ジャン=ジャック・ルソー「学問芸術論」
2008/05/14/Wed
「ルソーの名を一躍知らしめた出世作。それまで無名に等しかったルソーは本書で当時の社会制度、身分の優れたものたちの度し難い奢汰、そして人たちの徳化に益するとこのない学問のあり方を苛烈なまでに攻撃してく。その激越な理論展開は当時の世相の著しい問題だった上級階層と下級階層の格差といった痛い部分を巧みに刺激することとなって、この書は稀にみる論戦を引き起こしていき、渦中にあったルソーは否がおうにも名を高めることとなった。私の読んだ率直な印象としては、この書はルソー本人の圧倒されるほどの熱情と力に満ちみちてはいるけれど、でもその勢いにふり回され気味なとこがあって、そのためだいぶ読みにくい箇所があったのは否めないかな、というの。論理そのものが破綻しかかっちゃってるところがあって、それはルソー自身も承知するとこだったみたい。だからこの書は論敵たちに対して格好の攻撃対象となったわけで、いちいち弁明しなきゃいけなかったルソーの労苦は所収されてる諸々の資料からよくわかるところかな。この書で重要なのは論理そのものを追うことでなくて、ルソー思想の萌芽たるものを発見して、そのあとのルソーの軌跡の礎石とすることなのかも。ルソー思想の核心たる「自然に帰れ」という部分も、だいたいこの書に書かれた論説から出そろってるから、それを確認してくことはなかなか興味ふかいことではあるだろなって思う。」
「本論の学問芸術論の部分は至極短くすぐに読了できるのよね。それより論敵に対する反論の部分のほうが大分を占めているから、ルソーが当時どれだけの舌戦にさらされたかは容易に想像できるかしら。ま、その理由もわかりやすといえばわかりやすいのだけど。」
「徳に寄与するとこないならば、学問なんて滅んじゃったほうがいい。図書館は焼き払って、大学はぜんぶ打ち砕いちゃえって、ルソーは直截に書いちゃってるものね。これで責められないほうがおかしいというものかな。もちろんルソーの思想というのがそこまで極端なものでなくて、あくまで熱が入りすぎちゃってこんな過激な文章になっちゃったのだろなっていうのは、すぐ読みとれるとこなのだけど。それをいわれるのもまたしかたなしではあるから、ちょっとむずかしいところ。ひとついえるのは、激しい論戦に放りこまれるということは、この書が粗雑であるとはいえ、それだけの力と当時の社会にあってふれられたくない部分をたしかに突いていたということの証左でもあって、さらに歴史にルソーの功績は燦然と輝いてるという事実からも、ルソーの人間と社会観察の尋常でないことがわかるのでないかな。私としては、ルソーの自然賛美の思想は、それほど得意でもなくて、むしろ反発をおぼえる部分が無きにしも非ずなのだけど、でもそうかんたんに看過できないものがあるのはちがいないなって思った。ルソー、かー‥。ルソーの説いてる自然‥原初としての人間の力、社会化されない生命の原動力というものは、とてもおそろしいもので、だから私はルソーのいうようにはこれを賛美できないかなって気がする。ルソーの教えるとこのこわさが、果してルソーにはどう思われてたのかなって思って、私はちょっと、考える。」
「原始状態をルソーは賛美するわけだけれど、それは文明において人類がかならずしも進歩するとは限らないということを知悉していたからなのよね。そしてその観察は現代においてたしかに不当な判断ではなかったといいうるでしょう。しかしそれが自然そのものの帰化が正しいかどうかを立証するものではない。はてさて、いったいこれはどういうことなのかしらね。」
ジャン=ジャック・ルソー「学問芸術論」
「本論の学問芸術論の部分は至極短くすぐに読了できるのよね。それより論敵に対する反論の部分のほうが大分を占めているから、ルソーが当時どれだけの舌戦にさらされたかは容易に想像できるかしら。ま、その理由もわかりやすといえばわかりやすいのだけど。」
「徳に寄与するとこないならば、学問なんて滅んじゃったほうがいい。図書館は焼き払って、大学はぜんぶ打ち砕いちゃえって、ルソーは直截に書いちゃってるものね。これで責められないほうがおかしいというものかな。もちろんルソーの思想というのがそこまで極端なものでなくて、あくまで熱が入りすぎちゃってこんな過激な文章になっちゃったのだろなっていうのは、すぐ読みとれるとこなのだけど。それをいわれるのもまたしかたなしではあるから、ちょっとむずかしいところ。ひとついえるのは、激しい論戦に放りこまれるということは、この書が粗雑であるとはいえ、それだけの力と当時の社会にあってふれられたくない部分をたしかに突いていたということの証左でもあって、さらに歴史にルソーの功績は燦然と輝いてるという事実からも、ルソーの人間と社会観察の尋常でないことがわかるのでないかな。私としては、ルソーの自然賛美の思想は、それほど得意でもなくて、むしろ反発をおぼえる部分が無きにしも非ずなのだけど、でもそうかんたんに看過できないものがあるのはちがいないなって思った。ルソー、かー‥。ルソーの説いてる自然‥原初としての人間の力、社会化されない生命の原動力というものは、とてもおそろしいもので、だから私はルソーのいうようにはこれを賛美できないかなって気がする。ルソーの教えるとこのこわさが、果してルソーにはどう思われてたのかなって思って、私はちょっと、考える。」
「原始状態をルソーは賛美するわけだけれど、それは文明において人類がかならずしも進歩するとは限らないということを知悉していたからなのよね。そしてその観察は現代においてたしかに不当な判断ではなかったといいうるでしょう。しかしそれが自然そのものの帰化が正しいかどうかを立証するものではない。はてさて、いったいこれはどういうことなのかしらね。」
ジャン=ジャック・ルソー「学問芸術論」
