『Wake Up, Girls !』感想
2014/03/30/Sun
最初に個人的な感想をいうと、非常におもしろかった。こんなにおもしろいアニメは、最近の私があまりアニメを見ていないということもありますが、久しぶりだった。
アイドルとは何か、というテーマは私も2012年ごろから折に触れて考えているものでもありました。それはアイマスの二次創作をpixivで散々書いていた影響が大きいんですが。それで社会学の論文なんかも読んでつらつら考えた結果至った一つの結論は、アイドルとはストーリーであるというものです。もうちょっと極端にいうなら、アイドルとは漫画なのだと。Wake Up, Girls !でも丹下社長が「アイドルとは物語」といったことを発言していたように記憶しています。すると、アイドルがドラマであるという認識はある程度アイドルについて考えたことのある人なら誰もがたどり着くであろう共通の、あるいは基礎的なものなのかもしれません。
私自身についていえば、私はアイドル趣味というものはまったくありません。理解できないといえばできません。もちろん侮蔑的なニュアンスはそこにはまったくありません。ライブもほとんど行きません。誘われれば行くし、昔はたまに行くことがありました。ああいう大人数で何かを楽しむといった環境に私が馴染めないだけかもしれません。
Wake Up, Girls !ではアイドルとは何か?といったテーゼに対し、三人の代弁者が登場します。丹下社長と早坂と白木でしょう。丹下社長は情念を、早坂は希望あるいは理想を、白木は理念を象徴しているといえるでしょうか。松田は道化、あるいは傍観者です。彼はアイドルについて完全に無知であり、作中、特異なポジションを与えられています。オタクのお兄さんがファンの姿、あるいは視聴者そのものの反映――あるいは揶揄的な――であるのに対し、松田はまったく無垢な存在として表れています。彼の反応は衝動的で幼稚なものです。ただそれゆえにアイドル文化とある一定の距離を保っており、同時にWUGの純粋な味方、応援者を担当しているといえるでしょうか。
白木は確固としたアイドル哲学の持ち主です。その意味では保守的です。そんな白木に対し、楽天的かつ自己中心的かつ理想主義者である早坂が対立の位置にあります。一見すると早坂は白木の若いころの姿かなと思いましたが、おそらくそれはちがうでしょう。早坂は白木になるにはあまりにオプティミストです。根なし草なのです。
そんな漂浪者の早坂が同じく行き当たりばったりの丹下社長に与すのは自然の流れともいえるでしょうか。このような三者三様の大人がWake Up, Girls !では図式的に描かれています。アイドルについて異なった意見を持つ三者の競争といった側面が本作には存在しました。しかし彼らにはある一つの共通点がある。それはアイドルとは幸福のためにあるという信念です。
この信念、いってみればアイドルの存在理由そのものを問うのが島田真夢です。真夢は幸福の探求者として登場します。彼女は大人たち、そして仲間たちとの交流から、ある一つの解答に至るわけですが、私は彼女の言葉を聞いたとき、はからずも三木清の言葉を想起しました。
本作はさまざまな側面から語ることができると思います。アイドルだけではなく、個人的には仙台、仙台論といった側面からも本作を考えてみたい気持ちがあります。しかし、はてさて、時間があるかな。余裕があるならやってみたいです。
もっといろいろ書きたいんですが、ファーストインプレッションの感想としてはこれくらいにしておきます。Wake Up, Girls !は本当におもしろかった。私としては今まで見たアイドルアニメのなかでは一番よかった。自分にとってはある種の理想形だったかもしれません。アイドルとは何かという問いに対する一つの解答といえるでしょう。拍手。
「幸福は徳に反するものでなく、むしろ幸福そのものが徳である。もちろん、他人の幸福について考へねばならぬといふのは正しい。しかし我々は我々の愛する者に對して、自分が幸福であることよりなほ以上の善いことを爲し得るであらうか」
三木清『人生論ノート』
アイドルとは何か、というテーマは私も2012年ごろから折に触れて考えているものでもありました。それはアイマスの二次創作をpixivで散々書いていた影響が大きいんですが。それで社会学の論文なんかも読んでつらつら考えた結果至った一つの結論は、アイドルとはストーリーであるというものです。もうちょっと極端にいうなら、アイドルとは漫画なのだと。Wake Up, Girls !でも丹下社長が「アイドルとは物語」といったことを発言していたように記憶しています。すると、アイドルがドラマであるという認識はある程度アイドルについて考えたことのある人なら誰もがたどり着くであろう共通の、あるいは基礎的なものなのかもしれません。
私自身についていえば、私はアイドル趣味というものはまったくありません。理解できないといえばできません。もちろん侮蔑的なニュアンスはそこにはまったくありません。ライブもほとんど行きません。誘われれば行くし、昔はたまに行くことがありました。ああいう大人数で何かを楽しむといった環境に私が馴染めないだけかもしれません。
Wake Up, Girls !ではアイドルとは何か?といったテーゼに対し、三人の代弁者が登場します。丹下社長と早坂と白木でしょう。丹下社長は情念を、早坂は希望あるいは理想を、白木は理念を象徴しているといえるでしょうか。松田は道化、あるいは傍観者です。彼はアイドルについて完全に無知であり、作中、特異なポジションを与えられています。オタクのお兄さんがファンの姿、あるいは視聴者そのものの反映――あるいは揶揄的な――であるのに対し、松田はまったく無垢な存在として表れています。彼の反応は衝動的で幼稚なものです。ただそれゆえにアイドル文化とある一定の距離を保っており、同時にWUGの純粋な味方、応援者を担当しているといえるでしょうか。
白木は確固としたアイドル哲学の持ち主です。その意味では保守的です。そんな白木に対し、楽天的かつ自己中心的かつ理想主義者である早坂が対立の位置にあります。一見すると早坂は白木の若いころの姿かなと思いましたが、おそらくそれはちがうでしょう。早坂は白木になるにはあまりにオプティミストです。根なし草なのです。
そんな漂浪者の早坂が同じく行き当たりばったりの丹下社長に与すのは自然の流れともいえるでしょうか。このような三者三様の大人がWake Up, Girls !では図式的に描かれています。アイドルについて異なった意見を持つ三者の競争といった側面が本作には存在しました。しかし彼らにはある一つの共通点がある。それはアイドルとは幸福のためにあるという信念です。
この信念、いってみればアイドルの存在理由そのものを問うのが島田真夢です。真夢は幸福の探求者として登場します。彼女は大人たち、そして仲間たちとの交流から、ある一つの解答に至るわけですが、私は彼女の言葉を聞いたとき、はからずも三木清の言葉を想起しました。
本作はさまざまな側面から語ることができると思います。アイドルだけではなく、個人的には仙台、仙台論といった側面からも本作を考えてみたい気持ちがあります。しかし、はてさて、時間があるかな。余裕があるならやってみたいです。
もっといろいろ書きたいんですが、ファーストインプレッションの感想としてはこれくらいにしておきます。Wake Up, Girls !は本当におもしろかった。私としては今まで見たアイドルアニメのなかでは一番よかった。自分にとってはある種の理想形だったかもしれません。アイドルとは何かという問いに対する一つの解答といえるでしょう。拍手。
「幸福は徳に反するものでなく、むしろ幸福そのものが徳である。もちろん、他人の幸福について考へねばならぬといふのは正しい。しかし我々は我々の愛する者に對して、自分が幸福であることよりなほ以上の善いことを爲し得るであらうか」
三木清『人生論ノート』