true tears 第9話「なかなか飛べないね…」
2008/03/06/Thu
「すばらしい。拍手を送りたくなるくらい。物語の流れと各場面のあらわす印象的なイメージが破綻なくまとまって、ひとつのきれいな表現となって結実してる。これはすごい。ひさしぶりに映像作品である所以をもつ、映像作品でなきゃいけないって作品をみた。すごいや。これはすばらしい。」
「あら、べた褒めね。珍しいこと。」
「おもしろいよね。乃絵が眞一郎の傷に指を押し当てる場面。あそこが白眉だった。つまりあれは罪を犯した眞一郎を、天空へ導く存在たる乃絵が罰するという構図なのだよね。ここで眞一郎が犯した罪とは何かなって考えれば、それは単純に比呂美との関係を指してるだけでなくて、空を飛ぶことはできない、その無益さを眞一郎が認識したことにあるのでないかな。飛べない存在は、何をしても飛ぶことない。地べたに這いずり回ってる存在を蔑むことこそ、飛べない以上に愚かなことだって、眞一郎は気づいた。そして自身もまた飛べない存在であることを自覚しようとしたとき、乃絵が罰を与える。罰され、そしてゆるされた眞一郎に、乃絵は静謐さを湛えた表情で伝える。背後に遥か空と海を控えて。彼女はあなたが飛ぶところはここじゃないって、飛ぶべき存在たる眞一郎に託宣する。‥すごい素敵。見事。なんてきれいな作品だろう。ふれれば崩れてしまうような緊張さをこの作品をもってる。それがたまらなく美しくて、張りつめた冬の季節に似あってる。意図と意味にあふれてる。アニメ作品でここまでのができるんだ。ウテナ以来でないかな、この感覚は。」
「絶賛ね。佳代がそう露骨に褒めるのってなかなかなかったかしら、ことアニメでは。ま、なんていうか、乃絵は自分が決して飛べない存在であることを自覚してるからこそ、飛べる可能性のある眞一郎にああまで期待してるのかしらね。彼女自身はきっと飛べないのでしょう。」
「そう! そだよね! 雪のうえで眞一郎が書いてくれた「好きという言葉」を探してる乃絵の姿は、地べたを這いずり回る姿以外の何ものでもなくて、あの場面が乃絵のすべてをあらわしてた。彼女は飛べない。そのことを刻みこむかのように彼女の指から血が垂れる。‥あー、そっか。その罰を受けた指で、乃絵は眞一郎を罰したのか。するとその行為は罰を与えるという意味だけでなくて、傷と傷との感応、お互いのつながりを確かめる意味あいもあったのかな‥。‥いくらでも深読みできちゃうようなこの作品。それだけ象徴と整然としたイメージに作品舞台が支えられてるということであって、とにかくおもしろい。次回もすごく楽しみです。この作品がどこまでみせてくれるか、それがほんとに楽しくて愉快でたまらなくなってきた。」
「展開が気になるだけでなく、描き出される世界を眺めるだけでも非常に楽しめるのよね。これは稀有な作品かしら。さて、次回も期待して待ちましょうか。」
「あら、べた褒めね。珍しいこと。」
「おもしろいよね。乃絵が眞一郎の傷に指を押し当てる場面。あそこが白眉だった。つまりあれは罪を犯した眞一郎を、天空へ導く存在たる乃絵が罰するという構図なのだよね。ここで眞一郎が犯した罪とは何かなって考えれば、それは単純に比呂美との関係を指してるだけでなくて、空を飛ぶことはできない、その無益さを眞一郎が認識したことにあるのでないかな。飛べない存在は、何をしても飛ぶことない。地べたに這いずり回ってる存在を蔑むことこそ、飛べない以上に愚かなことだって、眞一郎は気づいた。そして自身もまた飛べない存在であることを自覚しようとしたとき、乃絵が罰を与える。罰され、そしてゆるされた眞一郎に、乃絵は静謐さを湛えた表情で伝える。背後に遥か空と海を控えて。彼女はあなたが飛ぶところはここじゃないって、飛ぶべき存在たる眞一郎に託宣する。‥すごい素敵。見事。なんてきれいな作品だろう。ふれれば崩れてしまうような緊張さをこの作品をもってる。それがたまらなく美しくて、張りつめた冬の季節に似あってる。意図と意味にあふれてる。アニメ作品でここまでのができるんだ。ウテナ以来でないかな、この感覚は。」
「絶賛ね。佳代がそう露骨に褒めるのってなかなかなかったかしら、ことアニメでは。ま、なんていうか、乃絵は自分が決して飛べない存在であることを自覚してるからこそ、飛べる可能性のある眞一郎にああまで期待してるのかしらね。彼女自身はきっと飛べないのでしょう。」
「そう! そだよね! 雪のうえで眞一郎が書いてくれた「好きという言葉」を探してる乃絵の姿は、地べたを這いずり回る姿以外の何ものでもなくて、あの場面が乃絵のすべてをあらわしてた。彼女は飛べない。そのことを刻みこむかのように彼女の指から血が垂れる。‥あー、そっか。その罰を受けた指で、乃絵は眞一郎を罰したのか。するとその行為は罰を与えるという意味だけでなくて、傷と傷との感応、お互いのつながりを確かめる意味あいもあったのかな‥。‥いくらでも深読みできちゃうようなこの作品。それだけ象徴と整然としたイメージに作品舞台が支えられてるということであって、とにかくおもしろい。次回もすごく楽しみです。この作品がどこまでみせてくれるか、それがほんとに楽しくて愉快でたまらなくなってきた。」
「展開が気になるだけでなく、描き出される世界を眺めるだけでも非常に楽しめるのよね。これは稀有な作品かしら。さて、次回も期待して待ちましょうか。」