竹宮ゆゆこ「とらドラ!」1巻
2008/01/29/Tue
「ラノベでも読もっかな。と思って手にとってみた「とらドラ!」。当たりでした。おもしろくて、みんな魅力的で。こういうのもあるんだなってちょっとおどろきでした。青春、恋愛ものか。もしかしたらラノベって、そういったものを惜しげなく描くのには適してるのかななんて思ったり。ストレートなのだよね、いいたいことが。心情が直裁に描かれてて、その作品がみせてくれる景色はどこかノスタルジックな響きと、ひとりきりの切なさを伝えてる。物語は周囲との関係にいらないくらい気に病んじゃう男の子竜児と、見た目乱暴で自己表現があんまりうまくない女の子大河の不器用ななれ初めを描いたもの。この二人はよかったな。誠実で、そして真摯な人間でとても好感がもてたです。うん、二人は素敵だ。」
「こてこての青春もの、かしらね。その意味ではこそばゆいのだけれど、それだけでなくどことなく寂しさが感じられるのは、この主人公の二人の背景が関係しているのかしらね。二人とも純情に相手を思ってるのよね。それはまじめなほど。」
「二人ともけっこうひとりきりなのだよね。誤解されることに慣れている、というのはけっこう意味深。誤解というのはほんとの自分を知られてないということで、それはとりもなおさず自分の孤独を見つめさせられるということ。もちろんそれはそんな大げさなことでないけど、でもそういった誤解の視線は他者との向きあい方という面では、二人にどう作用したかな。もともと不器用な二人はそんな積極的に交友することもままならなくて、そんな自分自身と周囲の状況に流されてきちゃった。‥それで、誤解されるということも不器用だということも、それは本人にとってはどうしようもないある意味孤独の形のようなもの。そしてそれはどうしようもないから、受け入れるほか、ないのだよね。人は自分以外を生きられない。それは当たり前のことなのだけど、でもかんたんに納得いくことでなくて、そしてときには辛いことでもあるかな。気持を理解されないというのは、それがどんなにわがままな主張だとしても、切ないものがある。だから私は、二人が互いの裡にそれとなく自身の孤独の陰影を認めて、それでも依存することなく誠実に向きあえたことは、すごくかっこいいなって思える。おまえの傍らに居続ける、か。かっこいいこといっちゃって。それができるなら、してみせて。人は小さな世界で小さな満足で生きるものだけど、でもその小ささは、ときに何より素敵な景色をみせてくれることがあるって、私は思うから。それはほんとに素敵なことなのだから。」
「小さな世界、か。そうね、ほんの凡庸な個人が係れる世界なんて小さなものでしょうし、彼が見つけられるものはそう大きなものではないのでしょう。しかしその小ささが、その価値を低めるということではありえない。それは誠実と、誇りの問題かしらね。ま、かっこいいことよ。」
竹宮ゆゆこ「とらドラ!」1巻
「こてこての青春もの、かしらね。その意味ではこそばゆいのだけれど、それだけでなくどことなく寂しさが感じられるのは、この主人公の二人の背景が関係しているのかしらね。二人とも純情に相手を思ってるのよね。それはまじめなほど。」
「二人ともけっこうひとりきりなのだよね。誤解されることに慣れている、というのはけっこう意味深。誤解というのはほんとの自分を知られてないということで、それはとりもなおさず自分の孤独を見つめさせられるということ。もちろんそれはそんな大げさなことでないけど、でもそういった誤解の視線は他者との向きあい方という面では、二人にどう作用したかな。もともと不器用な二人はそんな積極的に交友することもままならなくて、そんな自分自身と周囲の状況に流されてきちゃった。‥それで、誤解されるということも不器用だということも、それは本人にとってはどうしようもないある意味孤独の形のようなもの。そしてそれはどうしようもないから、受け入れるほか、ないのだよね。人は自分以外を生きられない。それは当たり前のことなのだけど、でもかんたんに納得いくことでなくて、そしてときには辛いことでもあるかな。気持を理解されないというのは、それがどんなにわがままな主張だとしても、切ないものがある。だから私は、二人が互いの裡にそれとなく自身の孤独の陰影を認めて、それでも依存することなく誠実に向きあえたことは、すごくかっこいいなって思える。おまえの傍らに居続ける、か。かっこいいこといっちゃって。それができるなら、してみせて。人は小さな世界で小さな満足で生きるものだけど、でもその小ささは、ときに何より素敵な景色をみせてくれることがあるって、私は思うから。それはほんとに素敵なことなのだから。」
「小さな世界、か。そうね、ほんの凡庸な個人が係れる世界なんて小さなものでしょうし、彼が見つけられるものはそう大きなものではないのでしょう。しかしその小ささが、その価値を低めるということではありえない。それは誠実と、誇りの問題かしらね。ま、かっこいいことよ。」
竹宮ゆゆこ「とらドラ!」1巻