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2011/04/05/Tue
「ひとりの少女の人生の静かな転機。それはあるいは不幸といってもいいかもしれないけれど、巷にはよくあるだろう、母親のいわゆる夜逃げという、至極凡庸な都合によって、祖母の営む旅館に押し付けられた主人公、緒花。世間ずれしていない彼女は、今まで見もせず、知りもしなかった人間関係の只中に、是もなく落され、そして物語は否応なく開始される。‥ということで、どんな内容の作品なのか、事前に何も知らずに見たために、その骨太な背景と多様なドラマを思わせる登場人物の描写の仕方に、初っ端から、驚かされた。おもしろい、と思う。第一印象としてはこれからもしかしたらすごく魅力的な話になるんじゃないかって、わくわくする期待がある。というのも、この作品のあつかう題材は、実に痛々しい面があって、その本領は第一話から瞭然としてる。こういう作品に取り組むのかーって新鮮な感覚があった。ただ留保をつけるとすれば、アニメとして新鮮だというだけなんだけど。」
「物語の形式や今後予想されるドラマについては、むしろ古典的なものと思われる。しかし昨今のアニメ作品で、こうも人間ドラマを主軸に据えた内容を描こうとする作品は、なかなか他に該当するものが思い当らないのはたしかかしらね。似たような作品で念頭に浮ぶのは、true tearsだけれど、あれは学校を舞台にした真っ当な恋愛劇だったし、本作のように仕事という場、そこにおける生活そのものを主眼とする作品はそうはないといっていいのでしょう。なんだか朝ドラでありそうな雰囲気といえば適切かしら。」
「何もすることのない午前中にぼんやり見るドラマのようといったら、それはほめてることになるのかな? ならないかも。‥さておき。一話目としては思慮の浅いところが多々見られるといってもいい緒花が、やはりというべき人間関係の齟齬、トラブルを起すところを適宜描いているわけだけれど、でも私の印象として、緒花くらいの器量があれば、もうすぐにでも慣れちゃうのじゃないかなって予感がある。少なくとも、彼女があと三、四年年齢を重ねてこの環境に入ったならば、さして問題を引き起すことなしに、すんなり順応したのでないかなって私は思う。というのは、こういった閉鎖的な人間関係の支配する場所で穏便に済まし生きていく方法は、自己を抑えるということに尽きるのであり、そういった術策を身につけるのに苦労するタイプには、緒花はどうにも思えないから。彼女は頭もよく見えるし。なおさら。」
「前時代的な雰囲気のする旅館で働く、というのは、ま、大変でしょうね、いうまでもなく。山奥でほかに遊びに行くところは少ないでしょうし、気晴らしの方法もそうはないでしょうし、それに旅館の仕事って大変だろうし。これは慣れるまでつらいでしょう。それが十六歳そこそことあれば、なんだかかわいそうな気もしてくるかしら。いや、そう考えるのも甘いのかしら、はてさてね。」
「大変だよね。というのも、あー、私ね、バイトをいろいろやっていた時期があって、それで、旅館で少し働いた経験もある。なので、ほんの少しの体験といえど、旅館の仕事は大変だよというのは、けっこうわかる。‥そんな私が緒花にひとつアドバイスするとしたら、こんななる。‥人間関係を円滑に進む秘訣は、悪口だよ、って。」
「三人以上の人間関係にはかならず陰口が発生する。そして、陰口を上手く使うのが、こういった閉鎖的な人間関係で気を晴らし、それなりの関係性を構築する手っ取り早い方法である。‥とかいったら、はてさて、ブラックユーモアになるのかしら? ま、今後が楽しみな作品でしょう。次も期待よ。」