうかな。」
「絶望先生ねー。ま、実際に死ぬ気遣いは無用という人物だけど。」
「絶望先生の絶望‥というと、これは太宰治が問題となるのかな。太宰治の絶望は何かというと‥絶望っていうより、うーん、困ったところ、糸色望は困ったやつです‥それは単純にいえば、自己無罪化してるところかな。つまり自分に罪はなくて、ほかがわるいのだよっです。先生がよくいう、世の中に絶望した!ってのですね。これは世の中がわるくて、私はわるくないよ。私は罪ないよ、私をこんなにした周り‥たぶん世界かな‥がわるいよ、という主張。私は無垢で、だから罪なんてあるはずないじゃない。みたいな論理。」
「‥なんていうのかしらね。それはつまり‥」
「ふざけるなー!かな。あはは。でもそんなのです。それで、これはもうちょっというと、外界との対応の問題。心の持ちよう、というか、けっこう意識的な技術かも。でもそれはとても厄介なことで、そのことにうまく対応できなかった、っていうのが、太宰の秘密でした。ほかの人からみると、あれれ、なのかな。」
「そうでしょうね。共感はまず生まないでしょ。」
「それじゃさいごに一言です。太宰も、絶望先生も、人が惚れちゃうタイプの人間でした。私思うけど、糸色望って久米田先生のこれまでのキャラになかった、色気がある人。それで、その色気って、主体的にどうにかして得られるものでなくて、宿命的、っていっていいものかも。そして、その宿命に対応できるかどうか、というのが、もし対応できなかったら、その人はどうなっちゃうか、‥ということの答えが、「人間失格」でした。おしまいです。」
「対応できるかどうか、ね。でもそれは経験でどうにかできる範疇なのよ。だから、ま、自殺しないがいいことなのよ。絶望するまえに、かしらね。」