必読書という話題
2010/09/29/Wed
10代で読んでいないと恥ずかしい必読書 - その1
10代で読んでいないと恥ずかしい必読書 - その2
10代で読んでいないと恥ずかしい必読書 - その3
「定期的に話題になる必読書の話。なのだけど、これは洒落かな。西洋に偏りすぎだし、時代もごく限定されてる。翻訳で済ますべきか、原書に当るべきか、つまり語学と翻訳の妥当性の問題もある。でもこのエントリでは、あまりそういった堅苦しいところには突っ込まずに、リストを見て、気ままに私が感じたことを記していこうと思う。」
「必読書なんて、ま、ナンセンスではあるのだけれど。というのも権威主義的だし、俗悪だし、何よりミーハーっぽいのよね、この手のリストって。そういっても、はてさてでしょうけど。」
・プラトン『国家』
「プラトンはおもしろい。でもいきなり「国家」はたいへん。その前にプラトンの対話篇の妙味、そのおもしろさを理解するには、ほかの短い対話篇から入ったほうがいいと思う。それとこれ(→田中美知太郎「プラトンに学ぶ 田中美知太郎対話集」)。田中先生の姿は、この手の必読書リストのかもす雰囲気とどれだけ隔たっているだろうって、よく理解できると思う。」
「哲学は原書に当るのが何よりいいとはいっても、まずきちんと用語や歴史、思想背景を知る手間を惜しんでも、本来は、いけないのでしょうね。その意味ではこれもありかしら(→R・S・ブラック「プラトン入門」)。また中山元「思考の用語辞典」は使い勝手がいいのよね。」
・アリストテレス『ニコマコス倫理学』
「これ(→アリストテレス「ニコマコス倫理学」)。ただ私はあまりアリストテレスは好みでない。」
「ま、プラトンの文脈をおさえないと(→藤沢令夫「プラトンの哲学」)。」
・ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』
「ショーペンハウアーは「随想録」がおもしろい。人生の物語はすべて受難の物語だ、とかいってる。」
「ショーペンハウアーは醜男で、女性にもてなかったっていうのよね。なんか、ま、そういう話よ。」
・デカルト『省察』
「デカルトはおもしろい。けど難しい。このエントリにまとめてあるかな(→それはすごく大問題 存在という一個の謎)。」
「「方法序説」は非常におもしろいけれど、あれをしっかりと読むというのはどういうことなのかしら。ところで、やはり、言葉の問題があるでしょう。西洋語の語感というか、感覚というか。」
・パスカル『パンセ』
「これは当時の西洋文明の置かれた背景がまず問題意識としてある。でもその前に聖書を踏まえてなきゃいけない。そして聖書を読むのは骨が折れる。」
「聖書はおもしろいのよね。ある人の言葉だけれど、旧約聖書には人生において考えうるあらゆる悲劇に対する処方が書かれているとか。たしかにそういった側面はあるでしょう。」
・キェルケゴール『死に至る病』
「読んだけど、記憶がない。」
「忘れた、と。」
・ニーチェ『道徳の系譜』
「道徳の系譜かー‥、と言葉に詰まるのは、ニーチェはこちこちの西欧文明の人で、つまりいうと、日本人が直接にニーチェに向っても、ニーチェの問題意識、その姿勢は理解できないと思う。「悲劇の誕生」なんて、とくにそう。」
「ニーチェは警句のように読まれてしまうけど、しかしそういうものでもないのでしょうね。じゃ何かというと、非常に面倒くさい話になるけど。」
・ハイデッガー『存在と時間』
「読めないよ。」
「ま、これかしら(→木田元「ハイデガー『存在と時間』の構築」)。」
・サルトル『存在と無』
「サルトルはなんであんなに書いたんだろう。」
「時代よね、これも。」
・レヴィナス『全体性と無限』
「これたぶん私読んだけど、忘れた。電車のなかで読んだことは覚えてる。」
「レヴィナスって思想史的にはどういった位置づけなのかしら。」
・フロイト『快感原則の彼岸』
「フロイトはおもしろいのでみんなで読もう。」
「どんどんコメントが適当になってきてるけど。」
・ヴェイユ『重力と恩寵』
「ヴェイユ最高! ロックだよ! この人の人生は完璧に哲学者だと思う! ヴェイユを見て哲学のなんたるかを知り、哲学なんてやるものかって思うのが正しい!」
「哲学者よね、この人。とんでもない人よ。」
・ブーバー『我と汝・対話』
「興味深いけど、やっぱりキリスト教へ近づく精神がないと、無駄だと思う、読んでも。とりあえず、これ(→ちょっとした信仰についての話)。」
「しかし岩波ばかりね。人気なのかしら。」
・ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
「なんで日本ではこんなにウィトゲンシュタイン人気なの? それより、といっては失礼だけど、ウィトゲンシュタインは日記がおもしろい(→救いについての意味あい 生と死の混淆)。哲学宗教日記は今も私の枕頭の書。」
「ま、哲学的にはこちらかしらね(→鬼界彰夫「ウィトゲンシュタインはこう考えた 哲学的思考の全軌跡 1912-1951」)。論考はウィトゲンシュタイン自身によって否定されているし、ポパーもいるし、それほど優先度があるようにも思えないかしら。」
・バタイユ『エロティシズム』
「けっこうおもしろい。ただ時代的なものは感じるけど。」
「ここらのフランスの精神文化は、ま、こういうものよね。といってもなんか曖昧だけれど。不健全といえば、限りなく不健全。」
・ラッセル『西洋哲学史』
「ラッセルといえば「幸福論」。大好き。はまった。」
「過去に書いたエントリとしては、これかしら(→自尊心の処理の問題 「とらドラ!」と「山月記」に寄せて)。」
「疲れる疲れた疲れちゃった。そうとう飛ばしても、まだその1が終っただけだし。リストその2を見ると、ルソーがいる。ルソーは変態。ウェーバーがいる。プロ倫かー、と思う。ばーっと眺めていると、どんな選別基準なのかわからなくなってくる。リストその3はどう? しかし日本は翻訳王国だね、と思う。面倒なので、それじゃ私のおすすめの本を一冊。三木清『読書と人生』。読書論は、今のところ、私としては、これで終り。あるいは哲学なら、ミシェル・オンフレ『反哲学教科書』。笑えるよ。」
「なんで日本の本なかったのかしら。いや素朴な疑問だけれど、なぜかしら。」
10代で読んでいないと恥ずかしい必読書 - その2
10代で読んでいないと恥ずかしい必読書 - その3
「定期的に話題になる必読書の話。なのだけど、これは洒落かな。西洋に偏りすぎだし、時代もごく限定されてる。翻訳で済ますべきか、原書に当るべきか、つまり語学と翻訳の妥当性の問題もある。でもこのエントリでは、あまりそういった堅苦しいところには突っ込まずに、リストを見て、気ままに私が感じたことを記していこうと思う。」
「必読書なんて、ま、ナンセンスではあるのだけれど。というのも権威主義的だし、俗悪だし、何よりミーハーっぽいのよね、この手のリストって。そういっても、はてさてでしょうけど。」
・プラトン『国家』
「プラトンはおもしろい。でもいきなり「国家」はたいへん。その前にプラトンの対話篇の妙味、そのおもしろさを理解するには、ほかの短い対話篇から入ったほうがいいと思う。それとこれ(→田中美知太郎「プラトンに学ぶ 田中美知太郎対話集」)。田中先生の姿は、この手の必読書リストのかもす雰囲気とどれだけ隔たっているだろうって、よく理解できると思う。」
「哲学は原書に当るのが何よりいいとはいっても、まずきちんと用語や歴史、思想背景を知る手間を惜しんでも、本来は、いけないのでしょうね。その意味ではこれもありかしら(→R・S・ブラック「プラトン入門」)。また中山元「思考の用語辞典」は使い勝手がいいのよね。」
・アリストテレス『ニコマコス倫理学』
「これ(→アリストテレス「ニコマコス倫理学」)。ただ私はあまりアリストテレスは好みでない。」
「ま、プラトンの文脈をおさえないと(→藤沢令夫「プラトンの哲学」)。」
・ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』
「ショーペンハウアーは「随想録」がおもしろい。人生の物語はすべて受難の物語だ、とかいってる。」
「ショーペンハウアーは醜男で、女性にもてなかったっていうのよね。なんか、ま、そういう話よ。」
・デカルト『省察』
「デカルトはおもしろい。けど難しい。このエントリにまとめてあるかな(→それはすごく大問題 存在という一個の謎)。」
「「方法序説」は非常におもしろいけれど、あれをしっかりと読むというのはどういうことなのかしら。ところで、やはり、言葉の問題があるでしょう。西洋語の語感というか、感覚というか。」
・パスカル『パンセ』
「これは当時の西洋文明の置かれた背景がまず問題意識としてある。でもその前に聖書を踏まえてなきゃいけない。そして聖書を読むのは骨が折れる。」
「聖書はおもしろいのよね。ある人の言葉だけれど、旧約聖書には人生において考えうるあらゆる悲劇に対する処方が書かれているとか。たしかにそういった側面はあるでしょう。」
・キェルケゴール『死に至る病』
「読んだけど、記憶がない。」
「忘れた、と。」
・ニーチェ『道徳の系譜』
「道徳の系譜かー‥、と言葉に詰まるのは、ニーチェはこちこちの西欧文明の人で、つまりいうと、日本人が直接にニーチェに向っても、ニーチェの問題意識、その姿勢は理解できないと思う。「悲劇の誕生」なんて、とくにそう。」
「ニーチェは警句のように読まれてしまうけど、しかしそういうものでもないのでしょうね。じゃ何かというと、非常に面倒くさい話になるけど。」
・ハイデッガー『存在と時間』
「読めないよ。」
「ま、これかしら(→木田元「ハイデガー『存在と時間』の構築」)。」
・サルトル『存在と無』
「サルトルはなんであんなに書いたんだろう。」
「時代よね、これも。」
・レヴィナス『全体性と無限』
「これたぶん私読んだけど、忘れた。電車のなかで読んだことは覚えてる。」
「レヴィナスって思想史的にはどういった位置づけなのかしら。」
・フロイト『快感原則の彼岸』
「フロイトはおもしろいのでみんなで読もう。」
「どんどんコメントが適当になってきてるけど。」
・ヴェイユ『重力と恩寵』
「ヴェイユ最高! ロックだよ! この人の人生は完璧に哲学者だと思う! ヴェイユを見て哲学のなんたるかを知り、哲学なんてやるものかって思うのが正しい!」
「哲学者よね、この人。とんでもない人よ。」
・ブーバー『我と汝・対話』
「興味深いけど、やっぱりキリスト教へ近づく精神がないと、無駄だと思う、読んでも。とりあえず、これ(→ちょっとした信仰についての話)。」
「しかし岩波ばかりね。人気なのかしら。」
・ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
「なんで日本ではこんなにウィトゲンシュタイン人気なの? それより、といっては失礼だけど、ウィトゲンシュタインは日記がおもしろい(→救いについての意味あい 生と死の混淆)。哲学宗教日記は今も私の枕頭の書。」
「ま、哲学的にはこちらかしらね(→鬼界彰夫「ウィトゲンシュタインはこう考えた 哲学的思考の全軌跡 1912-1951」)。論考はウィトゲンシュタイン自身によって否定されているし、ポパーもいるし、それほど優先度があるようにも思えないかしら。」
・バタイユ『エロティシズム』
「けっこうおもしろい。ただ時代的なものは感じるけど。」
「ここらのフランスの精神文化は、ま、こういうものよね。といってもなんか曖昧だけれど。不健全といえば、限りなく不健全。」
・ラッセル『西洋哲学史』
「ラッセルといえば「幸福論」。大好き。はまった。」
「過去に書いたエントリとしては、これかしら(→自尊心の処理の問題 「とらドラ!」と「山月記」に寄せて)。」
「疲れる疲れた疲れちゃった。そうとう飛ばしても、まだその1が終っただけだし。リストその2を見ると、ルソーがいる。ルソーは変態。ウェーバーがいる。プロ倫かー、と思う。ばーっと眺めていると、どんな選別基準なのかわからなくなってくる。リストその3はどう? しかし日本は翻訳王国だね、と思う。面倒なので、それじゃ私のおすすめの本を一冊。三木清『読書と人生』。読書論は、今のところ、私としては、これで終り。あるいは哲学なら、ミシェル・オンフレ『反哲学教科書』。笑えるよ。」
「なんで日本の本なかったのかしら。いや素朴な疑問だけれど、なぜかしら。」