仏蘭西的雑感その3
2011/11/30/Wed
スーパーで、レジを通す前に、商品を食べる。たとえばリンゴとか。そういった光景をときに見かける。文化のちがいといったものだろう。逆に、どうして日本ではレジでお金を払う前に商品を、たとえばチョコとかを、食べるのがいけないんだろうか、とも考える。文化のちがいだろうか。しかし、文化のちがい、宗教のちがい、国のちがい、等々、といった言葉は、その実、それだけでは、何も意味していないに等しい。なので、つまらない。物事はもうちょっと微に入り細に入り、考えてみたほうがおもしろい。
ともあれ、日本で似たようなことをしたら、ほぼまちがいなく、万引きにまちがわれるだろう。というか、そういった光景を見たことがある。というのも、昔、スーパーでバイトをしていたことがあって、万引きはよくあったからだ。チョコなんかを食い散らかしたあとを見つけたこともある。ただフランスでは、そのあと、きちんとお金を払えばオーケイなのだが。
と、書いていて気づいたが、日本のスーパーには入口や出口に防犯ブザーの、なんていうんだ、ほら、あの、ポールのような、装置、名前がわからん、が、ない。あるいはない場合も多い。だから万引きも起きやすいのでないか。
なんでこんなことをつらつら書いているかというと、私の知人が万引きにまちがわれてあわや警察沙汰になる寸前、といったアクシデントが、以前、あったからだ。外国で犯罪を疑われる恐怖といったらない。しかもこっちの店には、スーツを着込んだ熊のような大男が警備のためによくうろついている。スーパーではそんなのいないことも多いが。しかし私の友人が万引きを疑われたとき、熊のような大男が彼を追い詰めたのである。これはなかなか恐怖である。
で、思ったのだが、日本にもこういった熊のような大男がうろついていたら、よもや万引きを犯そうという気もだいぶ薄れるのでないか、と。
閑話休題。熊で思い出したが、私の部屋にはporte-fenêtre...俗にいうフランス窓が付いている。フランス窓というのはバルコニーなどに通じるガラスのドアのことだ。で、このフランス窓が壊れた。どうやっても閉まらなくなったのだ。それでも夏はまだよかったが、秋も深まり、冬の気配が近づいてくると、さすがに辛抱しかねる。なので管理人にわけを話すと、彼はさも不思議そうな顔をして、
「で、それで何か困ったことがあるのか?」
と、のたまう。心中、私は、
(困ったことがあるに決まってるだろう!!)
と、思うが、そこは私、優雅さをなお崩さず、「非常に困っている。とても困っている。超不便だ」とクールに伝える。彼はオーケーと手帳に用件をメモしていた。
ここでひとつ、事実を付け加えておかねばならない。この管理人は身長190センチ以上、熊のような体格の大男だ。クールで繊細な私に比べれば熊といってもなんら差し支えない。
その二日後、突如、私の部屋に現れた管理人は、私の力ではどうにもならなかったフランス窓を、私の首よりも明らかに太いその腕でもって、がつんと一発、壁を叩き割るような勢いで、強引に力ずく、閉めた。否、押し込んだ。
(なんて威力だろうか……。しかし、たしかにこれで扉は閉まったが、もう一度開けたら、再び閉めるには、この管理人並みのパワーがなければ不可能ということだ。となると、私がフランス窓を開けて閉めるには次の二つの方法しかない。……第一に、私が筋トレをして、熊レベルの腕力を身につけること。第二に、バルコニーでフランスの心地よい風に吹かれながらお茶を楽しんだあとは、いつも管理人を呼び出し、フランス窓を閉めてもらうこと。...Misère!)
その一週間後、管理人が連絡した業者の人がフランス窓を修理してくれた。非常に助かった。腕立て伏せをするのが億劫でしかたなかったんだ。
ともあれ、日本で似たようなことをしたら、ほぼまちがいなく、万引きにまちがわれるだろう。というか、そういった光景を見たことがある。というのも、昔、スーパーでバイトをしていたことがあって、万引きはよくあったからだ。チョコなんかを食い散らかしたあとを見つけたこともある。ただフランスでは、そのあと、きちんとお金を払えばオーケイなのだが。
と、書いていて気づいたが、日本のスーパーには入口や出口に防犯ブザーの、なんていうんだ、ほら、あの、ポールのような、装置、名前がわからん、が、ない。あるいはない場合も多い。だから万引きも起きやすいのでないか。
なんでこんなことをつらつら書いているかというと、私の知人が万引きにまちがわれてあわや警察沙汰になる寸前、といったアクシデントが、以前、あったからだ。外国で犯罪を疑われる恐怖といったらない。しかもこっちの店には、スーツを着込んだ熊のような大男が警備のためによくうろついている。スーパーではそんなのいないことも多いが。しかし私の友人が万引きを疑われたとき、熊のような大男が彼を追い詰めたのである。これはなかなか恐怖である。
で、思ったのだが、日本にもこういった熊のような大男がうろついていたら、よもや万引きを犯そうという気もだいぶ薄れるのでないか、と。
閑話休題。熊で思い出したが、私の部屋にはporte-fenêtre...俗にいうフランス窓が付いている。フランス窓というのはバルコニーなどに通じるガラスのドアのことだ。で、このフランス窓が壊れた。どうやっても閉まらなくなったのだ。それでも夏はまだよかったが、秋も深まり、冬の気配が近づいてくると、さすがに辛抱しかねる。なので管理人にわけを話すと、彼はさも不思議そうな顔をして、
「で、それで何か困ったことがあるのか?」
と、のたまう。心中、私は、
(困ったことがあるに決まってるだろう!!)
と、思うが、そこは私、優雅さをなお崩さず、「非常に困っている。とても困っている。超不便だ」とクールに伝える。彼はオーケーと手帳に用件をメモしていた。
ここでひとつ、事実を付け加えておかねばならない。この管理人は身長190センチ以上、熊のような体格の大男だ。クールで繊細な私に比べれば熊といってもなんら差し支えない。
その二日後、突如、私の部屋に現れた管理人は、私の力ではどうにもならなかったフランス窓を、私の首よりも明らかに太いその腕でもって、がつんと一発、壁を叩き割るような勢いで、強引に力ずく、閉めた。否、押し込んだ。
(なんて威力だろうか……。しかし、たしかにこれで扉は閉まったが、もう一度開けたら、再び閉めるには、この管理人並みのパワーがなければ不可能ということだ。となると、私がフランス窓を開けて閉めるには次の二つの方法しかない。……第一に、私が筋トレをして、熊レベルの腕力を身につけること。第二に、バルコニーでフランスの心地よい風に吹かれながらお茶を楽しんだあとは、いつも管理人を呼び出し、フランス窓を閉めてもらうこと。...Misère!)
その一週間後、管理人が連絡した業者の人がフランス窓を修理してくれた。非常に助かった。腕立て伏せをするのが億劫でしかたなかったんだ。