ef - a tale of melodies. 第2話「read」
2008/10/15/Wed
「この作品は繊細な人が多すぎるかな、と思う。一期のときも感じたことだけど、彼らの行なうことは他者を傷つけること、それによって自身が傷つくことに異様なほどに敏感になっちゃってて、そのため彼らは往々にして極端な態度をとることになっちゃってる。たとえば今回のお話で判明した火村の過去だけど、彼はむかしあったトラウマのために他者へ信頼をおく付きあいをすることに極度に怯えちゃってるのだよね。他者に期待しない、というのはべつにそれもありかなだけど、他者に干渉しないだから放っといてくれはけっこう微妙。人というのは基本的に他者への欲望を自然なこととして備えてるもので、それは端的において性って面において語られる。だからなんていうのかな、火村さんは他者に干渉しないしされたくないよっていってるわけだけど、その当の火村さん自身が過去に失くした妹って他者へ縛られちゃってるわけで、だから優子さんにつけ入れられるし、それを反面彼は望んでさえいる。ありていにいえば、火村さんの態度はありがちなものといってよいのでないかな。たぶん対幻想の問題にこれは収斂するのだろし。」
「火村のほうは、ま、けっこうありふれた悩みの形ではあるのでしょうね。人は大なり小なり挫折なり蹉跌なりはあるものでしょうけれど、日々の生活においてその傷は荷厄介となるのであり、それを適度に誤魔化しながら周囲にあわせて自分を取り繕っていくというのが、一般的な生き方なのでしょう。そしてそれはそういった生き方をやれるのならば、やるべきという意味であって、火村はその点不器用だったのでしょうね。元来、人好きのする性格でもなかったことが災いしたかしら。」
「火村さんはけっきょく、だれかにわかってもらいたいって気持が透けて見えちゃうのが、考えようによっては悲しいことかもかな。だからあんがい私は火村さんのほうの物語はそれほど不安なく見れるのであって、これから先の展開がちょっと心配になっちゃうのは、久瀬さんの場合かな。今回、ミズキが久世さんに恋したって告白したけれど、このとき参ったなってつぶやく久世さんの台詞は、彼が色恋沙汰に多々巻きこまれてきたって背景を踏まえてのものだと思うと、よけいに、彼の「参ったな」はほんとに参っちゃってるなって理解することができると思う。恋と愛はちがうこと。それがわかってるからこそ、一時の情熱で駆られた観のあるミズキの告白は、参っちゃうものがあるのだよね(→遠藤周作「愛情セミナー」)。」
「ま、ミズキのようなタイプにおいて、一度や二度の失恋は問題になるようなことではないでしょうけど、久瀬の様子を鑑みると、彼にとっては重い責務となりそうなのがなんともかしらね。性的な視線や期待を向けられるということは、ある程度の余裕がなければできないことであり、それが現時点の久瀬には足りてないように思えてしまう、か。はてさて、どうなるのでしょうね。」
「他者の性的な関心や欲求に、これまで久瀬さんは上手く対処してきた部類なのだと思う。それは彼が学生時代、留学において人間関係をまず片づけたって気軽に口にできてたことから、あるていど察せることかな。ただだけど、他者というのは他者であって、どんなかんたんに告白なりの形でされた愛情といっても、それが積み重ねられるなら、その記憶と事実の蓄積は、それ相応の重さを個人に与えるものではあると思う。たぶん、そういうのを怨念とかって称していいと思うのだけど、ほんと、久瀬さんはたいへんかな。こちらの物語のほうが悲劇の色を帯びそうで、私としては注目してみてきたいって気がする。ミズキかわいくてよろしかなって、ただみてくだけではだめみたい。」
「ミズキが明るく強い子とはいえ、いやそれだからこそ、久瀬のような型の人間の心中の泥沼には、一度足を踏み入れたらより危険は大きいのでしょうね。ああいう芸術家風の人間の性関係は、伝記でも読めば一目瞭然でしょうけど、たいがい面倒なものよ。はてさて、少し心配ね。ま、当面はどう展開するか、期待して視聴していくとしましょうか。」
→もてもて雑感
「火村のほうは、ま、けっこうありふれた悩みの形ではあるのでしょうね。人は大なり小なり挫折なり蹉跌なりはあるものでしょうけれど、日々の生活においてその傷は荷厄介となるのであり、それを適度に誤魔化しながら周囲にあわせて自分を取り繕っていくというのが、一般的な生き方なのでしょう。そしてそれはそういった生き方をやれるのならば、やるべきという意味であって、火村はその点不器用だったのでしょうね。元来、人好きのする性格でもなかったことが災いしたかしら。」
「火村さんはけっきょく、だれかにわかってもらいたいって気持が透けて見えちゃうのが、考えようによっては悲しいことかもかな。だからあんがい私は火村さんのほうの物語はそれほど不安なく見れるのであって、これから先の展開がちょっと心配になっちゃうのは、久瀬さんの場合かな。今回、ミズキが久世さんに恋したって告白したけれど、このとき参ったなってつぶやく久世さんの台詞は、彼が色恋沙汰に多々巻きこまれてきたって背景を踏まえてのものだと思うと、よけいに、彼の「参ったな」はほんとに参っちゃってるなって理解することができると思う。恋と愛はちがうこと。それがわかってるからこそ、一時の情熱で駆られた観のあるミズキの告白は、参っちゃうものがあるのだよね(→遠藤周作「愛情セミナー」)。」
「ま、ミズキのようなタイプにおいて、一度や二度の失恋は問題になるようなことではないでしょうけど、久瀬の様子を鑑みると、彼にとっては重い責務となりそうなのがなんともかしらね。性的な視線や期待を向けられるということは、ある程度の余裕がなければできないことであり、それが現時点の久瀬には足りてないように思えてしまう、か。はてさて、どうなるのでしょうね。」
「他者の性的な関心や欲求に、これまで久瀬さんは上手く対処してきた部類なのだと思う。それは彼が学生時代、留学において人間関係をまず片づけたって気軽に口にできてたことから、あるていど察せることかな。ただだけど、他者というのは他者であって、どんなかんたんに告白なりの形でされた愛情といっても、それが積み重ねられるなら、その記憶と事実の蓄積は、それ相応の重さを個人に与えるものではあると思う。たぶん、そういうのを怨念とかって称していいと思うのだけど、ほんと、久瀬さんはたいへんかな。こちらの物語のほうが悲劇の色を帯びそうで、私としては注目してみてきたいって気がする。ミズキかわいくてよろしかなって、ただみてくだけではだめみたい。」
「ミズキが明るく強い子とはいえ、いやそれだからこそ、久瀬のような型の人間の心中の泥沼には、一度足を踏み入れたらより危険は大きいのでしょうね。ああいう芸術家風の人間の性関係は、伝記でも読めば一目瞭然でしょうけど、たいがい面倒なものよ。はてさて、少し心配ね。ま、当面はどう展開するか、期待して視聴していくとしましょうか。」
→もてもて雑感