とらドラ! 第8話「だれのため」
2008/11/20/Thu
「このくらいの話から、物語はちょっとめんどなことになってくる。まず竜児だけど、たぶん彼はここくらいの各人の関係性の距離感がいちばん楽しかったんじゃないかなって、私は思うかな。大河とも当意即妙の仲で楽しくやれて、みのりんとも次第にふつうに会話できるようになってきて、彼にとっては意想外な考え方をしてる亜美さんにどきどきさせられて。‥これは竜児をとりまく擬似的なハーレム関係が成立しちゃってるということを意味するのであって、もうちょっというならたいていの萌え作品が前提の作品コンセプトとして用意するのがこんなふうな温めの人間関係であるってことはいえるのじゃないかな。そしてこの状態に安穏としてられなくするのが、この作品のひとつ感心すべき点であって、それは変化を望む大河や亜美さんと、停滞を望む竜児とみのりんの対比という構図において、作中ではあらわされることとなる。‥このお話、竜児って大河の意中にぜんぜん関心向いてないものね。竜児は大河は「北村が好き」ってテンプレにはめちゃってそれ以上を考えることをしてなくて、いえばある意味大河を軽んじちゃってもいるのだけど、そこの機微に徹底して無自覚なのが竜児のこまったとこかな。鈍感でなければラブコメは成り立たないのだーとかいう意見もあるかもだけど、それは悪しき鈍感さであり、そしてその鈍さはけっこう暴力的に働いちゃう。竜児の場合、その暴力がさいしょに牙を向いちゃうのが、つまり亜美さんなのだよね。そこらの展開は、注意してみるとおもしろいかも。」
「気づけないのよね。竜児は大河が自分をどう思っているか、その心理の変化にまったく疎い。というより、ほとんど関心もないのでしょう。それなのに竜児はつきっきりで大河の面倒をみている。これは見様によっては非常に狡猾でもあるかしら。」
「ふつうの人はあそこまで他人に干渉しないものね。竜児があんなに大河に構っちゃってるのはだから少し偽悪的な言い方をしちゃうなら、狙って女性を撃ち落そうってしてることと同義であって、ふつうあそこまで異性が尽してくれちゃうなら、何か私に気があるのかなーくらいには思っちゃうのが自然の心理の成行というものでない。そして家事一切が不得手の大河が竜児の万能ぶりに劣等感を抱かないということもないわけであって‥彼女が竜児を犬呼ばわりするのはその反動ってみるべきかもかな‥大河が竜児をある面非常に尊敬さえして慕ってることは、後々みのりんの口から竜児に伝わることであるけれど、それは素直な彼女の本心からであったのでないかな。‥でもそれでも、竜児はあんまり変われなかったのは痛すぎかなだけど、ね。」
「惚れるでしょうね。ま、これは下世話な話になるでしょうけど、家事のフォローができる人というのはいつの時代になっても好意をもたれるに十分な魅力が備わるものよ。そして家族的な雰囲気に憧れていたであろう大河が、竜児のもつアットホーム的な要素に惹かれないではいられなかった、か。ま、ふつうに少女よね大河は。こうして考えると竜児はやり手と称してよいのでしょうけど。」
「でも家族のままであろうとするものね。あるいは気のおけない相方くらいの感覚、かな。でもそれじゃ大河は生殺しであって、その状況のもつ意味あいの酷薄さを指摘できるのが、実は亜美さんのほかなかったっていうのが亜美さんの悲劇であり、そして彼女のやさしさの証明だった。‥大河と亜美さん好きな私は、だから竜児呪われろーくらいの気持はあるかなだけど、でも大河はべっとりだものね。彼女は屈折してなくて、その純真さに図らずもつけいっちゃったのが竜児だっていったら、これは私、少しいい過ぎかな。ただだけど、うん、竜児が願ってるような楽しい関係性は、長つづきするはずないんだよ。だって、恋愛って、そういうものじゃない。生半な状況に留まろうとするには、みんな、そんな淡白でないでない。その自覚がないことは、責める気は当然ないけれど。」
「関係を白黒つけられればいいのでしょうけど、ま、きびしいのよね。大河も竜児も自分らの妄想する恋愛に浸ってわいわいやっていることが、とてもとても楽しいのでしょう。しかし、二人はいつまでもそれをしてるわけには行かなくなるのよ。ある意味心理の自然として、かしらね。さてここからがこの作品はむずかしいかしら。物語は次の段階へと進む、か。はてさてよ。」
「気づけないのよね。竜児は大河が自分をどう思っているか、その心理の変化にまったく疎い。というより、ほとんど関心もないのでしょう。それなのに竜児はつきっきりで大河の面倒をみている。これは見様によっては非常に狡猾でもあるかしら。」
「ふつうの人はあそこまで他人に干渉しないものね。竜児があんなに大河に構っちゃってるのはだから少し偽悪的な言い方をしちゃうなら、狙って女性を撃ち落そうってしてることと同義であって、ふつうあそこまで異性が尽してくれちゃうなら、何か私に気があるのかなーくらいには思っちゃうのが自然の心理の成行というものでない。そして家事一切が不得手の大河が竜児の万能ぶりに劣等感を抱かないということもないわけであって‥彼女が竜児を犬呼ばわりするのはその反動ってみるべきかもかな‥大河が竜児をある面非常に尊敬さえして慕ってることは、後々みのりんの口から竜児に伝わることであるけれど、それは素直な彼女の本心からであったのでないかな。‥でもそれでも、竜児はあんまり変われなかったのは痛すぎかなだけど、ね。」
「惚れるでしょうね。ま、これは下世話な話になるでしょうけど、家事のフォローができる人というのはいつの時代になっても好意をもたれるに十分な魅力が備わるものよ。そして家族的な雰囲気に憧れていたであろう大河が、竜児のもつアットホーム的な要素に惹かれないではいられなかった、か。ま、ふつうに少女よね大河は。こうして考えると竜児はやり手と称してよいのでしょうけど。」
「でも家族のままであろうとするものね。あるいは気のおけない相方くらいの感覚、かな。でもそれじゃ大河は生殺しであって、その状況のもつ意味あいの酷薄さを指摘できるのが、実は亜美さんのほかなかったっていうのが亜美さんの悲劇であり、そして彼女のやさしさの証明だった。‥大河と亜美さん好きな私は、だから竜児呪われろーくらいの気持はあるかなだけど、でも大河はべっとりだものね。彼女は屈折してなくて、その純真さに図らずもつけいっちゃったのが竜児だっていったら、これは私、少しいい過ぎかな。ただだけど、うん、竜児が願ってるような楽しい関係性は、長つづきするはずないんだよ。だって、恋愛って、そういうものじゃない。生半な状況に留まろうとするには、みんな、そんな淡白でないでない。その自覚がないことは、責める気は当然ないけれど。」
「関係を白黒つけられればいいのでしょうけど、ま、きびしいのよね。大河も竜児も自分らの妄想する恋愛に浸ってわいわいやっていることが、とてもとても楽しいのでしょう。しかし、二人はいつまでもそれをしてるわけには行かなくなるのよ。ある意味心理の自然として、かしらね。さてここからがこの作品はむずかしいかしら。物語は次の段階へと進む、か。はてさてよ。」