「ミルキィホームズ」二次創作 ~コーデリアさんのバレンタイン~
2012/02/14/Tue
「バレンタイン? ……って、もう終わってるじゃん」
ここ数日、コーデリアさんの様子がどことなくおかしいです。朝早くこっそりと部屋を出て、そして夜遅くに帰ってくる。シャロが「コーデリアさん何してるんですかー?」と聞いても、コーデリアさんはあからさまにうろたえながらも、よくわからない歌をぶつぶつと不気味に呟いて、さっさとベッドに潜り込んでしまいます。それはまるでこれほど露骨に怪しい人はいないといっても過言でない様子でした。
「でも、ほら、コーデリアさんの日記帳に書いてあります! きっとバレンタインのためにバイトしてたんですよっ」
昨日、十四日、いつものように早朝から出かけたコーデリアさんは、ついに帰ってきませんでした。そして十五日の朝である今、私たちはコーデリアさんがどこに消えたか心配していろいろ話し合っているところなのです。……そうしてついにシャロがコーデリアさんの日記帳から重要なファクターを見つけたところなのだけど、そのページにはコーデリアさんがバレンタインのためのチョコを買うためにひとりバイトをしている姿が描かれていたのでした。――チョコを一枚買うお金もない私たちの窮状がただただ忍ばれます……。
「きっとバイトが上手くいかなかったんだよ! ……こんなお花畑全開のふわふわ下手くそな妄想の絵日記を口半開きで笑いながら真夜中まで描いていて、バイトが成功するわけないじゃん。しかたないからコーデリアを迎えに行こう!」
「コーデリアさんはたぶんいつもの公園でバイトしてるはずです! ――謎は解けました。ミルキィホームズ出動です!!」
――そして私たちが小雪舞う公園で見つけたのは、がたがた震えながら誰もいない虚空に向かい、「お花……可憐で儚いきれいなお花はいかがですか……」と消え入りそうな声で造花を手にさまよっているコーデリアさんの……マッチ売りの少女でさえここまでみすぼらしくはなかっただろうと思われる、悲惨な姿だったのでした。
「み、みんな……!」
私たちの姿を見とめたコーデリアさんは、何を思ったか、いきなり背を向け逃げ出そうとします。しかし、その試みが上手くいくわけもありません。なぜなら、きっと一日中お花を売り歩いて体力を失っていただろうコーデリアさんを止めるのは、実にたやすいことでしたから。私がコーデリアさんの腕をつかみ、ネロがすかさずコーデリアさんの腹にいい角度で体当たりを決め、そしてとどめにシャロが崩れかかったコーデリアさんにボディプレスを食らわすと、コーデリアさんは完全に動かなくなりました。
「こんな寒いところで花なんて売れるわけないよ!」
「コーデリアさん、どうして私たちに黙ってこんなことしちゃってるんですか! 私たち、仲間じゃないですか!」
倒れたコーデリアさんをネロとシャロが追求します。すると、ようやく顔を上げたコーデリアさんが、途切れ途切れの声で、こんな言葉を洩らしました。
「だ、だって……、私、みんなにチョコあげたかったんだもん……」
みんな仲よくがんばろうって伝えるために、そして普段のお礼のために、とコーデリアさんはいいました。コーデリアさんの目には涙があふれていて、もう堪えきれなくなったのか、静かにコーデリアさんは泣き出してしまいました。
「……コーデリアさん」
コーデリアさんの手を握ります。――その手は驚くほどに冷たくて、一体どれだけの時間、お花を配っていたんだろうと驚かずにはいられませんでした。かじかんだその手をぎゅっと握って、私はシャロとネロに視線を向けます。ネロは少し照れくさそうにしていたけれど、シャロは元気よく声を上げました。
「コーデリアさん、みんなでお花を売りましょう!」
「……コーデリア一人じゃ、いつまで経っても、お金できないだろうしさ。ほら、もう泣かないでよ、コーデリアはボクたちのお姉さんみたいな人なんだから」
「コーデリアさん、みんなでがんばりましょう。……私たち、仲間ですから」
「シャロ……ネロ……エリー……」
コーデリアさんは私たちを見つめ、そして涙を拭い、立ち上がりました。バレンタインはもう終わっちゃったけれど、私たちにそんなことは関係ありません。それにバレンタインが過ぎた十五日以降のほうが、チョコは安くなるものだし……。
――それから。私たちはがんばってお花を売ろうとしたけれど、やっぱり上手くいかず、途方に暮れていたところ、たまたま通りかかった明智さんに大量のお花を押しつけることに成功し、なんとか100円を手に入れました。その100円で買えたのは小さな板チョコ一枚だけだったけれど、それで私たちには十分な思いがするのでした。だって、私たちを想うコーデリアさんの、満開の笑顔を見ることができたのですから。
ここ数日、コーデリアさんの様子がどことなくおかしいです。朝早くこっそりと部屋を出て、そして夜遅くに帰ってくる。シャロが「コーデリアさん何してるんですかー?」と聞いても、コーデリアさんはあからさまにうろたえながらも、よくわからない歌をぶつぶつと不気味に呟いて、さっさとベッドに潜り込んでしまいます。それはまるでこれほど露骨に怪しい人はいないといっても過言でない様子でした。
「でも、ほら、コーデリアさんの日記帳に書いてあります! きっとバレンタインのためにバイトしてたんですよっ」
昨日、十四日、いつものように早朝から出かけたコーデリアさんは、ついに帰ってきませんでした。そして十五日の朝である今、私たちはコーデリアさんがどこに消えたか心配していろいろ話し合っているところなのです。……そうしてついにシャロがコーデリアさんの日記帳から重要なファクターを見つけたところなのだけど、そのページにはコーデリアさんがバレンタインのためのチョコを買うためにひとりバイトをしている姿が描かれていたのでした。――チョコを一枚買うお金もない私たちの窮状がただただ忍ばれます……。
「きっとバイトが上手くいかなかったんだよ! ……こんなお花畑全開のふわふわ下手くそな妄想の絵日記を口半開きで笑いながら真夜中まで描いていて、バイトが成功するわけないじゃん。しかたないからコーデリアを迎えに行こう!」
「コーデリアさんはたぶんいつもの公園でバイトしてるはずです! ――謎は解けました。ミルキィホームズ出動です!!」
――そして私たちが小雪舞う公園で見つけたのは、がたがた震えながら誰もいない虚空に向かい、「お花……可憐で儚いきれいなお花はいかがですか……」と消え入りそうな声で造花を手にさまよっているコーデリアさんの……マッチ売りの少女でさえここまでみすぼらしくはなかっただろうと思われる、悲惨な姿だったのでした。
「み、みんな……!」
私たちの姿を見とめたコーデリアさんは、何を思ったか、いきなり背を向け逃げ出そうとします。しかし、その試みが上手くいくわけもありません。なぜなら、きっと一日中お花を売り歩いて体力を失っていただろうコーデリアさんを止めるのは、実にたやすいことでしたから。私がコーデリアさんの腕をつかみ、ネロがすかさずコーデリアさんの腹にいい角度で体当たりを決め、そしてとどめにシャロが崩れかかったコーデリアさんにボディプレスを食らわすと、コーデリアさんは完全に動かなくなりました。
「こんな寒いところで花なんて売れるわけないよ!」
「コーデリアさん、どうして私たちに黙ってこんなことしちゃってるんですか! 私たち、仲間じゃないですか!」
倒れたコーデリアさんをネロとシャロが追求します。すると、ようやく顔を上げたコーデリアさんが、途切れ途切れの声で、こんな言葉を洩らしました。
「だ、だって……、私、みんなにチョコあげたかったんだもん……」
みんな仲よくがんばろうって伝えるために、そして普段のお礼のために、とコーデリアさんはいいました。コーデリアさんの目には涙があふれていて、もう堪えきれなくなったのか、静かにコーデリアさんは泣き出してしまいました。
「……コーデリアさん」
コーデリアさんの手を握ります。――その手は驚くほどに冷たくて、一体どれだけの時間、お花を配っていたんだろうと驚かずにはいられませんでした。かじかんだその手をぎゅっと握って、私はシャロとネロに視線を向けます。ネロは少し照れくさそうにしていたけれど、シャロは元気よく声を上げました。
「コーデリアさん、みんなでお花を売りましょう!」
「……コーデリア一人じゃ、いつまで経っても、お金できないだろうしさ。ほら、もう泣かないでよ、コーデリアはボクたちのお姉さんみたいな人なんだから」
「コーデリアさん、みんなでがんばりましょう。……私たち、仲間ですから」
「シャロ……ネロ……エリー……」
コーデリアさんは私たちを見つめ、そして涙を拭い、立ち上がりました。バレンタインはもう終わっちゃったけれど、私たちにそんなことは関係ありません。それにバレンタインが過ぎた十五日以降のほうが、チョコは安くなるものだし……。
――それから。私たちはがんばってお花を売ろうとしたけれど、やっぱり上手くいかず、途方に暮れていたところ、たまたま通りかかった明智さんに大量のお花を押しつけることに成功し、なんとか100円を手に入れました。その100円で買えたのは小さな板チョコ一枚だけだったけれど、それで私たちには十分な思いがするのでした。だって、私たちを想うコーデリアさんの、満開の笑顔を見ることができたのですから。
